今日も極々簡単に…
1月14日、自民党は国際情報検討委員会などの合同会議を党本部で開き、海外に向けて、日本の立場を正確に発信する新型「国際放送」の創設を検討する方針を確認した。
これは、慰安婦問題や南京事件などで史実と異なる情報が海外で広まっている現状を踏まえてのもので、今年の通常国会会期内に結論を出すとしている。
国際情報検討委員長の原田義昭氏は「どういう形で相手国に情報が伝わるかにも目配りしながら、正しいことをきちんと発信していくことが大事だ」と「攻めの情報発信」の意義を強調したようだ。
国際情報検討委員会は、例の朝日が従軍慰安婦問題で誤報を認めたことを受け、昨年9月19日付けで「誤った国際認識は断固として正していかなければならない」とする決議を行っている。
また、これを受けて、外務省は平成27年度予算の概算要求で、領土や歴史認識に関する日本の立場の発信を強化するために、戦略的対外発信予算約500億円を上乗せして計上している。
具体的には、複数の海外主要都市に情報・広報戦略の拠点となる「ジャパンハウス」を新設し、海外の親日派・知日派の育成などを目指すとしている。
「ジャパンハウス」では、日本の伝統と革新および各分野の最先端技術といった"日本ブランド"を発信すると共に日本の政策・国際貢献を紹介。 現地との体験・交流の場を設け、対日理解の基盤を強化するとしている。
「ジャパンハウス」を何処に作るかについては、その候補地として、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロ、香港、イスタンブール、ジャカルタを候補とし、27年度予算では、ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの三都市に創設する予算を計上している。
また、ワシントン等にある広報文化センターや、ニューヨークのジャパン・ソサエティなど、既に海外に施設がある場合はそことの連携強化を図るようだ。
こうした対外発信については、1月7日に佐藤外務報道官が記者の質問に対し次のように答えている。
【読売新聞 寺口記者】今の対外発信のことで追加で質問なのですけれども,ジャパン・ハウスの設置が一つ,発信の拠点ということになるかと思うのですが,それ以外に具体的に手法といいますか,どのような形で発信していこうというように,今,想定されているのか,明らかにしていただけるものがありましたら教えていただけますか。と、ジャパンハウスだけでなく、ネット動画などのツールにも力を入れるとしている。
【外務報道官】対外発信の強化ということで,今,おっしゃられましたジャパン・ハウス。これは拠点を設置して,日本の正しい真の姿の理解につなげていく。あるいは多様な魅力を体験してもらうような機会を設け,発信していく。あるいは重なる部分もありますけれども,我が国について理解を深めることができる,そういう機会を通じて知日家の育成につなげていく。これらのことを総合的に,なお一層今まで以上に積極的に,課題として取り組んでいきたい。こういうように考えております。
その中にあっては,例えばもちろん,既にある在外公館,あるいは文化の面で言いますと交流基金,あるいはオールジャパンで考えますと,観光,JETRO,その他いろいろな機関がございますが,オールジャパンで効果的な日本の発信につながるように意を用いていきたい。そのように考えております。
【共同通信 斎藤記者】今の関連ですけれども,その対外発信の絡みで,戦後70年,何かコンテンツ,何か外務省でアイデアを出して,内外の人たちにわかりやすいようなコンテンツをつくって,それをネットに乗っけるとか,何かそういったアイデアがございましたらご紹介いただきたいと思います。
【外務報道官】今,おっしゃられたような,いわばツール,例えば動画ですとか広報用のツールについては,引き続き,なお一層,努力していきたいと思っております。そして,そのような発信の中身も,先ほど申し上げたような基本的な考えに立って,よりよく日本を理解してもらう,そのために必要なものをコンパクトに,使い勝手のいいものを整備していきたい。このように考えております。
一般に情報には、密かに情報を収集する「諜報(intelligence)」、相手につかませた情報により自らに有利な状態をつくる「謀略(special operations)」、自らが有利に立つ情報を流す「宣伝(propaganda)」、そして、スパイの摘発などの情報防衛を行う「防諜(counter-intelligence)」の四つの機能があるとされる。
だけど、日本はこの情報の4つの機能を、国益の為に十全に使ってはいなかった。それは、これまで散々色んな所から指摘されていたこと。
例えば、「特定秘密保護法」は「防諜」を行う為に必須の要件の筈なのに、ついこの間までその法案すらなかったし、今でも"左向き"のマスコミ様がわーわー騒いでいる。
また、昨年末、内閣官房領土・主権対策企画調整室が、かつて竹島で日本人が漁をしていた頃の様子を描いた絵本「メチのいた島」の読み聞かせを撮影した動画をyoutubeで公開したけれど、これなどは「宣伝」にあたるだろう。
更に、対外向けのロビー活動などは「謀略」に当たると思われるけれど、これを「ジャパンハウス」を通じてやろうとしている。
いわば、日本は、情報の4つの機能のうち3つを眠りにつかせたままでいたともいえる。これでは中韓の情報戦に負けてきたのも当然といえる。
作家で元外交官の佐藤優氏はインテリジェンスについて次のように述べている。
「宣伝と謀略は潜在的もしくは顕在的な脅威に対して行うものであって、自国民を対象に行ってはいけない。つまり、対象を間違えているんです。謀略で一番うまいやり方というのは、相手に全体像を組み立てさせることなんですね。人間は、自分で組み立てたものは可愛がるからです。…だから、自分たちがやる謀略のことは「政策広報」とか「ロビー活動」と呼べばいいんです。敵がやるものを「謀略」あるいは「情報操作」と呼ぶ。やることは同じですが、印象はずいぶん違うでしょう。もし政策広報を否定して、積極的なオペレーションをしない情報機関をつくることになれば、それは情報収集のための情報収集をする機関になってしまいます」佐藤氏が指摘するように、日本はこれまで情報について、"積極的なオペレーション"をしないでいた。それが今の現状を招いている。
手嶋龍一+佐藤優『インテリジェンス 武器なき戦争』より
安倍政権はこれら、永き眠りについていたインテリジェンスを目覚めさせようとしている。やはり、今年は情報戦争の火蓋が切られ、激化していく幕開けになるだろう。
コメント
コメント一覧 (3)
kotobukibune_bo
t
がしました
kotobukibune_bo
t
がしました
kotobukibune_bo
t
がしました