昨日の続きです。




4月12日、アメリカのトランプ大統領は6月初めまでに開かれる見通しの米朝首脳会談について、「私と金正恩氏との会談は、ちょうどいま準備が行われているところだ。会談は素晴らしいものになると思う」と述べました。

アメリカ政府関係者によると、北朝鮮とは首脳会談の準備のため水面下で既に複数回、直接協議を行っていて、「北朝鮮側は朝鮮半島の非核化について話し合う用意のあることを伝えてきている」とのことです。

とはいえ、非核化について話し合うことと実際に非核化することの間には天と地ほどの差があります。しかも相手は嘘と騙しの北朝鮮です。

その辺りはアメリカも当然、認識しています。

オバマ政権でCIA長官や国防長官を歴任したパネッタ氏は当時、北朝鮮に対しては非核化に応じない限り交渉しないという方針で対応した経験を持っているのですけれども、彼はNNNの取材に「北朝鮮は核兵器排除のためのいかなる努力も拒否するだろう。彼らにとって核能力は政権を守る唯一の機能だからだ」と非核化には応じないとの見通しを述べています。

また、「北朝鮮が米韓に対してどんな見返りを要求するか検討し準備する時間がほとんどない」と準備不足の懸念を指摘しています。

この通りだとすると、たとえ会談が行われたとしても、何某かの結論が出ない可能性がある事も予想されます。

であれば、会談する意味があるのかということになるのですけれども、アメリカはそう腹を括っている節も感じられます。

12日、次期国務長官に指名されたポンペオCIA長官は上院で開催された指名承認公聴会で、北朝鮮が非核化に応じるかとの質問に対し、歴史的分析を踏まえると「楽観視できない」と答え、過去に行われた北朝鮮との交渉では、米国や他の関係国が制裁緩和を急いだことが北朝鮮による合意破棄を招いたと指摘しています。

そのうえで「見返りを提供する前に恒久的かつ不可逆的な結果を得ることを確実にすることが、トランプ大統領と政権の意図するところだ……難しい注文ではあるが、トランプ大統領が穏健な外交を通じて実現することを望んでいる」と述べました。

ポンペオ長官は「包括的な合意に達するとの幻想は誰も抱いていない」とまで述べています。要するに会談に過度な成果は期待していないということですね。

それに米朝首脳会談が行われるにしても、どこで開催するのか、という問題もあります。

これまで、首脳会談の候補地としては、アメリカ、北朝鮮両国の首都とともに、軍事境界線にある板門店、北京、ジュネーブ、モスクワ、ストックホルムなどが検討されたようです。

日米情報関係者によると、「両首脳とも、交渉の主導権を握りたいので、相手の首都は避けたいはずだ」とのことですから、そうなると残るは第三国となります。

けれども、北京だと今後の交渉において中国の影響力が増すことになりますし、板門店ではあまりにも北朝鮮寄りです。モスクワでもロシアとの関係が今一つギクシャクしているトランプ政権にとっては選択しにくい。

残るジュネーブ、ストックホルムなどEUとなると、北朝鮮の飛行手段の問題も出てきます。

ワシントン・ポストによると、北朝鮮を訪れた旅行者などの証言から、金正恩がワシントンやスウェーデン、スイスなどに行くための長距離飛行機が北朝鮮内部にない可能性があるというのですね。

何でも、北朝鮮が保有する機体が古く、3000マイルを超える飛行は負荷が重いのだそうです。

勿論、高麗航空が保有するツポレフ等の最新旅客機を使えば、長距離飛行も問題ない、との指摘もあります。

それ以外に、日本からは、日本での開催はどうかという案も浮上しているそうです。なぜなら「北朝鮮の完全非核化」と「拉致問題」をセットで交渉できるからです。

官邸関係者は「北朝鮮は『平壌開催』を提案したが、安倍首相は日朝首脳会談での、北朝鮮の盗聴などを体験している。日米首脳会談で『平壌開催はダメだ』と、トランプ氏に説くだろう。正恩氏が訪中したことで『第三国開催は可能』『米国に有利な場所がいい。日本も候補地だ』と持ちかければいい」と述べていますけれども、実際に安倍総理が今度の日米首脳会談でそう切り出す可能性はあります。

ただ、まぁ、北朝鮮は日本開催は飲まないでしょうね。北朝鮮にとってメリットはありませんから。

会談場所を巡っては色々な駆け引きが行われていると思いますけれども、仮に行うにしても、何処で行われるかというのも、今後の推移を占う意味でも重要な要素になるかと思いますね。

コメント

コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット