今日はこの話題を極々簡単に……



6月21日、アメリカのサンフランシスコの連邦地裁は、韓国の元慰安婦の女性2人が日本政府や産経新聞社などの日本企業に原告1人当たり2000万ドルの損害賠償を求めた訴訟で、全21被告に対する原告の請求をすべて退ける判決を下しました。

訴状によるとは、国際法上の人道に対する罪や、海外での違法行為の責任を米国内で問うことができる米連邦法を根拠にしたそうですけれども、連邦地裁は、被告に対する裁判管轄権はない、と至極当たり前の判決を下しました。

これについては、昨年3月のエントリー「韓国の慰安婦集団訴訟をアメリカ連邦裁判所は受け付けるか」で取り上げたことがあります。筆者はここで、「元慰安婦の提訴が受け付けられるかどうかは今の価値観で過去を裁くという『遡及法』の観点と、アメリカの国内法を他国に適用する『領域外適用』の2つの観点から判断されるべきであり、実際は殆ど無理だだろう」、と述べたのですけれども、連邦地裁も順当に『領域外適用』はできないと判断したということです。

実は韓国の元慰安婦らは、2000年にも同じ提訴をワシントンの連邦地裁に起こしたことがあり、その時も、アメリカの裁判所に管轄権はないと却下されています。それでも彼女らは諦めず、再審請求したのですけれども、2006年連邦最高裁に却下されています。

まぁ、これをみると、今回の敗訴してもしつこく再審請求してくる可能性がありますけれども、同じ訴えが連邦最高裁に却下されていますから、おそらく結果は同じでしょうね。

どうもこのところ、慰安婦問題についての韓国国内の動きを見ていると政府と民間で対立というか仲間割れを起こしているように感じます。

韓国の挺対協と平和人権運動青年団体が2014年に作ったヨーロッパ平和紀行団なるものが、ヨーロッパの都市を行脚して慰安婦問題を宣伝して回っているのですけれども、今年のそれは、慰安婦についての日韓合意でも日本は真の謝罪をしなかったと触れ回っているようです。

実際、挺対協は日韓慰安婦合意に反発し、今年1月に「日本政府からの10億円拠出を体を張って拒否する」との声明を出し、募金による独自の財団の設立方針を発表。設立へ向けた総会を6月9日に開いています。また、自身が運営する支援施設に女性家族省から交付された運営費1500万ウォンを5月に返納しています。まぁ、韓国政府と真っ向対立している訳です。

その一方で、挺対協派以外の元慰安婦は日韓合意に好意的で、むしろ挺対協に拒否感を示しているという韓国政府の調査結果もあります。慰安婦の中でも意見が割れている訳です。

内部分裂させれば、そちらにエネルギーが取られることになりますから、其の分他の活動に割くパワーもそがれます。

アメリカという第三国に訴えて、プレッシャーを掛けようという作戦も却下され、韓国政府による告げ口外交も日韓合意で終止符が打たれました。

つまり、未だ、慰安婦問題を騒ぎ立てているのは挺対協を中心とするグループにまで縮小したと見ることもできますね。

その意味では、昨年末の日韓慰安婦合意は、見事に楔を打ち込んだといえるのかもしれません。

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