今日はこの話題です。



4月20日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、核実験とICBMの発射実験を21日から中止し、核実験場を廃棄する考えを表明しました。

朝鮮中央テレビが21日に伝えたところによると、20日に開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会で、金正恩委員長が演説を行い、その中で「核開発と運搬攻撃手段の開発がすべて行われ、核の兵器化の完結が証明された状況で、いかなる核実験も、中長距離、大陸間弾道ミサイルの発射実験も必要なくなり、北部の核実験場も使命を終えた」と述べました。

そして総会では、核実験とICBMの発射実験を21日から中止するとともに、「透明性を保証するため」として、北東部の咸鏡北道豊渓里にある核実験場を廃棄することを決めたとしています。

けれども、北朝鮮が廃棄するといったのは「核実験」であり、中止するといったのは「ミサイル発射」だけです。

核開発が完了していれば、核実験場を廃棄したところでもはや北朝鮮にとってはどうでもよく、ミサイル発射はいつ「再開」してもおかしくないわけです。

実際、金正恩委員長は「わが国に対する核の脅威や、核の威嚇がない限り、核兵器を絶対に使わず、いかなる場合にも核兵器と核技術を移転しない」と述べていて、「北朝鮮に対する核の脅威や、核の威嚇があれば」、いつでも核兵器を使えるといっているのに等しいのですね。

しかも、その判断は北朝鮮自身が決めるとなれば、全ては金正恩の胸先三寸であり、これをもって北朝鮮の非核化には程遠いといわざるを得ません。

その辺りは日本政府も承知しています。

訪米中の小野寺五典防衛相は20日、ワシントンで記者団に「私どもにとっては満足のいくものではない。中・短距離弾道ミサイルや核の放棄に触れていないのでは不十分だ……国際社会が求めているのは完全で検証可能な不可逆的な方法で全ての大量破壊兵器とあらゆる弾道ミサイルを放棄することだ……日本にとっては中・短距離弾道ミサイルの放棄がなければ意味がない」と断言しています。

そして、その上で北朝鮮側の今回の報道に関わらず、北朝鮮への「最大限の圧力」を維持する重要性を強調しています。

無論、この方針は日米ですり合わせされており、北朝鮮に対し、あらゆる種類の弾道ミサイルとすべての大量破壊兵器の放棄を求めていくことで一致しています。

小野寺防衛相は21日、マティス国防長官と会談し、米朝首脳会談での対応などをめぐって意見を交わしていますけれども、小野寺防衛相は「強固な日米同盟のもと、北朝鮮のすべての大量破壊兵器を含む、あらゆる弾道ミサイルの放棄を実現することが大事だ。日本にとっては特に、短距離・中距離のミサイルの放棄も重要だ」と述べ、マティス長官は「北朝鮮は核・ミサイル開発を追求し、拉致問題もある。新しい平和への道を開こうとしているが、油断は許されない」と応じています。

まぁ、北朝鮮の度重なる騙しを考えれば、油断できないのは当然ですね。

筆者はこれまで何度も述べていますけれども、北朝鮮は韓国にすりよって、クリンチすることで、アメリカからの攻撃を回避しようとしているように見えます。

今回の金正恩の核実験放棄とミサイル発射中止宣言もその一環で、みせかけの融和ムードを作って、時間を稼ごうとしているのだと思いますね。

なんとなれば、今度の南北首脳会談で、文在寅大統領を精一杯持ち上げてみせて、半島統一に向けて話し合いをしよう、統一朝鮮の初代大統領に文在寅氏を推薦するなどと囁けば、文在寅大統領は小躍りして喜び、多額の経済支援を約束すると思いますね。

北朝鮮の狙いが、アメリカからの攻撃回避と経済制裁打破にあるとするならば行うべきは、韓国へのクリンチが一番効率がよい。文在寅の鼻先をちょっと擽ってやるだけで、時間を稼げる上に、経済制裁を破ることが出来るのですから一石二鳥ですね。

では、時間を稼ぐと何かいいことがあるかというと、弾道の誘導技術を含む核開発の完了も勿論ありますけれども、最大の狙いは、トランプ大統領の任期切れ待ちがあるように思いますね。

アメリカは今年の秋に中間選挙を迎えますし、2020年には大統領選挙があります。もしも、2020年にトランプ大統領が負け、オバマ前大統領のような、もっと融和的な大統領が選出されれば、北朝鮮にとっては願ったり叶ったりですからね。少なくともその辺りまでは時間稼ぎすればよい。最大でも2024年まで頑張ればトランプ大統領でなくなることが決まっています。

ですから、北朝鮮はのらりくらりと韓国にクリンチしたまま時間稼ぎをすると思いますね。

その意味では、日本は、トランプ大統領の内に、北朝鮮の完全非核化を実現する必要がありますし、経済制裁を続行しなければなりません。

小野寺防衛相は、マティス国防長官と会談の後、「米朝首脳会談の前に、日米で対応方針を確認できたことは大きな意義がある。非核化の期限については一定の区切りがあるのが当然だ」と述べていますから、その辺りも十分承知しているものと思われます。

その時に最大の不安要因となるのがやはり韓国です。

なんだかんだ口実をつけて、北朝鮮に経済支援を行わさせないようにしなければなりません。

南北首脳会談、米朝首脳会談の行方がどうなるか分かりませんけれども、北朝鮮の非核化は期限付きであるという大方針は決して外してはならないと思いますね。
 

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