今日はこの話題です。



3月24日、北朝鮮外務省の崔光一・北米担当副局長はフィンランド訪問を終え、北京を経由後帰国の途に就きました。

チェ氏は20~21日にフィンランドで米国や韓国の代表団との会議に出席したのですけれども、チェ氏は空港で報道陣の質問に「言うことはない」とノーコメントを貫きました。

米朝首脳会談が行われる見通しだと報じられてから、二週間経過したのですけれども、アメリカが会談の条件としている北朝鮮の「非核化」について何の続報もありません。

ただ、3月20日、朝鮮中央通信が「アメリカとの関係でも変化の機運が現れている」と伝えていますから、フィンランドでの会談で何某かの前進がみられた可能性はあります。

これについてコリア・レポート編集長の辺真一氏は北朝鮮が本気で会談を行うのかどうかを占うチェックポイントがあるとして、次の4つを挙げています。
1)4月1日から始まる米韓合同軍事演習への対応
 北朝鮮はこれまで米韓合同軍事演習が行われる度にミサイル発射などの対抗措置を取ってきた。仮に北朝鮮のメディアが米韓合同軍事演習を非難したとしても、ミサイル発射などの挑発を自制すれば、金委員長の本気度の裏付けとなる。

2)最高人民会議を4月中に開催して、非核化の意思を表明する

 北朝鮮は2012年4月の最高人民会議で憲法を修正し、自らを「核保有国」であることを明記した。本当に非核化する意思があるならば、憲法から削除しなければならない。最高人民会議を召集する場合、通常、3週間前に公示しなければならない。

3)NPTへ復帰する
 北朝鮮は2003年1月にNPTからの脱退を宣言している。それでも北朝鮮、国際原子力機関(IAEA)の査察は断続的に受けていた。しかし、2009年4月、人工衛星と称した長距離弾道ミサイル発射に対する国連安保理の制裁措置に反発し、IAEAの監視チームを国外退去させた。トランプ大統領との会談を前に金正恩書記長がNPTへの復帰を表明すれば、米朝首脳会談は決定的なものとなるだろう。

4)ワシントンへの特使派遣
 金正日総書記の時代の2000年10月、クリントン大統領との首脳会談を画策したことがあった。この時、金正日総書記は当時、最も信頼していた最側近の軍トップの趙明禄朝鮮人民軍総政治局長を特使としてワシントンに派遣した。此の過去の経緯を考えると、金正恩委員長がトランプ大統領との早期会談を望むのであれば側近をワシントンに送るだろう。
まぁ、要するに、北朝鮮がアメリカが条件としている核放棄への姿勢を見せるかどうか、ということですね。既にアメリカはその為の交渉というか下準備を始めているように思えます。

3月20日、米韓連合軍司令部は米韓合同軍事演習を4月1日に開始すると発表。「演習は例年通りの規模で行われる」としたのですけれども、例年2ヶ月間行っていた、朝鮮半島有事を想定した合同野外機動訓練「フォール・イーグル」を1ヶ月に短縮するなど、譲歩を見せています。

その一方で、トランプ大統領は22日、国家安全保障担当の大統領補佐官を、現職の・マクマスター氏から、ジョン・ボルトン元国連大使に交代させると発表しています。

ボルトン氏は外交タカ派として知られ、W.ブッシュ政権時代に軍備管理・国際安全保障担当の国務次官として北朝鮮との六者会合やイランの核開発問題などを担当した経歴の持ち主です。

ボルトン氏は北朝鮮に対して強硬姿勢で臨み、当時の金正日総書記を「圧政的な独裁者」と呼び、北朝鮮で生きることは「地獄の悪夢」などと発言。北朝鮮から「人間のクズ」とまで批判された人物です。

六者協議を担当していたということは北朝鮮のやり方を熟知しているということでもありますから、米朝首脳会談に備えた人事とみていいと思いますね。

アメリカは2005年9月、北朝鮮の偽ドルのマネーロンダリングに関わったとして、マカオの「バンコ・デルタ・アジア」とアメリカ系銀行の取引を停止し、北朝鮮系の口座を凍結したことがあるのですけれども、これを仕切ったのはボルトン氏と、彼と親しいレビー財務次官で、彼らが組んでやったと言われています。

更にボルトン氏は日本人拉致問題に関する理解も深い人物として知られています。

拉致被害者の支援組織「救う会」の副会長を務める福井県立大の島田洋一教授は、2003年、当時国務次官だったボルトン氏に横田めぐみさんの双子の弟、拓也さんと哲也さんと共に面会したことがあります。横田さんが「13歳で自分たちの姉は拉致されたんだ」と言うと、ボルトン氏は顔を真っ赤にして、体を揺すりながら、「絶対に許せない」と怒りを示し、その後何回も拉致被害家族と会っています。

それゆえ、拉致被害者家族からの信頼も厚く、2007年11月に北朝鮮による拉致被害者家族連絡会・北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会が訪米した際、最初に面会したのもボルトン氏でした。

ですから、ボルトン氏の補佐官任命は、日本に対するメッセージも含んでいるとみていいでしょうね。

3月19日、ボルトン氏はアメリカ政府系放送「ラジオ・フリー・アジア」とのインタビューに応じ、北朝鮮に対する軍事攻撃について「好ましくないし、誰も望んでいない……北朝鮮に核兵器を持たせたままにするのも誤りだ」と強調。米朝首脳会談の見通しについては「北朝鮮はこの25年間、約束を破り続けてきた。彼らが真剣なのかは疑わしい……北朝鮮はこれまで、交渉を核・弾道ミサイル開発の隠れみのに使ってきた。同じ策略に再びはまってはならない」と指摘。

更に、2003年にリビアのカダフィ旧体制に完全核放棄を受け入れさせたときと同様に、北朝鮮の核開発に関する全ての機器や資材をアメリカ政府が接収することを北朝鮮に認めさせるべきだと述べた上で、「それができないのであれば、会談は時間の無駄だ」と語っています。
先に、コリア・レポートの辺真一編集長は、北朝鮮が非核化の意思を見せることが米朝会談の条件だとしていることを紹介しましたけれども、ボルトン氏にいわせれば、それはただのスタート地点に過ぎず、核開発関連機器や資材を全て接収できないと意味がないということです。

これを北朝鮮が飲めるかどうかは非常に怪しいですね。場合によっては会談しただけで、決裂することも考慮にいれておいた方がいいかもしれませんね。
 

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