今日は感想エントリーです……



12月9日に可決された朴槿恵大統領の弾劾訴追案に対して、韓国の憲法裁判所が12月22日に公判準備手続きを行いました。事実上の初公判となるこの場で13件の弾劾訴追事由を5つに整理されたようです。その事由は次のとおり。
・大統領の親友の崔順実被告らによる国政介入に伴う国民主権主義・法治主義違反
・大統領の権限乱用
・2014年の旅客船「セウォル号」沈没事故に絡む生命権保護義務違反
・収賄など刑事法違反
・言論の自由の侵害
また、憲法裁判所は検察に捜査資料の提出を要請し、韓国国会側と大統領の弁護人の双方に事実関係を確定するための追加資料の提出を求めています。その中で、朴大統領側に対しては、弾劾訴追事由のうちどれを認め、どれを否認するかについて明確にするように求めるとともに、「セウォル号」事故当日の大統領の行動を全て明らかにする資料を提出するよう求めています。

まぁ、審査の為の情報を集めるという意味では当然の要求だと思います。

今回の弾劾訴追案について、全羅北道大学法学専門大学院のソン・キチュン教授は「時期が問題になるだけであって、大統領弾劾を決定する事案であるという点に大きな意見の相違はないと思う……弾劾訴追は重大な違反に限定されなければならない。ただし、憲法に違反する場合は重大性の要件をすでに違憲判断として考慮するため、あえて『重大な憲法違反』を言う必要はない」と述べています。

憲法違反に相当するものは弾劾訴追に値するということです。

一方、朴大統領の弁護団は12月16日に弾劾に関する答弁書を憲法裁判所に提出しているのですけれども、答弁書で親友の崔順実被告の国政介入事件について「国政や高官人事に広く関与したというのは事実ではなく、立証されたものはない」と反論、贈賄罪などについても「崔被告らの一審の刑事裁判手続きで十分な審理を経た後に決定されるべきだ……証拠があったとしても、罷免を正当化する重大な法律違反はない」と述べています。

こちらは、弾劾訴追は立証されたものでないと駄目だという主張ですね。

一見、双方それぞれの主張を述べているように見えますけれども、要は十分に審理をして、ちゃんと立証された結果、憲法違反かそうでないかを判断すべきだということです。

けれども、今回整理された5つの弾劾訴追事由について、果たして何処まで立証され、それが憲法違反であるかどうかどう判断するのか。いくら検察から捜査資料の提出を受けたとしても、崔順実被告らによる国政介入とか、言論の自由の侵害とか、どう判断するのでしょうか。本気に言論の自由を侵害する気があるなら、朴大統領に対する弾劾デモなど、武力鎮圧するなどいくらでも手があった筈ですしね。

真面目に審理すればするほど時間は必要になります。その間は国政、とりわけ外交が止まります。首脳が不在の国家と真面目に外交交渉をする国はありません。実際、今月行われる予定だった日中韓首脳会談も流れましたしね。

韓国のレイムダックは暫く続きそうです。
 

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