今日はこの話題です。
近々地表落下すると予測されている中国の宇宙ステーション「天宮1号」を捉えた映像が公開されました。
これはドイツの「フラウンホーファー高周波物理学・レーダー技術研究所(FHR)」が、3月27日に撮影し、ユーチューブに公開したもので、動画には落下しながら回転する様子が映し出されています。説明では「回転速度は毎秒2.2度まで大きくなり、2分43秒でその軸を1回転している」となっています。
中国の専門家は「天宮1号への制御は継続している」とコメントしているようですけれども、動画をみる限りでは、とても制御できているとは思えません。
中国当局は今月になって31日から4月2日の間に大気圏に突入するという予測を発表しており、29日には関東上空を通過する姿が捉えられています。
天宮1号については2016年9月のエントリー「君の名は『天宮1号』」で取り上げたことがありますけれども、とうとうその日が近づいてきたということです。
天宮1号の落下地点については、24時間前であるとか、本当に直前にならないと分からないようです。探査船を惑星軌道に乗せたり、小惑星に着陸させたりする程の今の科学力でも落下予測については左程進んでいません。
その理由は大気の動きを世界規模でリアルタイムに監視できていないことがあるからです。
アメリカ・テキサス大学オースティン校のモリバ・ジャー氏は「しっかり未来の予測ができるほど、私たちは正確かつ高精度に大気の動きと働きを理解しているわけではありません。つまり、天宮1号の軌道を予測するには、不確定要素が多すぎる。予測しても、突入する場所が太平洋上か、米国本土かほどの差異が生じることにもなるのです」と述べています。
宇宙開発などにて「大気圏再突入」と言われる境目は高度100km付近といわれています。そこからは急激に空気との摩擦が激しくなり、高度60km~70km辺りから天宮1号は燃え始めます。
29日の時点で、天宮1号は高度約200km、1日に4kmずつ地球の周回軌道から離れているそうですけれども、再突入の正確な日時も依然としてつかめていない。なぜなら、上層大気の密度が太陽の活動によって変化するためで、どの時点でブレーキが掛かって急速落下するか分からないからです。
それでも、各機関は懸命に予測をしています。
ESA(欧州宇宙機関)の最新の予測によると、落下予定日は3月30日~4月2日。北緯43度から南緯43度までの広いエリアに落下の危険性があるが、最も可能性が高いとされる緯度には、アメリカのニューヨーク、スペインのバルセロナ、イタリアのローマなどに並び、日本の札幌が含まれているとのことです。
天宮1号の機体の大半は大気圏内で燃え尽きると考えられていますけれども、エンジンなどの頑健なパーツはある程度の質量を保ったまま地上を直撃する可能性があるとされています。
過去、人工衛星は数多く落下しています。過去60年間に制御不可能な人工衛星やロケットの部品が地球に再突入した事例は6000件に及びます。
1974年、NASAの宇宙ステーション「スカイラブ」がオーストラリアの都市エスペランサに落下したことがありますけれども、人命に関わる事故とはなりませんでした。
人に当たったことがあるのは1件だけ。それも、かなり小さな部品が肩に当たっただけで、かすり傷にもならなかったそうです。
スペースデブリが運悪く人間にぶつかる可能性は、計算上は1.2兆分の1に過ぎないとのことなので、左程気にすることはないと思われます。
落下する天宮1号については、肉眼で観測できるそうです。飛行機との違いは一目瞭然で点滅しない白い光として一瞬にして空を横切って行きます。
こちらのサイトで天宮1号の可視状態での通過予測を見られますけれども、4月1日の東京(東京ドーム付近)では、4時58分頃から5時1分までの間に北の空スレスレを西から東に通過するようです。
大きな事故にならないことを祈ります。
コメント
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森友見てると他山の石とは思えませんが。
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