昨日の続きを極々簡単に…
軍事拡張は止むところを知らず、周辺国に挑発を続ける中国。これに対してはやはり一定以上の警戒はしておかなくちゃいけない。特に日本は、南北に細長く、縦深性がないから、敵国からの攻撃から国土を護るためには、何といっても、早期警戒による水際阻止がその重要になる。
そのために、どうしても、レーダー網を充実させる必要がある。
先日、与那国島で自衛隊誘致の賛否を問う住民投票が行われ、目出度く賛成派が勝利したけれど
防衛省は2016年3月末までに、与那国島への配備完了を目指している。
与那国島に配備される部隊は、陸自の沿岸監視隊と空自の移動警戒レーダー部隊のようだ。
「沿岸監視隊」は、その名の通り、情報収集・監視を任務とし、そのために、東シナ海を航行する艦船や航空機を探知するレーダーや、軍隊内部の通信を傍受して記録する電波監視装置などを持っている。
また「移動警戒レーダー部隊」もその名の通り「動くレーダーサイト」。荷台に、円筒形アクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ(3次元レーダー)を載せた、タンクローリーのようなトラックがその役目を担う。
※レーダー稼働時は筒が立ち上がる。
レーダーというと、普通はデカい、パラボラアンテナなんかを思い浮かべるのだけれど、この移動型レーダーも中々のもの。レーダー部隊というだけあって、戦闘指揮所も持っているのだけれど、なんでも「少々なら戦闘機の要撃官制もできる」のだそうだ。
何故こんな部隊があるかというと、現代戦では、真っ先にレーダーが狙われるから。レーダーの発達は超ロングレンジからの攻撃を可能とした。そして今の武器は。その火力も飛躍的に向上しているから、最初の被弾が即致命傷になりかねない。だから、現代戦においては、先手を取れるかどうかがとても重要。
ゆえに、いち早く敵を発見し、要撃支援を行うレーダーは迎撃・防衛の要。勿論、要撃戦闘機自身もレーダーを搭載しているのだけれど、実際の戦闘は、空中警戒管制システム(Airborne Warning And Control System)や、地上早期要撃管制(Ground Early Control Intercept)の支援を受けて活動することが望まれる。
レーダーを使うということは、レーダー波を発信するということ。だから、要撃戦闘機が自分のレーダーを使うと、それが相手のレーダーに引っかかって、自機の位置が知られる危険が高くなる。
レーダー探知は、自分が発信したレーダー波が目標物にぶつかって跳ね返ってくるのを探知するから、その探知距離は、"行って帰って"で、レーダー波自身が届く距離の丁度半分程度になる。
一方、相手側のレーダーは、勝手に向こうからやってくるレーダー波をキャッチすればいいだけ。"行って帰って"がないから、相手戦闘機のレーダーの2倍の探知距離を持てることになる。つまり戦闘機が自分のレーダーを使うのはそれだけリスクがあるということ。
そこで、空中警戒管制システムや、地上早期要撃管制の出番となる。要撃戦闘機が空中警戒管制や、地上早期要撃管制の支援を受けられる状態になると、極端な話、自分のレーダーをスタンバイ(受信)にして、管制システムからの敵情報を受け取るだけにすることができる。勿論、自機からレーダー波を発信することもないから、相手に探知される危険もぐっと減る。そして、この要撃戦闘機がステルス機だったら、もっと探知されにくくなる。
このように現代戦ではレーダーがとても重要。
自衛隊は全国各地に固定レーダーサイトを持っているけれど、有事の際にこれらが破壊されてしまったら、日本の防空網に穴が開いてしまう。
そんな時、「移動警戒レーダー部隊」が必要な場所に飛んで、その穴を防ぐ。そうした役割がある。
与那国島は、台湾の東に約110キロ、尖閣から南に約150キロの位置にあることから、尖閣防衛の力になるのみならず、既に宮古島と久米島に置かれているレーダーサイトを補完する役目もあるという。
先の内閣府の世論調査で、自衛隊の増強を求める声が増えているという結果が出たけれど、派手な戦闘機や戦車を揃えることだけが増強になるとは限らない。
レーダー監視部隊という、一見地味に見える部隊が、実は防衛の最前線の戦力でもあることを忘れてはいけないと思う。
コメント
コメント一覧 (5)
【海外「70年も経ってるのに…」 メルケル首相の歴史認識を巡る発言が海外で波紋】
http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-1478.html
kotobukibune_bo
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http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/mainichi-20150313k0000e030192000c.html
kotobukibune_bo
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粒子性だけをもつ、レーダーを開発できませんかねぇ。
どんなに努力しても、塞がれるのであればエーテル説もまんざらではないですね。
kotobukibune_bo
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粒子は、小さければ壁を通りぬける可能性もありますし、捕らえるのが難しいですね。
そこで、安全保障で考えられるのは、物質の両方の性質をとらえながら、国益に適うほうを選択すべきではないかと。
kotobukibune_bo
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