更に続きです。



南北会談の内容が少しづつ報じられてきました。

27日に行われた南北会談で、北朝鮮の金正恩委員長は韓国の文在寅大統領に対し、北部の核実験場を5月中に閉鎖する方針を表明したと伝えられています。

韓国大統領府高官によると、金正恩委員長は、米韓の専門家やメディアを近く実験場に招待し、閉鎖を公開する計画という。文氏はこれに歓迎の意を伝えたようです。

この韓国高官は閉鎖される北部の核実験場について「豊渓里と解釈している……米朝首脳会談前に実施されるようだ……北朝鮮が積極的に検証に応じていく意思を示している」と述べ、会談で金正恩委員長は「われわれと対話してみれば、私が南側や太平洋上に向けて核を発射したり、米国を狙ったりするような人間ではないことが分かるだろう……米国と信頼関係をつくり、終戦と不可侵を約束すれば、核を持って苦しく暮らす必要があるだろうか」と述べたそうです。

彼のいままでの言動をみれば、とても字句通りに受け取ることは出来ません。崩落した核実験場を閉鎖されたところで、実質は何も変わっていません。検証可能な核とミサイルの放棄について何も語られてはいませんから。

ただ、懸念点があるとすれば、南北の見せかけの融和ムードに世界が騙されてしまうことです。昨日のエントリーでも触れましたけれども、韓国と日本の一部メディアは、金正恩は話が分かる人物であるかのような印象操作まがいの報道を始めています。

実際、4月18日に韓国のリアルメーターという調査会社が調査した世論調査で、南北が平和協定を結ぶことに賛成と答えた人が78.7%にも及んだそうです。勿論、平和協定を結ぶことは賛成されるべきものではあるでしょう。けれどもそれは協定なり宣言なりが守られ続けるという前提があってのことです。

南北首脳会談は今回含め、過去3回行われてきましたけれども、前回2007年にも終戦宣言が出されていました

それにも関わらず一向に終戦にはならず、今回また終戦の宣言をしています。彼らの言葉を鵜呑みにするのはやはり危険だと思いますね。

元日経新聞記者の鈴置高史氏は、これら北朝鮮の態度について、「南北が対話を通じ、非核化なり平和に向け前進している」とのイメージを世界に植え付けておくことで、「トランプこそが戦争勢力」との空気を世界に広め「米国の暴走」を防ぐ狙いがあると指摘しています。

そして、朝鮮半島の非核化についても「非核化も多者会談で話し合おう」と南北が提案し、米朝首脳会談で「非核化」を論議するのを避ける作戦ではないかとも述べています。

要するに、一番嫌な議論について周辺国を巻き込んで、ぐちゃぐちゃにして時間を稼ごうということですね。

このように北朝鮮が狙っている、韓国にクリンチする事による空爆逃れをいかにさせないか。これが米朝首脳会談の一つのポイントにもなるかと思いますね。

今のところ北朝鮮は非核化に対するアメリカへの要求として、体制の保障を求めています。具体的には不可侵条約あるいは平和条約の締結と、在韓米軍の撤退辺りと思われます。それに付随して経済制裁の解除も勿論あるでしょう。

29日、韓国の文在寅大統領は安倍総理と電話会談し、南北首脳会談で金正恩委員長が「日本と対話する用意がある」と表明したと伝え、また、日本人拉致問題と日朝関係に関する安倍総理の考えを伝えたようです。

日本のマスコミは、日本は蚊帳の外だ論を声高に叫んでいましたけれども、がっつりと要求を伝えていたということです。全然蚊帳の外ではないですね。

それに対して、北朝鮮が対話の用意があると答えたのは、或いは拉致被害者の帰国と引き換えに多額の経済援助を引き出す狙いもあると思われます。なんとなれば、拉致被害者を毎月一人づつ帰国させるようにすれば、12人返すだけで1年の時間稼ぎできることになります。

狡猾な北朝鮮であれば、目的の為には手段を選ばずあの手この手で時間稼ぎをやってくる。それくらいのことは警戒しておいてよいと思いますね。
 

コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. 戦時は便衣兵
    • 2018年04月30日 13:18
    • 韓国が、文大統領になってから、急速に言論弾圧国家へと変貌してきており、その点、北朝鮮と同質化しつつあります。
      どちらも「中国共産党の庇護下、日本を敵とした、核を持った統一国家形成」を目的としており、今は、南北間で、その主導権争いの最中です。
      その意味では、文もまた“狡猾な時間稼ぎをしている”と見るべきかと。
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