今日はこの話題です。



11月28日、読売新聞は、自社発行の英字紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニューズ)」が1992年2月から2013年1月にかけて、「性奴隷(sex slave/servitude)」など不適切な表現を合計97本の記事で使用していたことを発表。29日のジャパン・ニューズに謝罪記事を掲載した。

その謝罪記事「Apology for inappropriate expressions used in comfort women articles」によると、慰安婦問題に関する読売新聞の翻訳やデイリー・ヨミウリの独自記事で、「性奴隷」にあたる単語を不適切に使用していたものは85本あったとし、その理由を、「慰安婦(comfort women)」という表現について関連知識のない外国人読者には理解困難だろうことから、デイリー・ヨミウリ側が、外国通信社の記事を参考に「性奴隷となることを強制された慰安婦」と、読売本紙にはない説明を誤った認識に基づき加えていたとしている。

また、「性奴隷」という言葉は用いていないものの、慰安婦を「日本軍によって売春を強要された女性たち」などと定義し、政府・軍による強制を客観的事実であるかのように記述した記事も、12本あったとし、これらの記事の一覧を公開している。

朝日が依然として自身の慰安婦誤報(捏造)について海外への配信と謝罪を殆ど行っていないのとは実に対照的な措置。この問題については積極的に朝日との差別化を図っているかのようにさえ見える。

この謝罪記事について、いくつかの米紙が早速取り上げた。28日、ワシントン・ポストは謝罪記事について「日本の戦争中の歴史を再評価しようという安倍晋三首相が主導する大きな動きがある中で起きた。…韓国や中国との関係を刺激するのは確実だ」と述べ、ニューヨーク・タイムズも今回の謝罪記事について伝え、朝日新聞の一部記事取り消しなどについても紹介したようだ。

ワシントン・ポストは、謝罪記事を安倍総理の主導で日本の戦争中の歴史を見直す(reassess)中で起きたとしているけれど、何か新しい事実が出てきたわけでも、別の要因が注目された訳でもない。

あるとすれば、これまで韓国が声高に主張してきた慰安婦問題の嘘がバレてきたことくらい。

アメリカ政府は、クリントン、ブッシュ両政権下で、8年かけてドイツと日本の戦争犯罪の大規模再調査を行い、2007年4月に「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)米国議会あて最終報告(Nazi War Crimes & Japanese Imperial Government Records Interagency Working Group Final Report to the United States Congress April 2007)」を提出している。

これは、クリントン政権時代の「1998年ナチス戦争犯罪開示法」と「2000年日本帝国政府開示法」に基づき、第2次大戦での日本とドイツの戦争犯罪の情報開示を徹底させる目的で2000年から始まった調査で、国防総省、国務省、中央情報局、連邦捜査局などに未公開の公式文書を点検し戦争犯罪に関する資料の公開を指示したもの。

850万ページにも及ぶそれら文書について、アメリカ人ジャーナリストのマイケル・ヨン氏とその調査班および産経新聞が取材したのだけれど、日本の戦争犯罪にかかわる文書14万2千ページの中には、慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける文書は1点も発見されなかったことが明らかとなった。

IWGは日本に関する文書の点検基準の一つとして「日本軍統治地域女性の性的目的のための組織的奴隷化」に関する文書の発見と報告を指示されていたそうなのだけれど、日本の官憲による捕虜虐待や民間人殺傷の代表例が数十件列記されたものの慰安婦関連は皆無だった。何でも、戦時のアメリカ軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の延長とみていたのだそうだ。

マイケル・ヨン氏は「これだけの規模の調査で何も出てこないことは『20万人の女性を強制連行して性的奴隷にした』という主張が虚構であることを証明した。日本側は調査を材料に、米議会の対日非難決議や国連のクマラスワミ報告などの撤回を求めるべきだ」とコメントしているけれど、その通り。

マイケル・ヨン氏は、米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)出身のフリージャーナリスト。

2004年からイラクで米軍部隊への"埋め込み"従軍記者活動を行い、2005年5月に米軍将校が自動車爆弾で重傷を負ったイラク人の少女を抱きかかえる写真を撮影し、イラク戦争の悲劇を衝撃的に描いた作品として大きな話題となった。

