今日もこの話題です。




米朝の睨み合いが続いています。

9月7日、アメリカのトランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、北朝鮮への対応について「軍事行動は確かに選択肢だが、ほかのことがうまくいくならすばらしい。私は軍事行動への道を進まないことを望む……軍事行動は起こりうる。アメリカ軍はかつてなく強い。われわれがそれを使えば、北朝鮮にとって非常に悲しい日になるだろう」と述べ、「北朝鮮はひどいふるまいをしている」と挑発行為をやめるよう求めました。

トランプ大統領の過激発言は相変わらずですけれども、以前よりはっきりと軍事行動という言葉をつかっているように感じます。準備事態は整っていると見た方がいいようにも思います。

あと、足りない部分があるとすれば、それは大義名分というか、国際社会の合意なのでしょう。

同じく7日、アメリカ国務省のナウアート報道官は記者会見で「今回の核実験は、アメリカだけの安全保障上の問題ではなく世界にとっての問題だ。中国はそれを理解し、ロシアも同じだと思っている」と中国とロシアに対して新たな制裁決議に賛成するよう促しています。

ロシアのプーチン大統領は圧力は解決に導かないと従来のスタンスを変えていませんけれども、中国は少しグラついています。

7日、中国の王毅外相は北朝鮮がこれ以上国際合意に反する行動を取らないよう望むとし、「朝鮮半島における動向を考慮し、中国は国連安保理が追加措置を取り必要な方策を実施すべきだとの意見に賛同する。……北朝鮮に対する国際社会からの新しい行動は、同国の核やミサイル計画の抑制につながると同時に、対話と協議再開に貢献するものでなくてはならない」と述べました。対話対話といっていたのが一歩後退した発言です。

ただ、賛同するとして追加措置の内容については言及しておらず、焦点の石油供給停止にまで踏み込めるかどうかは不透明ですし、賛同そのものも渋々といった感じで、どこまで本気か分かりません。

というのも、8日、習近平主席はフランスのマクロン大統領と電話会談を行い「朝鮮半島の核問題は最終的には対話を含む平和的な手段によってのみ解決できる」と述べているんですね。

国連安保理の常任理事国は米、英、仏、露、中の五ヶ国。

先日、イギリスのメイ首相が来日し、安倍総理との会談で、北朝鮮への圧力強化で連携することを確認しています。つまり常任理事国のうち米英の二ヶ国は圧力強化。中露は対話路線でっすから2対2です。つまり残ったフランスが圧力と対話のどちらに転ぶかで国際社会が了解したかどうかの見方も変わることになります。

今の北朝鮮の振舞いをみて、常任理事国が拒否権を出すのは難しい。中国にしてみれば、自分は口先で追加制裁に賛同といいつつ、露仏が対話路線になってくれたら、国際社会は圧力を望んでいないと主張してアメリカを牽制することができます。

いつの間にかフランスがキャスティングボードを握った形となっているのですね。その意味では、中国はフランスに工作をしているとも言えます。

勿論、日米もフランスに工作を仕掛けています。

同じく8日の夜、安倍総理はフランスのマクロン大統領と電話会談を行っています。内容は明らかになっていませんけれども、安倍総理は北朝鮮への制裁を強化する国連安全保障理事会の決議採択に向け、常任理事国のフランスに協力を求めたとみられています。

フランスの票を巡って、日米英と露中とて水面下の攻防が繰り広げられていると見るべきでしょうね。

追加制裁決議がどういう内容になるのか。要注目ですね。
 

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