昨日の続きです。
9月5日、小野寺五典防衛相は防衛省内で記者団に対し、北朝鮮による3日の核実験の爆発規模について、広島原爆の8倍に相当する120キロトンに達する可能性があるとの見解を示しました。
政府は核実験直後には70キロトンと推定していたのですけれども、包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)が地震の規模を初期評価のマグニチュード5.8から6.0に暫定上方修正したことを受け、再計算した結果のようです。
小野寺防衛相は確定値が出た後に分析が必要とした上で、「仮に6.0であれば、それをもとに試算すれば今回の核実験の想定出力は120キロトン。かなり高い能力を発揮する核実験だったと判断できる……水爆の可能性も否定できない」と指摘しています。
120キロトンは広島型原爆の約8倍、長崎型原爆の約6倍弱の出力に相当します。北朝鮮が昨年9月に実施した核実験の出力が11~12キロトンだったことに比べれば大幅な出力アップです。
北朝鮮の挑発の度はどんどんエスカレートしていっています。
9月5日、北朝鮮の韓大成・駐ジュネーブ国際機関代表部大使は国連の軍縮会議で、「9月3日に大陸間弾道ロケット向けの水素爆弾実験を行い、成功した……北朝鮮に圧力をかけようとして無謀な挑発行為や無益な試みに頼るのであれば、アメリカはさらに多くのプレゼントを受け取る」と述べ「どんな状況においても北朝鮮が核抑止力を交渉のテーブルに置くことはない」と強調しました。
昨日のエントリーで、北朝鮮は更なる弾道ミサイル発射を準備する動きがあると述べましたけれども、確実に発射するでしょうね。なぜなら、確実にアメリカ本土の届く飛距離が出せると見せつける必要があるからです。
前回、北海道の襟裳岬を掠めて太平洋に落下させた弾道弾の飛距離は約2700キロでした。
北朝鮮からグアムまでは約3400キロ。ハワイまでは約7500キロ。ロサンゼルスまで約9500キロであることを考えると、最低でも3000キロ以上、できれば8000から10000キロ飛ばして、アメリカ本土も射程圏であることを誇示するのではないかと思いますね。
或いは、裏を掻くのが好きな金正恩のことですから、弾道ミサイルを移動させてそちらに注目を集めておいて、黄海あたりから潜水艦発射型SLBMを撃ってくることも考えられます。
もっとも北朝鮮のSLBMはそれほど射程がある訳ではなく、推定2000キロと言われています。ですからアメリカ本土を攻撃するには外洋深く進出する必要があるのですけれども、仮にアメリカが北朝鮮を空爆しても報復攻撃するぞとアピール出来る利点がないわけでもありません。
その意味では、ICBMで10000キロ飛ばして、SLBMで2000キロ飛ばして見せるということくらいは有り得ると思いますね。
これについて、麗澤大の西岡力客員教授は北朝鮮内部から得た情報として、次のように述べています。
「正恩氏は8月に、朝鮮人民軍に対し、『核実験をやれ、ミサイルもどんどん撃て、SLBMも撃て。米国が我慢できないぐらい圧迫して、交渉の場に引き出せ』という指令を出したといわれている」これが本当であれば、更なる挑発が行われることになります。もう事態は待ったなしの状況まで来ているといっていい。やはり今月は最大の警戒が必要だと思います。
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