昨日の続きです。



4月24日、政府は閣議で女性記者に対するセクハラ疑惑が報道されている福田淳一財務次官の辞任を承認しました。

福田氏はセクハラを否定しており、財務省は調査を続けるとしています。

麻生財務相は調査について「テレビ朝日にも納得いただけるやり方で話を伺う。今後の調査結果で懲戒処分に相当すると判断された場合は、その処分に相当する金額を退職金から差し引くこと、当面は退職金の支払いを留保することを福田氏に伝え、本人も了解している」と述べました。まぁ、調査結果が出てから処分内容を決めるというのは至極当たり前なことです。

それでも記者団から、次官への処分について重ねて問われた麻生財務相は「セクハラ疑惑の週刊誌報道だけで、セクハラがあったと認定して処分するのはいかがなものか。はめられて訴えられたのではないかなどと、いろいろな意見は世の中にいっぱいある。きちんと本人の人権も考え、本人と向こうの話と双方を伺った上でないとなかなか決められない」と答えています。妥当な判断だと思いますね。

麻生財務相は以前にもマスコミの取材攻勢に「福田の人権はなしってわけですか」とコメントしていましたけれども、再び「人権」の文言を出したということは、相当、マスコミ報道に腹を立てているのかもしれません。

麻生財務相も自身の進退を問われていましたけれども、今の段階で辞任は考えていないと否定しています。確かに疑惑の憶測報道で辞任するようなことがあれば、今後同じ手でいくらでも陥れる事が出来ますからね。

昨日、取り上げた産経新聞社とFNNの合同世論調査では、麻生財務相の進退について、「辞任不要」が「辞任すべきだ」をやや上回ったのですけれども、年代別でみると大きな違いが出ています。

10~20代では辞任不要が71.7%と辞任を求めるの26.8%に大差を付けているのですけれども、これらの比率は年代が上がるほど接近し、60歳以上で逆転。58.4%が辞任が必要だとし、辞任不要との回答は35.5%にとどまりました。

既にネット等で指摘されていますけれども、見事にニュース報道をテレビだけに頼る層とネットを駆使して情報収集する層との差が現れてきているように思いますね。それだけ既存マスコミの影響力が落ちてきているということです。

今回の福田事務次官のセクハラ疑惑について、マスコミは「セクハラが問題だ、麻生は辞任しろ」と必死ですけれども、取材した女性記者がセクハラを訴えているにも関わらず、それを揉みつぶした対応に批判が集まっています。

これも、肝心の音声データを全部公開せず、公開された一部が編集されたものだったことが疑問視されたことが発端ですしね。音声データについては、ネット界隈でも、胡散臭いという指摘がちらほらあったように記憶しています。

こうした批判の声に抗しきれなくなったのか、テレビ朝日の角南源五社長が24日の定例会見で、この問題について釈明しています。同席した篠塚浩取締役報道局長は、社内調査で、女性記者はセクハラ被害に遭わないように1年ほど前から福田次官との夜の会合は避けていたが経済部デスクの「森友問題のウラを取れ」という指示を受け、「1年ぶりに夜の1対1に取材に応じた」としています。

これが事実なら問題です。

なぜなら、担当女性記者が再三再四セクハラ被害を訴えていたにも関わらず、経済部デスクが「森友問題のウラを取れ」と指示を出したのは、セクハラ黙認と受け取られ兼ねない行為です。少なくとも、セクハラの訴えに対する配慮が見られません。

テレビ朝日は女性記者が録音した音声データを報じることについて「声を上げることでダメージを被りかねない、放送できたとしても二次被害がある」として報じませんでしたけれども、女性記者が音声データを持ち込んだ新潮は報じた訳です。

その結果、本当に二次被害があったのか。そちらの方を検証すべきでしょうね。

件の女性記者については、残念なことに、民進党の記者会見でフリーの記者が実名を出し、民進党もそれを咎めるおとなく、そのまま拡散するという二次被害が発生しました。

ただ、これはマスコミ側と民進党がセクハラに対する意識がきちんとしていれば、防げた問題であるともいえます。

その一方で、マスコミ界のセクハラについてミー・ツ―の声が出始めています。

東京新聞では、有志の記者グループが社内で声をかけ、取材相手からセクハラを受けた経験を尋ね、これまで誰にも言えなかったさまざまな被害や、悔しかった気持ちが打ち明けられているようです。

福田財務次官のセクハラ疑惑を切っ掛けとして、マスコミ界の暗部が明らかになった、という意味では、必ずしも二次被害だけではないという見方も出来るかもしれませんね。
 

コメント

コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット