昨日の続きです。
米朝首脳会談の中止について、中国が不満を表明しています。
中国外務省は記者会見で「トランプ大統領は適切な時期に金正恩委員長と会談する姿勢を崩していない」と首脳会談の開催中止を米朝双方が完全に望んでいないと強調した上で、「米朝双方に根回しを進める」と述べました。
また、トランプ政権についても「中国は建設的な役割を果たしていて、邪な意図はない」とも指摘しました。
これは、北朝鮮の態度が変わった背景に中国の影響があるとトランプ政権がみていることに対して反論したものですけれども、17日、トランプ大統領は「中国の習近平主席は北朝鮮のリーダー、キム・ジョンウン(金正恩)に影響を与えたかもしれない。彼(金正恩)の米朝首脳会談に対する戦略は明らかにネガティヴなトーンに急変した……2週間ほど前にキム・ジョンウン委員長が中国を電撃再訪して習主席と会ったのを思い出してほしい。彼(習近平)がキム委員長に影響を及ぼしていることは十分あり得る。どうなるのか見守るつもりだ」と述べ、また5月22日にトランプ大統領は米朝首脳会談が行われないことを示唆した際に、習近平主席は世界レベルのポーカーの腕前の持ち主だ、とコメントしています。
これについて、筑波大学名誉教授の遠藤誉氏は、この時期は丁度、米中貿易摩擦があり、その解消の為、中国が劉鶴副総理をアメリカに派遣してキッシンジャーに泣きついていることを取り上げ、習近平が金正恩に「米朝首脳会談開催も考え直さなければならないと恐喝しろ」という筈がないと指摘しています。
更に遠藤氏は元中国政府高官にインタビューを行い、元高官から金正恩大連訪問の目的は9日のポンペイオ長官との会談の対応方法についてアドバイスを求めたのではないかとのコメントを紹介しています。
そして、遠藤氏はその9日まで北朝鮮の態度が変化せず、11日の米韓合同軍事演習後から態度が急変したことから、軍事演習が影響しているのではないかと質問をぶつけ、元高官からその通りだとの答えを引き出しています。
これらのことから、遠藤氏は中国にとっての最大の関心事は米中貿易摩擦であり、北朝鮮が5月16日に、米朝首脳会談を開催するか否かに関して考え直した方がいいという趣旨の意思表明をしたことは、5月7日と8日の「習近平・金正恩」大連会談とは無関係である、と結論づけています。
トランプ大統領は、中国に泣きつかれたキッシンジャーからの働きかけがあったのか、18日に突然、劉鶴副総理と会うと発言。会談の席にムニューチン財務長官、ペンス副大統領を同席させ、ZTEの制裁を解除すると述べています。
仮に、遠藤氏の指摘の通りだとして、トランプ大統領が、ZTEの制裁を解除すると中国に伝えた上で、「習近平主席は世界レベルのポーカーの腕前の持ち主だ」とコメントしたとするならば、中国に対して、北朝鮮にもっと圧力をかけろと牽制する意図があるとも解釈できますね。
中国はトランプ大統領に「邪な意図はない」と反発していますけれども、もし、北朝鮮への制裁は続けると再度アメリカに伝えてしていたとするのなら、なんのことはない、駆け引きを行ったのはアメリカの方であって、トランプ大統領も世界レベルのポーカーの腕前の持ち主だということですね。
トランプ大統領の対応にビビった北朝鮮は、会談をやってくれとアメリカに懇願し、またまた韓国を使って会談をしようと動き出しました。
26日、韓国の文在寅大統領は板門店で北朝鮮の金正恩委員長と突然の首脳会談を行いました。
韓国大統領府の尹永燦国民疎通首席秘書官によると、会談は午後3時から5時まで、板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で行われ、「両首脳は『板門店宣言』の履行や朝米首脳会談の開催成功のため、虚心坦懐に意見交換した」とのことです。
北朝鮮が中国にではなく、韓国に泣きついているところをみると、なるほど遠藤氏が指摘するように、中国はそれほど北朝鮮に肩入れしている訳ではないというのが実態なのかもしれません。
2回目の南北会談の結果については27日に文大統領が発表するようですけれども、既にアメリカの信頼を無くしている韓国の言葉がどれだけ届くのかは疑問なところはあります。ただ、先日の米韓首脳会談で面子丸潰れの文大統領は、汚名挽回を考えているでしょうから、前回ほどは嘘はつかないかもしれません。
いずれにせよ、今回のトランプ大統領の首脳会談中止宣言から、アメリカが圧倒的に上の立場に立ちましたから、アメリカ優位の交渉にはなるでしょうね。これは同時に日本が望んでいたことでもあります。
菅義偉官房長官は自民党栃木県連大会の挨拶で「6月12日に会談する予定だったが、トランプ大統領は断った。会談を開くことが重要なのではない。核・ミサイル、拉致問題を前に進めていくことが重要だ。だから安倍晋三首相が、トランプ氏の決断を支持すると言った。たった1ヶ国です、世界でも。そしたらまたやるかもしれない、良い感じにあるとツイートした。
私たちは選挙の時、日米、日米韓で協力して圧力をかけ、北朝鮮の政策を変えさせると言い続けた。批判もあったが、こうした政策によって、金正恩委員長が体制を保証してくれれば非核化すると言い始めた。
私どもが考えていた方向に物事が回り始めてきている。安倍首相の外交努力によって、 トランプ氏を引き込んで、圧力をかけ続けてきた。これからが正念場だ」と発言しています。
菅官房長官のいうように、日本の思惑通りに動いているとするのなら、北朝鮮問題について日本外交は成功しているということです。
特定野党やマスコミは安倍政権を、日大アメフト問題に擬えて、いつもの批判を繰り返していますけれども、筆者はそんな姿が、メジャーリーグで大活躍しているエンゼルスの大谷翔平選手のアンチのように見えますね。
大谷選手はそんなアンチの声をものともせず、結果をだして彼らを次々と黙らせていますけれども、安倍総理がオールド・メディアのアンチの声を黙らせる日が来ることを期待したいですね。
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汚名返上
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