今日も極々簡単エントリーです。
1月11日、フランス週刊紙銃撃などの一連のテロ事件で犠牲となった17人を追悼する大規模デモ行進がパリで行われました。
報道では、デモには約160万人が参加。犠牲者の家族を先頭に、オランド大統領とドイツのメルケル首相や英国のキャメロン首相、イタリアのレンツィ首相ら欧州首脳をはじめ、トルコのダウトオール首相、イスラエルのネタニヤフ首相、日本からは、鈴木庸一駐フランス大使らが参加し、「自由」や「シャルリー」などと叫びながら街を練り歩いたそうです。
オランド大統領は「今日、パリは世界の首都だ」「国を挙げて立ち上がる」と述べ、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナのアッバース大統領が共に参加する光景に、"歴史的瞬間"との声もあるようです。
各国首脳が参加した今回のデモについて、12日、アメリカのアーネスト米大統領報道官はオバマ大統領ら米首脳が参加しなかった判断は誤りだったと述べました。無論、誰も参加しなかったという訳ではなく、ハートリー駐フランス大使が参加していたのですけれども、首脳クラスが参加しなかったことで、ミスとしたと認識しているようです。
それにしても、追悼デモでいきなり160万人が集まり、40名もの各国首脳が集まるとは、凄いものです。
追悼デモに参加することで、対外的には「"表現の自由"を尊重し、テロに屈しない」という大義名分とそれを支持するというメッセージを表明することになるのは間違いありません。ただ、各国首脳のスケジュールがこの日だけ綺麗に空いていたとはとても思えませんから、元々あった予定をキャンセルしてパリに集まったものと思われます。つまり、各国首脳は、それ程このメッセージを発信することを重視したというわけです。
デモ行進前に、オランド大統領は各国首脳らを大統領府に招いて、各国がテロとの戦いを協力して進めることを確認し、平行してテロ対策を話し合う国際会議も同日開かれ、欧米12カ国の閣僚が出席しています。その会議で採択した共同宣言では、インターネット事業者と協力し、テロにつながりうる情報を早期収集する仕組みの構築のほか、欧州の国境警備の強化、航空機に搭乗する顧客の情報収集を進めることを盛り込んだと伝えられています。
13日のフランス国民議会の冒頭では、犠牲者を追悼する黙祷があったのですけれども、その最中に、議員らの一部が「ラ・マルセイエーズ」を歌い始め、全員が斉唱する一幕がありました。これは、1918年の第1次大戦終結以来初めてのことなのだそうです。
そして、その国民会議の場で、バルス首相が「フランスは『テロとの戦争』に入った」と演説し、治安対策を強化する方針を示しました。
あれよあれよと言う間に色んな事が合意・決定されていっています。まぁ、こういう言い方は不謹慎なのかもしれませんけれども、どこか"手際が良すぎる"というか、急ぎ過ぎではないの、という感じがしないでもありません。或は、2001年のアメリカでの「9.11」直後に似た雰囲気といったほうが近いのかもしれません。
ただ、渦中の政治週刊紙「シャルリー・エブド」は、本社銃撃事件後、初めての発行となる最新号で、ムハンマドとされる男性が、泣きながら「ジュ・スイ・シャルリー(私はシャルリー)」との標語を掲げ、その頭上に「Tout est pardonné」との見出しを出しています。
この「Tout est pardonné」の見出しについて読売新聞は「すべては許される」と記事にしていますけれども、翻訳家の関口涼子氏によると、それは誤訳で、宗教の罪の「赦し」に由来する、もっと重い言葉なのだそうです。つまり、直訳すれば「すべてを赦した」であって、言論の自由を示した言葉ではないと指摘しています。
関口氏は、この表紙の絵を描いた風刺画家のルス氏が、襲撃事件が政治的に利用されることに違和感を表明し、11日の集会は「シャルリー・エブド」の精神とは正反対だ、と批判していることに触れた上で、この絵は「自分たちを担ぎ上げて利用しようとする政治家たちをも、『Tout est pardonné しょうがねーなー、チャラにしてやるよ』、と笑い飛ばしているのが、この絵なのだ」と述べています。
