今日もこの話題です。



5月24日、北朝鮮は北東部咸鏡北道の豊渓里にある核実験場を閉鎖する一連の作業を外国メディアに公開しました。

AP通信は、24日午前11時から午後4時すぎにかけて、核実験場の3つの坑道と地上の観測施設などを相次いで爆破したと伝えています。

イギリスのスカイニュースは、「山を歩いて登り、およそ500メートル離れた場所から爆破を見た。3、2、1とカウントダウンが行われ、大きな爆発音とともにちりなどが飛んできて熱も感じた。爆破で監視塔が木っ端みじんに壊れた」との現地リポートし、国営の中国中央テレビの女性記者は、午前11時に2番坑道が、午後2時20分ごろに4番坑道が、午後4時すぎに3番坑道がそれぞれ爆破され、報道対応に当たった「核兵器研究所」の副所長が、爆破後に放射性物質の影響は確認されていないと説明したと伝えました。

といっても、この坑道は既に核実験場としては使用不能とされていたものです。

この豊渓里の実験場では2006年以来、6回の核実験が実施されているのですけれども、昨年9月に行われた実験の後、一連の揺れが観測され実験場の山の一部の崩壊につながったと見られています。

4月25日、中国科学技術大学の研究チームはこの核実験場の山が部分的に崩落し使用不可能になっているとの判断を示しています。

研究チームの調査によると、昨年9月の核実験の8分半後に、「核実験の場所に向かって現場でほぼ垂直な崩壊」が発生したとし、「崩壊の発生により、万塔山の地下構造は今後の核実験には使用できないと、判断されるべきだ……実験場内の崩壊によって放射線物質が漏れ出る可能性を注意深く監視する必要がある」と報告しています。

使えなくなった坑道をこれ見よがしに爆破して見せて、核実験場を廃棄した、と胸を張られても、パフォーマンスの誹りは免れないでしょうね。実際ネット等ではそのような指摘が散見されています。

要は米朝会談に向けて、形ばかりの"誠意"とやらを見せびらかしてはいますけれども、本気で核廃棄する気があるとはこれだけではいえないということです。

本当にその気があるのなら、リビア方式でも何でも受け入れる筈ですからね。

その北朝鮮はアメリカから提示されている「完全なる核廃棄」に反発し、米朝会談の見送りを示唆する発言をして、譲歩を引き出そうとしましたけれども、アメリカは一顧だにしませんでした。

これに対して北朝鮮は24日、崔善姫外務次官が朝鮮中央通信での談話で、「アメリカが我々の善意を冒涜し、不法無道に出れば、米朝首脳会談を再考慮する問題を最高指導部に提案する」と述べ、アメリカが北朝鮮と会談場で対面するか、核の対決上で対面するかはアメリカの決心次第だ、と述べました。

そして、また、ペンス副大統領がFOXニュースのインタビューで、北朝鮮が非核化に応じない場合は、「リビアのように終わるだろう」と警告したことに対し「我々はアメリカに物乞いのように対話を求めないし、アメリカが我々と対面しないなら、あえて引き止めない」と批判しました。

けれども、一見勇ましい北朝鮮のコメントも良く見ると腰が引けています。

まず、米朝首脳会談を中止するとはいわず、"我々の善意を冒涜すれば、再考慮する問題を最高指導部に提案する"といっています。中止の決定は勿論、検討ですらありません。単なる提案、です。それも"我々の善意を冒涜すれば"という条件付きです。

要するに、まだ何もやっていないということですね。穿った見方をすれば、アメリカに対して米朝首脳会談を中止しないでくれ、と懇願しているようにすら見えますね。

しかしアメリカの態度はそんなもので変わる様子はありません。先日の米韓首脳会談でもトランプ大統領は冒頭発言後、予定にない記者の質問を受け、文大統領の目の前で「条件が満たされなければ米朝首脳会談は実現しない可能性もある」と明言しています。

更に「北朝鮮の態度変化に対する懸念の声が出ているが、どう考えているか」との質問に、文大統領が韓国語で答えると、トランプ大統領は「前に聞いたことだから、通訳は聞かない(I don't have to hear the translation because |'m sure I've heard it before.)」とピシャリと答えています。

これは、文大統領に対し「前に言った事を違えるなよ」という一種の脅しにもなっています。

トランプ大統領は妥協しないぞ、と公然と宣言したわけです。

金正恩は4月中旬、訪朝した中国共産党高官との会談で、「失敗したら中国が助けてくれるのか」などと愚痴を漏らすなど、米朝首脳会談の失敗を恐れてノイローゼ気味だったとの情報もあったようです。

その後、5月7~8日に金正恩は、中国・大連に飛び習近平主席と会談していますけれども、態度が一変したのはその後の事ですから、やはり中国から何等かの確約を貰った可能性はあると思いますね。

速報ではトランプ大統領が6月12日の米朝首脳会談を行わないという金正恩宛の書簡を明らかにしたと報じられています。

増々緊迫するアメリカと北朝鮮。情勢は混沌としてきました。
 

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