昨日の続きです。
6月21日、トランプ大統領はホワイトハウスでの閣議で、「弾道ミサイルを含めたミサイルの発射を中止した。エンジン施設を破壊し、爆破している。実際には大規模な実験施設4ヶ所をすでに爆破した」と述べ、「北朝鮮の完全な非核化がすでに始まった」との認識を示しました。
ただ、トランプ大統領は具体的にどの施設のことを述べたのかどうかは不明で、複数の当局者も米朝首脳会談以降で、実験場の解体に向けた新たな動きを示す証拠はないとしています。これは北朝鮮分析サイトの「38ノース」も先週末のリポートで同じ見解を示しています。
国務省は、米朝首脳会談以降に北朝鮮当局者と連絡を取っていることを明らかにし、ナウアート報道官は、ポンペオ国務長官が「できるだけ早期に北朝鮮当局者と会談し、協議する」と述べましたけれども、詳細は伏せられたままです。
更に、トランプ大統領は、朝鮮戦争で死亡した米兵200人の遺骨返還に向けたプロセスが進んでいると述べました。
遺骨返還は、米朝首脳会談の合意事項の一つですから、本当に返還されれば、北朝鮮は合意事項の一つを果たすことになりますね。
言を左右して有耶無耶にしてばかりの北朝鮮にしては、信じられない程の素早い対応です。
となると、日本としては、日本人拉致被害者は戻って来るのか、ということになるのですけれども、日米情報当局によると、金正恩が米朝首脳会談から帰国後、幹部らに「日朝首脳会談の早期実現」を命令したらしく、幹部らは日本国内の北朝鮮協力者に「正恩氏礼賛、安倍潰しの世論工作をやれ!」との秘密指令を出したとの情報が齎されています。
同時に、首相官邸や自民党の周辺に、北朝鮮関係者とされる人々が秘密接触を始め、拉致被害者を帰したら、安倍総理は本当に北朝鮮を支援するのか。信用していいのか。拉致被害者を帰して、日本で激しい北朝鮮バッシングが起きたら、抑えられるのか、と泣きついているともいわれています。
確かに小泉元総理が二度訪朝し、拉致被害者を連れ帰った時、日本の世論は硬化しましたからね。
こちらに朝日が行った当時の世論調査の記事が残っていますけれども、拉致被害者家族8人のうち5人が帰国したものの安否不明の拉致被害者10人について、北朝鮮が再調査を約束したにとどまったことについては、「成果がある」と答えた人が56%、「成果がない」と答えた人が43%と拮抗。
北朝鮮への人道支援については、過半数が「反対」と回答し、日朝平壌宣言の合意項目を順守する限り経済制裁措置を発動しない方針を伝えたことには、「正しかった(46%)」が「そうは思わない(38%)」を8ポイント程上回る結果となっています。
要するに日朝間の合意事項が守られる限りは経済制裁しない、が拉致被害者全員が返ってこない限り成果があったとは見做さない、と世論が判断した、ということです。
これはとりもなおさず、現在、安倍総理が「拉致問題が解決しない限り経済支援しない」と何度も述べていることと同じです。
では、今、拉致被害者に対する世論は当時と変わっているのか。
これは筆者の感覚にしか過ぎないのですけれども、やはり当時をあまり変わっていないのではないかと思いますね。今まで散々嘘をつき続けてきた北朝鮮です。本当に拉致被害者全員を返してくるならまだしも、またぞろ、一人二人返しては、あとは死亡した。とか一方的に宣言するだけなら、またか、援助なんてとんでもないとなるかと思いますね。
ただ、当時と比べて違いがあるとすれば、時間です。小泉訪朝から15年経とうとしています。中には本当に亡くなられている方もいらっしゃるかもしれません。
また、2014年には横田めぐみさんの両親、滋さんと早紀江さんがモンゴルのウランバートルで、めぐみさんの娘であるキム・ウンギョンさんと面会していますけれども、拉致被害者の方々も北朝鮮で家族を持っているケースもあるでしょう。
実際に帰国の話になっても、右から左にという訳にはいかないことも有り得ます。
それを考えるとたとえ、北朝鮮が拉致被害者を帰したとしても、日本で北朝鮮バッシングが起きる可能性は十分ある。それでも、拉致被害者を帰すことがなければ何も始まらない。
北朝鮮は全てを明らかにして、拉致被害者を全員返すべきだと思いますね。
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