今日はこの話題です。



12月6日、防衛省統合幕僚監部は中国軍のY9情報収集機などが、沖縄本島と宮古島の間の公海上空を往復飛行したのを確認し、航空自衛隊の戦闘機がスクランブルしたと発表した。

防衛省によると、飛行したのはY9、Y8早期警戒機2機とH6爆撃機2機の計5機。この5機は、両島間の空域を通過して太平洋に出た後、ほぼ同じルートを戻り、中国本土の方向に飛び去った。領空侵犯はなかったけれど、この空域で中国軍機の飛行が確認されるのは2日連続。

小笠原の珊瑚に続いて、今度は空軍機。ここの所、空軍機による挑発行動は報道されていなかったけれど、いつもの挑発なのか、それとも何か別の意図があるのか。

これは、唯の筆者の想像に過ぎないのだけれど、ここ2~3日、衆院選で自民圧勝の観測が流れたことが関係しているような気がしている。

12月3~5日にかけて「新日中友好21世紀委員会」3年振り北京で行われているけれど、その中での李克強首相の発言にそのヒントがあるように見える。

「新日中友好21世紀委員会」は、1984年に当時の中曽根総理と胡耀邦共産党総書記の間で設立された「日中友好21世紀委員会」を前身に持ち、2003年からは当時の小泉総理と胡錦濤国家主席の下で発足。2008年までに計8回の会合を開催。2010年からは第2期の会合が持たれ、今回で4回目となる会合には、日中両国の15人の委員が出席している。

この会合で、李克強首相は、日中双方の委員と会見し、「日中関係は歴史を鑑として未来に向かう必要がある。双方間の4つの政治文書の原則と精神、重要な共通認識をしっかりと守り、維持しなければならない。これは日中国交正常化の基礎であり、関係改善の必要条件でもある。共通認識を形成するには、誠意をもって接し、言ったことは必ず守り、着手したことは必ずやり遂げなければならない。現在日中関係が改善の方向に踏み出すことができるか否かにおいて、これは基礎であり、前提であり、要であり、鍵だ」と語っている。

これをうけて、人民日報の特約論説員で、新中日友好21世紀委員会の中国側委員でもある葉小文氏は、人民日報海外版コラム「望海楼」で次のように述べている。
「この2年間、日中関係は厳しく複雑な側面がかつてなく際立ち、日中間の新旧の摩擦や問題が集中的に表面化し、両国の過去の指導者が国交正常化時に歴史や領土の問題について形成した重要な共通認識や了解が一連の挑戦を受けた。そして日中国交正常化の前提として、日中関係の政治的基礎を体現した日中間の4つの政治文書の核心は、まさに両国の上の代の指導者が心血を注ぎ、知恵を結集して形成したこれらの重要な共通認識や了解なのだ。共通認識を捨て去れば、どんな事態も発生する。両国の上層部交流は全面的に中断され、政治的相互信頼は深刻に損なわれた。国民感情も悪化し続け、各分野の交流や協力も打撃を受け、両国関係は1972年の国交正常化以来最も困難な事態に陥った。

2年余りの難局を経て、先月の北京APEC会議期間に、両国政府はついに原則と方向を明確にした。これは両国民の根本的利益および地域の平和・安定の大局に着眼して行った賢明な政策選択であり、日中関係を一日も早く正常な発展の軌道に戻すことを望み、訴える両国民の声に応えたものだ。

4つの原則的共通認識の極めて重要な点は、根本から立て直し、日中関係の発展を指導する政治文書と基本原則を再確認したことにある。4つの原則的共通認識の第1条は「双方は、日中間の4つの政治文書の諸原則と精神を遵守し、日中間の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した」である。周知の通り、この4つの政治文書とは1972年の国交正常化時に発表した日中共同声明、1978年締結の日中平和友好条約、1998年発表の日中共同宣言、2008年発表の戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明だ。この4つの政治文書は両国関係の政治的な基礎を法的に固めた、日中両国の協力関係発展の礎だ。もしこの礎さえも揺らぐのなら、日中関係は「土台が堅牢でないために、山も地も揺れ動き」、「正常」から「軌道から外れ」、さらには「異常」へと向かい続け、徹底的に対立することになる。4つの原則的共通認識は歴史、釣魚島(日本名・尖閣諸島)など現在両国関係の発展に影響を与えている際立った問題についても原則と方向を明確にした。双方はこれを基礎にして初めて、各分野の二国間対話、多国間対話を段階的に再開し、政治的相互信頼を構築することが可能となる。日本政府と中国政府および社会各界は共に4つの原則的共通認識を守り、実行する必要がある。日本よ、他の選択肢はないのだ。これ以上信用を失ってはならない。」
と、まぁ、日本政府よ、これ以上信用を失うな、と上から目線の物言いをしているけれど、このタイミングで「4つの政治文書」に触れたことに注目する必要がある。中国が日中関係の現状に強い不満を持ったときに、この文言が常套句の様に使われるとも言われているけれど、今回の人民日報のコラムでは「日本政府と中国政府および社会各界は共に4つの原則的共通認識を守り、実行する必要がある」と述べている。

まぁ、政治文書を実行しろだとか、政治文書の精神に違反している、としていないだけ、まだ緩めの反発だといえるのかもしれないけれど、先日漸くにして、日中首脳会談をやったばかりで、なぜこう言い出したのか。

外交関係者によると、中国にとって、尖閣や歴史認識の問題で一歩も引かない安倍政権は「交渉したくない相手」であり、「早く交代してもらいたい」相手なのだという。

実際、安倍政権誕生から2年経ち、安倍総理の積極的な地球儀外交によって、多くの外国を味方につけ、中国包囲網を形成してしまった。今年7月に、福田元総理と習主席が会談した際、習主席は「安倍首相は中国とどういう付き合いをしたいのかが見えてこない」と述べ「法の支配」という言葉で中国の海洋進出を牽制することに触れたほか、「集団的自衛権を行使できるようにして何をしたいのか。…『積極的平和主義』とは何か」と愚痴を漏らしているところをみると、本当に嫌な相手なのだろう。

それだけに、衆院選で負けてあわよくば退陣してくれないかと願っていたとしても不思議じゃない。

共産党筋は「中国は安倍氏の次の政権と交渉し、中日関係を本格的に回復させようと考えていた。しかし、自民党が圧勝すれば、安倍政権は長く続きそうだ。対日政策を練り直す必要があるかもしれない」と述べているから、衆院選の動向は相当気になっているものと思われる。

だけど、衆院選での自民党が圧勝したとなると、中国は今でさえ嫌なのに、民意の支持によって更に強力になった安倍政権と対峙しなくてはいけなくなる。なんとなれば、国民の支持をバックに、安倍政権は、これまでよりも更に強硬な態度にでるかもそれない。中国はこのように警戒をしているのではないかと思う。

故に、このタイミングで態々「4つの政治文書」を取り出して、これまでの付き合いの原則を忘れないようにと釘を刺しに来たというか、上から目線で「お願い」しに来たのではないかと思う。

今回の領空侵犯"もどき"もその一環で、実際に領空侵犯はせずに引きかえし、本気で怒っている風に見せかけつつ、実際は「お願い」のメッセージを送ってきたと見る。

まぁ、李克強首相の「誠意をもって接し、言ったことは必ず守り、着手したことは必ずやり遂げなければならない」なんて台詞を、香港問題で怒り心頭のイギリスが聞いたらなんというかは置いておくとしても、中国に更なるプレッシャーを与えるためには、自民党を勝たせて、安倍総理の政権基盤を強くさせたほうがいい。たとえ1議席でも現有議席より多くなるだけでも、対外的いは更に支持を集めたことになる。

終盤に突入してもさっぱり盛り上がらない今回の衆院選だけれど、与党がどれくらい勝つかというのが、今後の外交にも影響を与えることを頭の片隅に入れておくべきだと思う。

コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. 日中友好21世紀委員会の委員と会見、両国の交流をさ
    • 2014年12月10日 00:00
    • APEC首脳会談に日本のみ国旗なし、礼儀もない糞国皇帝と朝貢外交を行なっていた。
      中国共産党当局の調子のいいことをそのまま日本人に押し付けるな。中国は日本を属国扱いをして日本人を馬鹿にするな。日本国民が不利になるようなことばかりするのは自己満足?「日中友好」の時代は終わりだ。日中友好21世紀委員会をすべて解散。
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