また、2008年には「イラクの真実の時」と題する本を刊行し、全米でベストセラーを記録。その後アフガニスタンに拠点を移し、最前線からの報道にあたり、それらは大手紙やNBC、CNNなどのテレビでも頻繁に取り上げられた。

彼は、フリーのジャーナリストとして、ブログを通じて発信する迫真の報道が全米で評価を得ている有名人。

そんな彼が、最近、日本の慰安婦問題の調査に取り組み始め、アメリカ、日本、韓国、タイ、シンガポールなどでの取材を行っている。日本では慰安婦問題の研究や調査の関係者多数に会い、日本側の資料にもあたり、アメリカでも国立公文書館での資料調査やグレンデール市の慰安婦像設置の経過取材などを行っている。

ヨン氏は、アメリカ陸軍の1944年のビルマでの慰安婦尋問書や日本の新聞の慰安婦募集広告の検証の結果、日本軍が組織的に20万の女性を強制連行して性的奴隷にしたという事実は出ておらず、日本の慰安婦も大多数は普通の意味の売春婦だったのだろうとした上で、「それでもなお、『日本軍の強制連行による性的奴隷』と断じる主張は政治的意図のにじむ捏造であり、日本を同盟国の米国や韓国と離反させるための日本叩きだろう」と主張している。

ヨン氏は11月28日に「Japan-Korea: Were Korean Men Cowards during World War II? 」という記事を発表したそうで、それをケント・ギルバード氏が日本語に翻訳し自身のブログで公開している。

それによると、ヨン氏は、20万人もの女性を強制連行したのであれば、必ずその痕跡が残っている筈であり、戦時中の日本軍が貴重な資源を強制連行に費やす訳がないとして、「全部が嘘だったのだ。誰かがどれだけ日本を憎んでいようとも関係が無い。嘘は嘘であることに変わりはない。(It's all a lie, and no matter how much someone hates Japan, it will always be a lie.)」と述べている。

無論、当時の記録は、アメリカだけでなく、日本にも眠っている。

独協大学名誉教授であった故中村粲氏が主宰する昭和史研究所という私設研究機関があるのだけれど、昭和史研究所は、戦時を知る人たちが健在の間に貴重な証言をとる活動を行い、平成10年から16年にかけて元軍人、元警察官らから戦地での体験を記録している。

それらの証言は昭和史研究所が発行する「会報」に掲載されていたのだけれど、このほど「正論」12月号に再録されたという。

それによると、満州国奉天省海城県警察で慰安婦を扱った元経済保安股長の「殆ど朝鮮の人だったが、戸籍謄本と医者の健康診断書、それと親の承諾書、本人の写真、そして許可申請を一括して私の所に持って来る訳です。ですから、強制連行とか、さらって来たなんて云うものではない。何でさらわれて来た者に親の承諾書や戸籍謄本がついてるのか」という証言や、「十八歳の私のからだは、三百円、それに父の負債が八十円、合計三百八十円を私の前で『ゼゲン』は両親に手渡した」という悲しい顛末だった。彼女はその日の夕方、他の15人の女性たちと一緒に2人の「女衒」に連れられ、3日後に朝鮮人が経営する上海の慰安所に入った」と、第6師団工兵第6連隊の所属兵が朝鮮人女性から聞いたという身の上話などが綴られているそうだ。

先に紹介したマイケル・ヨン氏は「現在の日本ほど人道主義、民主主義、平和主義に徹した国は全世界でも珍しい。米国にとっても貴重な同盟国だ。であるのにアメリカ側が慰安婦問題で日本を叩くのは敵性勢力を強め、友邦を弱めることに等しい」と述べているけれど、アメリカ側からも、テキサス親父に続いて、慰安婦問題について韓国の主張に疑問の声が上がるようになってきた。

無論、一度定着してしまった「慰安婦=性奴隷」のイメージを覆すことは簡単じゃない。だけど、嘘は嘘であることに変わりはない。真実に光が当たれば、それを認めるものから認識を変えていく。慰安婦という"振り子"は長い年月を経て、ようやく反対側に振れ始めた。

