今日はこの話題です。
2017年はどんな年になるかについて、所感をば。
今年は、一言でいえば、変化の年になると思います。その震源はアメリカであることはほぼ間違いなでしょうね。
アメリカの次期大統領のトランプ氏がアメリカ・ファーストを唱えていますけれども、トランプ氏がアメリカに変化を齎し、それが世界に波及していくのではないかと思います。
トランプ氏は御存知のとおり、TPP離脱を宣言しています。大統領就任式のその日に宣言すると言っていますけれども、未だに撤回も修正もしていませんからね。本当に離脱する可能性は高いと思います。
けれども、たとえTPPを離脱したとしても、他国との貿易ルールが無くなる訳ではありません。関税や輸入割当など貿易制限的な措置をそれぞれ取り決めて置かなければ意味がありません。貿易制限フリーだとTPPと変わりません。
トランプ氏は昨年の10月22日に「アメリカを再び偉大な国にするための就任100日の行動計画」を発表しています。
◆アメリカの労働者を守るための7つのアクションこれをみれば分かるとおり、トランプ氏は、TPPの離脱とNAFTAの再交渉または離脱を公約に掲げています。無論、その目的は自国の国益を最優先したアメリカ・ファーストであることは疑いありません。
1:北米自由貿易協定(NAFTA)は第2205条に基づき再交渉するか離脱する。
2:環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は離脱する。
3:中国が為替操作国であることを認定するよう財務長官に直接命令を下す。
4:アメリカの労働者に不公平なすべての乱用的為替操作を特定し根絶する法律を制定するよう商務省とアメリカ貿易局に直接命令を下す。
5:シェールオイル、石油、天然ガス、クリーンな石炭などのアメリカが有する50兆ドル(約5300兆円)規模のエネルギー備蓄を放出する。
6:オバマ-クリントン路線でのインフラ投資抑制を撤回し、Keystone Pipelineなどの有望なインフラ整備プロジェクトを許可する。
7:気候変動枠組条約で支払っている何十億ドルもの分担金を取りやめる。取りやめた分担金はアメリカ国内の水などの環境インフラの整備に振り替える。
トランプ氏はTPPを廃止して公平な二国間協定の実現を目指すと主張していることからみて、FTAがメインになると思います。
現在アメリカは、多国間協定としてはNAFTA(アメリカ、カナダ、メキシコ)、CAFTA-DR(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、ドミニカ)を締結し、二国間協定としては、次ぎの12ヶ国との間でFTAを発効しています。
アメリカ-オーストラリア FTA 2005年1月発効これを見て分かるとおり、アメリカと政治的な結びつきの強い国とFTAを結んでいて、アジア、特にASEAN諸国とは殆どFTAを結んでいないことが分かります。
アメリカ-バーレーン FTA 2006年1月発効
アメリカ-チリ FTA 2004年1月発効
アメリカ-コロンビア FTA 2012年5月発効
アメリカ-イスラエル FTA 1985年9月発効
アメリカ-ヨルダン FTA 2001年12月発効
アメリカ-韓国 FTA 2012年3月発効
アメリカ-モロッコ FTA 2006年1月発効
アメリカ-オマーン FTA 2009年1月発効
アメリカ-パナマ FTA 2012年10月31日発効
アメリカ-ペルー FTA 2009年2月発効
アメリカ-シンガポール FTA 2004年1月発効
先の100日間プランをみて、筆者がポイントだと思うところは「公正な取引」ではないかと思います。特に中国を為替操作国だと名指しするに当たっては不正は許さないという強い意思を感じます。
付け加えるならば、「ワシントンD.C.内の特別な衝突を一掃する6つの政策」の中で「外国政府を利するロビー活動をした職員は、永久にロビー活動を禁止する」と謳っている部分です。6つの政策のうち3つがロビー活動に関するものです。これは地味に大きな政策ではないかと思いますね。
こんなところにも「不正を許さない」的な考えが透けてみえるように思います。
ともあれ、2017年はアメリカの動きを抜きにしては語れない。良くも悪くもアメリカが変化の発信源となっていくように思いますね。
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