当のルス氏は、この絵について記者会見を開き「テロリストも子供だったことがある。彼らもわれわれと同じように絵を描いていたはずだ」とし、しかし彼らは「ユーモアを失ってしまい、世界に距離を持って接することができなくなってしまったようだ」と述べ、表紙を作る過程について、モハメットが「私はシャルリー」という札を持っている姿をまず描き、その絵を見ていたら「モハメットが泣いていた」ように感じたとコメントしています。そして、ルス氏自身も泣き、「でもこれはモハメットという以前に、一人の男性が泣いているということだ」と語っています。もしかしたら、ルス氏はこの絵に自身を投影したのかもしれません。
関口氏の指摘にせよ、ルス氏のコメントにせよ、決して、「すべては許される」というようなメッセージではないことは明らかです。それが、知ってか知らずか"誤訳"を含めて、単純化され、イスラムの排斥或は対立へと利用されかねない危険性については注意しておく必要があるのではないかと思うのです。
コメント
コメント一覧 (2)
人種対立は難しい問題だ.
仏国が現在のようにテロの巣窟になっているのはこの国における
過去のユダヤ人差別が人種・民族習慣の区別を殊更タブー視する
傾向を作り出したことがあると思う. ユダヤ人の思想家グループ
がユダヤ人を有利にするために行なってきた漸化的社会主義革命路線,
或はナショナリズム抹消運動である. ユーロ問題はその結果である.
しかし, この様な運動はその影響を受けない勢力には全く無効であり,
結果として, ユダヤ人とイスラムの対立が止め様もなく広がって
いるらしい. これについては自業自得との意見もある.
欧州は現在が混乱のまっただ中であるが, 米国では既にWASPの
凋落として結果が出て終っている. 一般に, 人種の区別をモラルの
問題にすり替える工作は日本人や欧米人などの様に元々が高い
モラルを持つ民族に有効なのであって, 元々が差別を好むもの達
には全く無効である.
米国で黒人差別があるように喧伝されているが,
実際には黒人差別への忌避は米国人のDNA迄に擦り込まれており,
白人が理由もなく黒人を圧迫することはあり得ないのが真実である.
白人が黒人から苛めに会うことはあっても, 白人が黒人を苛めたことが
知られるとかなり厳しい社会的制裁が行なわれる. 学生なら退学である.
現在の騒動の原因は「黒人による白人差別」でり, 真の問題は白人自身が
白人による黒人差別が行なわれていると信じ込んでいることにある.
しかし, 統計によれば, 米国における黒人が犯罪を犯す割合は高い.
原因を「貧困」に求め, ひたすら黒人の福祉を高める努力がされているが,
どうも真の原因は民族による家族構成の違いにあると思われる.
kotobukibune_bo
t
がしました
米国における「黒人問題」より悲惨であるのは, 「黒人問題」の原因は
白人による黒人の奴隷化という明白な反人権的な事実があるのに対して,
日本における「在日問題」はひたすらに日本国民側が攻撃されて
来たばかりであるという事実による. これは朝鮮人と日本人の考え方が
全く違うということに由来する. 或は, 日本人は世界でも稀なほど
ユニークな考え方をする民族であるといっても良いかも知れない.
各々の問題において指摘される正論は「悪いものは悪い」のであるから
「法にしたがって処罰する」のが大事であるということだ.
しかし, 「法にしたがった処罰」は言うは易く行なうは難い.
米国のような裁判員制度の国では一般国民の思い込みによる人治裁判
となり易く, 犯罪者の処罰は白人悪者の思い込みの下で行なわれ易い.
kotobukibune_bo
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がしました