今日はこの話題です……
この程、イギリスのインデペンデント紙が、中国が全市民に向けた評価システムの導入を検討していると報じました。
それによると、監視機関が人々と職場とウェブでの行動、そして消費、借金などをチェックして、「可能な場所ではあらゆるところで」個々人のデータを考慮するようになるとしています。
例えば、低評価の市民には海外旅行や銀行でローンを組む許可が出されなくなり、低い評価を得た裁判官や役人は、仕事で昇進したり、巨大な政府機構で働けなくなったりする等です。
具体的な実施時期は発表されていませんけれども、役人についてのシステムは2020年までに稼働するようです。
もはや、漫画や映画の世界ですね。技術の進歩がそれを可能にするとはいえ、ちょっと行き過ぎな気がしないでもありません。
ただ、このポイント制ですが、今後の先進各国の移民政策を睨んだことなのかもしれないという気もします。
例えば、欧州では、グローバル化による市場競争が激化する中、2000年代から「望まれる移民」としての高度人材を優遇する一方で、「望まれない移民」である不法労働者を排除しつつ、その「望まれない移民」を「望まれる移民」につくりかえることを主要な政策とする「選択的移民政策」が活発になりました。
そしてEUでは、EU域外高度人材の域内での移動を自由にするEUブルーカードを導入しています。例えばドイツでは、2015年現在、年収4万6,400ユーロ以上の具体的な雇用口がある場合、初回滞在許可が最高4年まで認められ、更に、数学、自然科学、情報技術、技術職、医師といった専門家が不足している分野に対しては、最低年収が3万7752ユーロに設定されています。
要するに高度な人材であれば移民として受け入れましょうということです。
では、何を持って高度人材と判定するのか。
まぁ、その判定には色んな基準が考えられますけれども、その"高度さ"が数値で表示されていると分かり易いこともまた事実です。それゆえのポイント制導入ではないのかという気がするのですね。
実はこの移民受け入れに際して、既にポイント制を導入している国があります。日本です。
法務省は、平成24年5月から高度人材外国人の受入れを促進する為、高度人材外国人に対しポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置制度を導入しています。
これは、高度人材外国人の活動内容を「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類しそれぞれの特性に応じて、「学歴」・「職歴」・「年収」などの項目ごとにポイントを設けて、ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合に出入国管理上の優遇措置を与えるというものです。
この日本のポイント制度がその他各国で適用または適用されていくのかどうかは分かりませんけれども、中国のポイント制導入には、そうした他国への移民も視野にいれた動きなのかもしれません。
もっとも、中国当局がつけるポイントが"公平"に行われるかどうかは知る限りではありませんが。
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