今日はこの話題です。
北朝鮮の非核化について、アメリカが牽制を始めました。
6月29日、NBCニュースは当局者からの情報として、北朝鮮が最近数ヶ月間にわたり複数の秘密の場所で濃縮ウラニウム生産を増やし、武器の備蓄を減らしたり生産を中断したという証拠はないと報じました。
また、翌30日にはワシントンポスト紙が、人工衛星写真分析結果からアメリカ情報当局は、寧辺とカンソンの他にも、少なくとも一ヶ所以上の秘密核施設が存在するとし、北朝鮮には完全な非核化をする意図がないと報じています。
更に7月1日、ボルトン大統領補佐官はCBSテレビの報道番組に出演し、北朝鮮が核放棄を決断すれば、米国が北朝鮮の大量破壊兵器の大半を「1年以内に廃棄できる」と述べています。
情報当局が北朝鮮が核廃棄の動きをしているかどうかを、人工衛星等々でチェックするのは、当然やることでしょうけれども、ボルトン補佐官の「北朝鮮が核放棄を決断すれば」という台詞は、まるで北朝鮮が核廃棄など最初から考えていなかったかのような口振りです。
6月12日の米朝首脳会談から、どうもアメリカの北朝鮮に対する態度が軟化したようにも感じます。
6月25日、マイク・ポンペオ米国務長官は、CNN放送との電話インタビューに答え、北朝鮮の非核化について「2ヶ月でも6ヶ月でもそれについてタイムスケジュールを設定しない……米朝の首脳が提示したものなどを達成できるか見るために、速やかに前に進むことに専念している」と述べ、首脳会談が終わってまだ2週間も経っておらず、具体的ロードマップを期待するのは早すぎるとの認識を明らかにしています。
米朝首脳会談前は非核化が最低限の条件だ、としていたのが、会談後は期限を設けない、豹変といっていいほどの軟化です。
そんな中、マイク・ポンペオ国務長官は7月6日に訪朝することが明らかになりました。
実は、米朝首脳会談でアメリカ側の実務協議を担当していたソン・キム駐フィリピン大使が、7月1日、極秘裏に訪韓し、板門店で北朝鮮側との協議を行っていたようです。
今回、ポンペオ国務長官が訪朝する7月6日は元々、ワシントンでインドの外務・国防長官と行う「2+2会談」が予定されていました。それを「やむを得ない日程」のため延期してまで訪朝を決めたのは、それだけアメリカが北朝鮮との交渉を重要視しているということでしょうし、訪朝することを決めたとういうことは、何らかの手応えがあったからとも推測されます。
冒頭で述べたように、北朝鮮が非核化の意思を示していない内に、ポンペオ国務長官が交渉に訪朝するのは足下を見られているのではないかいう見方もあると思いますけれども、ポンペオ国務長官は6月23日、「北朝鮮も米国もレッドラインを理解していて、どちらもその線を越えようとはしないと考える」と述べていますから両国間で予め何らかのレッドラインが設定されていて、今現在、北朝鮮が非核化の意思を見せていないように見える動きですら、そのラインを踏み越えてはいないということなのでしょう。
米朝首脳会談から今まで、非核化交渉の動きがなかったことについて、政府関係者は、北朝鮮の金正恩委員長が米朝首脳会談に続いて3度目の中朝首脳会談を行った後、北朝鮮内部でも整理と評価を行う時間が必要だったとしています。
「整理と評価」などと、何やらよく分からない表現ですけれども、北朝鮮国内では内部クーデター説も囁かれていたことを考えると、あるいは、金正恩が、国内の反乱分子や先軍派を抑える為の時間が必要だと見ているということなのかもしれません。
これが本当だとすると、6日にポンペオ国務長官が訪朝出来るということは、金正恩がある程度、そうした危険を排除して抑え込むことに成功したということなのかもしれませんね。
ともあれ。6日以降の米朝の動きを待ちたいと思いますね。
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