今日はこの話題です。



4月14日、シリアのアサド政権による化学兵器使用への報復として、米英仏3ヶ国が関連3施設に巡航ミサイル「トマホーク」約100発を発射しました。

米軍は先のトマホークに加え空爆にB1戦略爆撃機を参加。英軍はトーネード戦闘機4機と巡航ミサイル「ストームシャドー」で爆撃。フランス軍はフリゲート艦4隻とミラージュ戦闘機、ラファール戦闘機を出撃させました。

昨年4月に行われた米軍の攻撃は、シリア中部のシャイラト空軍基地1ヶ所だけだったのですけれども、今回は首都ダマスカス近郊の研究施設や中部ホムスの化学兵器保管庫など攻撃対象を拡大していることから、化学兵器使用への報復という面がより強調された形です。

これについて、アメリカのトランプ大統領は14日の午前10時すぎ(日本時間)国民に向け「アサド政権が再び、罪のない市民を虐殺するため、化学兵器を使った」と述べ、アサド政権の化学兵器の関連施設に対してアメリカ軍に軍事攻撃に踏み切るよう命じたと声明を発表しました。

続いて約1時間後の11時過ぎ(日本時間)にはマティス国防長官が記者会見し、攻撃はすでに完了したことを明らかにしました。

実際の攻撃は14日9時55分(日本時間)に始まったようですから、トランプ大統領の発表は攻撃開始後のタイミングです。

その後1時間余りで攻撃完了との発表ですから攻撃はミサイル攻撃が中心で大規模な地上軍派遣といった事態にはなっていないものと思われます。ただしトランプ大統領は「今晩のわれわれの行動の目的は化学兵器の製造・拡散・使用に対する強力な抑止力を確立することだ……アサド政権が禁止されている化学物質の使用をやめるまで、われわれはこの対応を継続する用意がある」と述べていますから、情勢次第では更なる追加攻撃はある可能性は残されています。

今回の攻撃はアサド政権の温存を図る形でシリア内戦の戦後処理を目指すロシアやイランに対して強い警告を発する目的があったと見られ、攻撃に際し、マティス国防長官は、外国人兵士の被害を避けるよう配慮し、シリア国内に展開するロシア軍部隊との偶発的衝突を避けるため、専用回線で攻撃を通告したと述べています。

これはまた同時に北朝鮮に対しても、核・ミサイル開発を放棄しなければ実力行使も辞さないとする、トランプ政権の本気を示したともいえるでしょうね。

小野寺防衛大臣は、NHKの取材に対し、「まだ詳しい状況はわからないが、攻撃の状況などについて確認したい。アメリカとロシアの関係が北朝鮮情勢に与える影響などについても、慎重に分析する」と述べていますけれども、防衛省幹部は、「トランプ大統領は攻撃を示唆していたので、予想はしていた。今後、ロシアなど関係国の動向などについても分析する必要がある……米朝首脳会談を前に、『いざとなれば軍事行動に出る』というアメリカの姿勢が示されたことは、北朝鮮に対するプレッシャーになる可能性もある」と指摘しています。

これに焦っているのが中国です。

14日、外務省の華春瑩報道官は米英仏のシリア攻撃について「国連安全保障理事会を通さない一方的な軍事行動は国際法違反である」と批判し、シリアでの化学兵器使用疑惑に関し、「全面的で公正、かつ客観的な調査を実施しなければならない」と述べ、シリア問題の政治的解決を関係各国に呼びかけました。

また、ロシアはシリア攻撃後、安保理会議を招集して、シリアに対する攻撃中止を呼びかける決議を行ったのですけれども、その決議案に賛成票を投じたのはロシア、中国、ボリビアの3ヶ国。フランス、英イギリス、アメリカなどの8ヶ国が異議を唱え、ペルー、カザフスタン、エピオピア、赤道ギニアの4ヶ国は棄権。過半数を集めることは出来ず承認されませんでした。

ロシア外務省のザハロワ報道官は「ホワイトハウスは、化学兵器の使用について、ビデオや写真で伝えたマスメディアや信頼に足る情報があるから確実だと言っている。米国やほかの西側のマスメディアは、起きたことに対する自分の責任を理解すべきだ」と批判していますけれども、中国がシリアでの化学兵器使用疑惑を調査すべきだとコメントしているのは、ロシアへの配慮も含まれているでしょう。

しかし、中国がそれ以上に懸念していると思われるのが当然ながら北朝鮮です。

今回のシリア攻撃で、米朝首脳会談が決裂した場合、トランプ政権が北朝鮮への攻撃に踏み切る可能性が取り沙汰されています。中国としては朝鮮半島で同様の事態が発生することは避けたい。となると、北朝鮮の核廃棄について更なるプレッシャーを掛けざるを得なくなります。

世界情勢は大きく動き出しています。

日本はモリだのカケだので騒いでいるときではないのはいうまでもありません。北朝鮮情勢を巡ってここ半年が正念場になると思いますね。
 

コメント

 コメント一覧 (3)

    • 1. 金 国鎮
    • 2018年04月15日 15:48
    • OPCWが化学兵器の査察に入る直前にシリアに爆撃。
      ロシアに支援されたシリア政府軍が反政府軍の地域を完全制圧と14日発表。
      トランプが攻撃終了を宣言。
      馬鹿げているよ。
      地上軍の派遣をしなければ軍事攻撃の意味をなさない。
      次から次に正確な事実が暴露されて欧米列強の正体が間もなく明らかになるだろう。
      ドイツとイタリアはうまく逃げたようだ。
      中東和平に向かっているのはシリア政府軍とロシアだよ。
      欧米列強は東アジアでも過去百年以上同じ手を使ってきたが歴史的な転換点に来たようだ。
      クリントン・ブッシュ・オバマとひどかった。
      パレスチナの人々に光が見えてきた。
      中国の習近平の登場・ロシアのプーチンの登場そしてロシア・中国の協力がある限り
      西洋列強はアジアにそしてユーラシア大陸に軍事進攻できない。
      例外は中東ではイスラエル、東アジアでは日本だ。
      韓国は何とかうまくこの包囲網から逃げようとしているようだ。
      ムンジェインと金正恩が何ができるかは依然として不明。
      日本では日本の官僚・大手メディアがこの体制を支えている。
      アメリカを盟主とする政治体制の教育を受けて育った多くの日本人と韓国人が孤立していくだろう。
      安部晋三はその種の人間だよ。
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    • 2. 夢芸大食
    • 2018年04月16日 03:57
    • シャープが、ガンダムに売却した強誘電体アレイアンテナの立体角全周ビーム電送技術は、
      ヨーロッパIBM監査の派遣社員がVband 応用に気づき携帯電話民兵無線機に?
      中露は、戦闘機‥
      印度は巣包囲新型ノックダウン生産に
      陸空連係量産品が出回る前に西側の軍事カ行使❔
      呉服のピンクレディーガンダム特番は新兵器の圧倒的武力確認戦争説‥
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    • 3. Bianca
    • 2018年04月17日 11:06
    • Com tempo m�喫mo de taxa de 15 anos.
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