今日は、この話題を極簡単に…



1月6日、アメリカ国務省のサキ報道官は、前日、安倍総理が新たに出す談話について、「村山談話、河野談話が示した謝罪は、日本が近隣諸国との関係改善に努力をする中で重要な一章を刻んだというのがわれわれの見方だ」とした自らの発言を訂正した。

これは、6日のブリーフィングで記者から、くだんの発言は、日本政府に対するある種の圧力ではないかという見方がある、との指摘を受けてのもの。

ブリーフィングはこちらで公開されているけれど、該当箇所を引用すると次のとおり。
QUESTION: So yesterday, you made some comments on the Prime Minister Abe’s remarks at the New Year opening press conference.

MS. PSAKI: Mm-hmm.

QUESTION: And you also mentioned about the importance of Murayama Danwa and –Murayama Statement and Kono Statement, and some people see that as a kind of pressure on Japanese Government to take over that – those statements. So I’m wondering whether you have --

MS. PSAKI: Well, it certainly wasn’t intended to be. Let me just reiterate – or restate, I should say – that we welcome Prime Minister Abe’s comments yesterday, including the positive message on history issues and Japan’s postwar contributions to peace. We believe that strong and constructive relations between countries in the region promotes peace and stability and are in the interests of both the countries as well as the United States.

I would also just note, since I have the opportunity, that Secretary Kerry and Foreign Minister Kishida had a phone call yesterday, a long – we were trying to schedule for some time – where they discussed their desire to look forward to avenue – working together on a range of avenues of cooperation for 2015. They talked a little bit about the Middle East and the region and what’s happening in the region; Ukraine, ISIL, Ebola. The Secretary thanked Japan for their support and cooperation on a range of areas, and they agreed that there are a number of global issues that we’ll continue to work closely on. So it wasn’t intended in that way.

QUESTION: Change of subject?

MS. PSAKI: Sure.
このように、サキ報道官は、圧力を掛けるという意図はなかった、繰り返して言わせてほしい、とした上で、「(安倍氏の発言は)歴史問題と戦後日本の平和への貢献に前向きなメッセージを含んでおり、歓迎する」と述べた。

それを聞いた記者が、発言を修正するのかと確認したのに対し、その通り(Sure.)と答えているから、公式に修正されたということ。

この質問をした記者が誰なのかは分からないけれど、「圧力ではないかという見方がある」という質問は、明らかに、先日の日本のマスコミ報道を受けてのものだと思われる。

きちんとこの質問をした記者もそうだけれど、サキ報道官も、前日の自らの発言をはっきりと訂正する辺り、もしかしたら、一昨年末の安倍総理の靖国参拝について「失望した」と発言して日本国内から猛反発を受けた苦い経験が効いているのかもしれない。

ともあれ、これで、先日、日本のマスコミが行った「河野・村山談話の継承を促した」報道は間違いであることが確定した。この訂正発言については、いくつかの新聞は記事にしたようだけれど、テレビはスルーしたようだ。早速ネットでは「報道しない自由を行使!」などと盛り上がっている。

まぁ、それはいつものことだとしても、アメリカの反応は少しづつ変わりつつあるようだ。

昨年12月17日、アメリカのクリントン政権時代に商務省次官を務めたロバート・シャピロ氏が、Youtubeに『朴槿恵(パク・クネ)大統領に贈るシャピロの発言』と言う3分の動画をアップし、日韓関係が拗れた責任は韓国にあると主張した。

ビデオの中でシャピロ氏は「韓国の友人であり、尊敬する者として、そして韓国の発展を見守った経済学者として話す」と前置きした上で、韓国検察の加藤達也産経新聞ソウル前支局長起訴を「衝撃的だ」とし、解決されない日本との関係は、韓国の持続的な発展を妨げる大きな障害物であり、世界大戦が終わり、ほぼ70年経ったが、依然として多くの感情のわだかまりが残っていると指摘した。

そして更に、「日本は、韓国人犠牲者への補償として8億ドル与えた。…しかし、機密解除された記録には、当時、その金が、いわゆる『軍慰安婦』と呼ばれる戦争被害者に、全く渡らなかった事を示している。…これが、古い傷が癒ない理由の一部。…韓国メディアは、日本に対し危険なほど敵対的な態度を取り、政府はそれを煽っている。…ベトナムが、以前、韓国軍が、自国の民間人に行った歴史を差し置き、韓国と国交正常化した事を考えて欲しい。」と述べた。

日本からしてみれば、正論過ぎるほどの正論で、ようやくこういう発言をする人が現れたか、という感じなのだけれど、案の定、韓国は、「彼の主張は全て出鱈目だ」とか「日本のロビーの結果だ」などと反発している。ただ、一部には当時の韓国政府が保証金を慰安婦に渡さなかったことや、ライダイハンのことを知っている人もいるようだ。

それでも、その意見が多数派にならないところが、韓国の一番の問題といえば問題。いつまでも"感情"に任せるだけでは問題は解決しない。シャピロ氏は、ビデオレターで、ベトナムが韓国と国交正常化した事例を挙げて、"感情"ではなく"理性"で判断・行動するように訴え掛けているのもそういうことだし、それを乗り越えない限り、安倍総理がどんな談話を出そうとも、彼らには何の効果も及ぼさない。

韓国或は中国に日本の主張を受け入れてもらう日は果てしなく遠いかもしれない。まぁ、それでも、それ以外の国に対しては日本の主張が通る可能性が見えてきたことは大きい。

従って、日本は、更に、対外発信を強化して、粘り強く誤解を解く努力を続けていくべきだろう。



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