昨日の続きです。



5月16日、トランプ大統領は北朝鮮が米朝首脳会談の中止を示唆したことについて、「何も知らされていない。状況を見守る必要がある」と述べ、北朝鮮の出方を見守る姿勢を示しました。

トランプ大統領が何も知らされていないなど、在り得ません。

昨日のエントリーでも触れましたけれども、北朝鮮は、米韓合同軍事演習「マックス・サンダー」にを批判し、その中で、米朝首脳会談の中止を示唆したのですね。

そして、その「マックス・サンダー」に参加を予定していたB52爆撃機が急遽取り止めになっています。これは北朝鮮に譲歩した形になりますから、事前にトランプ大統領に連絡されていない筈がありません。

恐らく、これは、コメントしたくない時の常套句だと見るべきでしょうね。よく何かで訴えられた企業か何かが「訴状を見ていないのでコメントできない」というのと同じです。

ホワイトハウスのサンダース報道官は、「北朝鮮が会談を望むなら準備を整えるが、望まないならそれでも構わない……もし開催されなければ、引き続き最大限の圧力を掛け続ける」とコメントしていますから、多少の妥協はあるにせよ大方針は変わらないということです。

また、サンダース報道官は北朝鮮の対応について「想定内」と述べていて特に驚いた様子は見られません。

元駐英北朝鮮公使を務めた太永浩氏は、「北朝鮮の交渉はたいていこのようなやり方だ。初めに概念的に合意し、後でその概念の具体的な内容を聞いて破る。そのようして時間稼ぎをする。北朝鮮の完全な核廃棄を実現するには、それが可能だったとしても数年という時間と、数えきれないほど複雑な段階を経るべきだが、アメリカが果たしていつまで今のような断固たる態度を維持できるかも疑問だ」と述べていますけれども、そんなことはアメリカも承知の上です。

16日、ボルトン大統領補佐官は「見返りを期待する北朝鮮との際限ない協議に引きずり込まれるという過去の失敗は繰り返さない」といつでも交渉を打ち切る用意があるとコメントしています。

また、北朝鮮がボルトン補佐官を名指しで批判していることについても「私は連中に人間のくず、吸血動物、醜い男と呼ばれてきた。慣れている」と一蹴しました。

ボルトン補佐官は自分を批判した、北朝鮮の金桂寛・第1外務次官について「6カ国協議に出席していた古株で、問題の多い人物だ……北朝鮮が考えを変えた兆候である可能性もある」と指摘しています。

流石、長年北朝鮮を相手に交渉してきただけのことはあります。北朝鮮の恫喝もまるで相手にしていませんし、警戒を緩める様子はありません。

トランプ大統領がボルトン氏を補佐官に起用したことは、かなり北朝鮮にプレッシャーを与えているようですね。

この情勢変化に在韓米軍にも動きがあります。

17日、在日米海軍司令部は横須賀基地に配備されている原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機が硫黄島の滑走路を空母に見立てて実施していた離着陸訓練(FCLP)を中断すると発表しました。

一部には、いよいよ実戦準備かとの噂もあるようです。

アメリカの素早い反応を見るに、やはり有事も念頭に置いておかなければならないと思いますね。
 

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