今日も雑談です。



2月21日、アメリカのWSJ紙が複数のアメリカ政府当局者の話として、北朝鮮が1月6日に核実験を強行する数日前に、オバマ政権が北朝鮮との間で休戦状態にある朝鮮戦争を正式に終結させる平和協定の締結に向けた交渉開始に秘密裏に同意していたと報じました。

これまでオバマ政権は北朝鮮が先に核開発放棄を行うことを交渉の大前提に置いていたのですけれども、突如その条件を取り下げたということになります。

ただ、アメリカ側は北朝鮮の非核化も平和協定締結交渉の一部とすることを逆提案したとのことですから、非核化と平和条約締結を平行して進めようとしていたという訳です。

結局このアメリカの提案を北朝鮮は拒否し、1月6日の核実験の強行に及んだということのようです。

これについて、アメリカ国務省のカービー報道官は「北朝鮮が平和協定交渉を提案した。……アメリカ政府は北朝鮮の非核化が議題に含まれなければならないと返答し、北朝鮮が拒否した」と明らかにしていますから、本当のことのようです。

ただ、その時期は北朝鮮の核実験の数日前ではなく、昨年秋頃ではないかという見方も浮上しています。

というのも、この動きについて、昨年10月に中国の「新華網」や「人民網」が報じているからです。

それによると、北朝鮮は「朝鮮戦争において署名された休戦協定を、終戦を意味する平和協定に切り替えてくれ」と要求していたようです。

この事に慌てたのが韓国です。

2月22日、韓国の統一省報道官はこの米朝接触について「平和協定は米朝間の問題ではない。韓国が主体にならなければならない。……非核化の論議が優先される」と、北朝鮮の提案に反発しています。

なぜなら、仮に平和条約が結ばれたとしたら、今度は北朝鮮が「中国は既に半島から兵を引き上げたのだから、アメリカも半島から兵を退くべきだ」と言い出すことが容易に予想されるからです。

仮に在韓米軍が完全に半島から撤退すると、北朝鮮の軍事圧力および恫喝に対して韓国が自分達だけで立ち向かわなくてはならなくなります。安全保障上の問題が目の前に突き付けられる訳です。

当然この動きには中国も口を挟んできます。2月17日、中国の王毅外相は北朝鮮に核放棄を求めるだけではなく、休戦協定を平和協定に転換する協議を並行して進めるべきだと述べていますから、米朝平和協定を念頭に置いてのことは確実ですね。

以前、アメリカは、韓国にTHAADを配備する、しないをカードにして中国と交渉しているように見えると述べたことがありますけれども、ここまでくると、THAADどころか、韓国丸ごと、或は半島そのものをカード化してしまいそうな感じさえ受けます。

けれども、そうした平和協定を結んだとして、その結果行きつく所は、核に対する判断を放棄した、仮初めの平和、あるいは現状維持ではないかと思うんですね。

つまり、米中は核を抑止力として持っているのに、半島は核を持ってはいけないのかという論点に対する判断を放棄して現状を追認するということです。要するにやったもの勝ちということですね。

仮に、それで何年かの平和を得たとしても、北朝鮮がそのまま大人しくしている保障はない。いくらでも核開発を進めていく可能性は極めて高い。そのほうがずっと危険です。

ですから、半島を非核化するという前提を立てたならば、絶対取り下げるべきではないですし、それが不可能であるのなら、日本とて核抑止力というものを真剣に考えないといけなくなると思いますね。

コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. 泣き虫ウンモ
    • 2016年03月16日 23:27
    • よくヤクザと話し合いをしてどうするのだ?という例え話で語られることも多いかと思います。
      厳密に言うと、話し合いを時間稼ぎと考えている奴らと話合ってどうするのか?ということですかね。
      全てを命令一下で決められる国なので、独裁者の野心が優先されるのです。
      孫子の兵法としては、トップの野心を知ることが相手を知ることにつながりますね。
      優先順位としては、指導者の野心を知ることです。
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