今日は感想エントリーです。
7月6日、アメリカが中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動しました。
アメリカ米通商代表部は7月6日以降にアメリカに到着したり、国内の保管庫から取り出されたりした輸入品から関税を徴収すると発表。対象は自動車や半導体、医療機器、産業機械など818品目で、携帯電話や衣料品などの消費者製品は含まれていません。
これら対象製品は、中国がアメリカの知的財産を侵害しているという理由から選ばれています。
2015年5月、中国は今後10年間の製造業発展のロードマップとなる「中国製造2025」を発表しています。
中国製造2025では「5つの基本方針」と「4つの基本原則」を掲げているのですけれども、2025年で終わるという訳ではなく、2049年と30年以上先まで見据えた計画です。
第1段階としては、2025年までに「世界の製造強国入り」を果たし、2035年には第2段階として中国の製造業レベルを、世界の製造強国陣営の中位に位置させる。そして第3段階として、2049年には「製造強国のトップ」になるというものです。
「5つの基本方針」には、イノベーション駆動/品質優先/環境保全型発展/構造の最適化/人材本位を掲げ、
「4つの基本原則」として、市場が主導、政府が誘導/現在に立脚、長期に着眼/全体的に推進、重点的に躍進/自主的発展、開放強化、を挙げています。
これだけ見ると、きちんとした長期計画のようにも見えるのですけれども、これを達成するために、中国らしいというか、かなり強引な手を使っています。
例えば、WTOに違反する巨額の政府補助金を企業に与えたり、官製ファンドで外国のハイテク企業を買収したり、海外の優秀な研究者を好待遇で招聘するなどです。
更にはそれだけでは飽き足らず、中国に進出する外国企業の合弁会社に技術移転を強要したり、果てはサイバー攻撃で外国企業のハイテク技術を盗んだりしています。
具体的には、中国に合弁子会社を作ったイギリスの半導体会社アームの先端技術を株式の51%を握る中国側が勝手に他の中国企業にライセンス供与していたとか、中国のサイバー部隊である「61398部隊」が原子力大手のウエスティングハウス、非鉄大手のアルコアなどをサイバー攻撃して、データを盗んでいたとして、アメリカ司法省が容疑者5人の名前と顔写真を公表しています。
今回アメリカが制裁関税をかけた品目はこれら「中国製造2025」の重点投資分野から選ばれていることからみても、はっきりとアメリカが知的財産を保護するために狙い撃ちしていることが分かります。
中国は報復としてアメリカ産の大豆や牛肉、車など545品目、340億ドル分に追加関税を課すとしていますけれども、トランプ大統領は今回の340億ドルに続く160億ドルの計500億ドルの制裁関税と掛けた後、中国が報復すれば追加措置を取るとしています。
トランプ大統領は追加関税として2000億ドル、次に約3000億ドルを準備していると述べ、最終的には中国からの輸入品のほぼ全て(5100億ドル)に相当する計5000億ドルの関税をも示唆しています。
アメリカは制裁措置は無期限とし、今後は交渉で中国に譲歩を迫るとみられていますけれども、いまのところ、どこが落としどころになるか見えていません。もう少しすれば、色々と分かってくるかとは思いますけれども、世界経済への影響は避けられないことは間違いないでしょうね。
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