コメント

 コメント一覧 (3)

    • 1. ちび・むぎ・みみ・はな
    • 2014年11月30日 13:39
    • このような発言はオバマ大統領の人気下落と共に米国の
      保守への回帰とグローバリズムの否定が本当であることを
      表すものだろう.
      グローバリズムが勢力を誇っていた頃はオバマ氏の実務能力
      に関する疑いも全く無視されていたから, ヨン氏の発言も
      日本に伝わることさえなかったに違いない.
      当時のオバマ暴露本の内容が殆んど真実であったことが
      分かった現在, グローバリズムとその基礎となる
      漸化的社会主義革命思想の恐さが今になって分かる.
      問題は, 日本には未だにグローバリズム信奉から抜けられない
      安倍政権しかないことである. 僅かな望みは弱小ながら次世代の党
      の様なまともな保守政党が公明党に正面から対抗したことだ.
      公明党の力がなくなれば自民党内のまともな政治家達の発言力も増す.
      いずれにしても, 次回の参議院選では自民党が単独過半数に
      達するであろうが, 嘘付党のやりたい放題の被害を反省するなら,
      悪い党を追い落すのは早ければ早いほど国益に合致する.
      逆に言えば, 公明党が支那と裏で手を組む可能性も考慮しながらの
      綱渡りの二年間になるだろう.
      しかし, 引退したくてもできない小沢一郎.
      政治資金による不正蓄財があるから政治団体が必要だ.
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    • 2. 金 国鎮
    • 2014年11月30日 15:47
    • デイリーヨミウリには私は何度か関係した。
      1990年代に金大中が大統領になった時に東京の在日朝鮮人2世から連絡が入った。
      彼らが東京の銀座に事務所を構えるらしくその事務所の広告宣伝であったと記憶している。
      銀座という場所に驚いた。
      資金があるということだが、その次に驚いたのは彼らが送ってきた
      デイりーヨミウリに掲載された彼らの記事だ。
      この記事を書いた新聞記者の名前は今でも覚えているがそれが誰であるのかは
      いわない。
      記事の内容は在日朝鮮人は強制連行されたて日本に住み着いたという内容だ。
      その在日朝鮮人2世に質問した。
      あなたの親は強制連行されたのか?
      彼は否定した。
      彼の親は朝鮮で漢方医をしていたと、強制連行で日本に来たのではないと。
      在日朝鮮人2世に再び質問した。
      デイリーヨミウリの記事の内容にあなたは具体的に関係しているのか?
      彼はその記者が独断でその記事を書いたと答えた。
      その後、朝日新聞にも彼らの広告宣伝の記事が掲載された。
      ほぼ同様の内容であったと記憶している。
      これに関係しているのは誰だろうか?
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    • 3. ミモロン
    • 2014年12月01日 19:51
    • 10年以上くらい成功していて、しかも億レベルの大金が動いたプロパガンダという事で、わが国の将来のプロパガンダ対策としても、「何故プロパガンダとして、あれ程に成功したのか」「日本のマスコミは何故、進んでプロパガンダを行なったのか」「結局プロパガンダを押し返したのは、本当は何だったのか」など、考察し、学ぶ物は多いかな…?と思いました。
      ※女性の人権問題は現代の普遍的なテーマなので炎上しやすかったのか、等
      この件で汚名を晴らせるかも知れないけれど、戦前日本の非が完全に消えたという訳では無いです。国際的地位の上昇や歴史的認識の変化への寄与は、さほど期待できないと思います。静かに事の推移を見守るのが賢い行動のような気がします。敗戦国という条件がある以上、こういった、「現代の目線でもって過去の罪を盛大にあげつらう」というタイプのプロパガンダは、これからもあるのかも知れません…
      現在の日本がコツコツと積み上げている実績が、未来における更なる評価につながる筈です。将来の対外イメージや倫理観の変化をも予見しての、慎重な発言と行動が大切である、と云う風に思いました。
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