今日は感想エントリーです。
米中貿易戦争が始まって数日、早くも関係する業界では関税の直撃を受けています。
中国の大手食肉輸入業者「蘇州華東食品」は新たな関税導入の煽りを受け、冷凍の牛プライムリブや豚ロースなどを積んだコンテナ1個当たり最大50万元(約830万円)の関税を支払うこととなりました。
「蘇州華東食品」のゼネラルマネジャーは関税について「われわれにはほかの選択肢がない。われわれはコストを負担せざるを得ない……米牧場からの食肉購入を大幅に減らすことは確実だ」と泣きを入れています。
この輸入業者の社名に関されている華東とは、長江下流部の江蘇、浙江、安徽3省と上海市にわたる地域を指し、古くから中国の政治、経済、文化の中心地の一つでした。
今回、中国はアメリカへの報復関税として、アメリカからの大豆と食肉、自動車、ウイスキーなどの輸入に25%の追加関税を課しました。
この華東地域における近年の経済発展は目覚しく、購買力のある消費者が多数いるのですけれども、それでも25%の追加関税はやはり重いものとなります。というのも輸入乗用車には既に高率の関税が掛かっているからです。
これまで中国における輸入乗用車への関税は乗用車などが25%、トラックなどが20%でした。これが7月1日に15%に引き下げられました。これは貿易赤字削減へ関税引き下げを求めてきたアメリカに中国が歩み寄った結果ですけれども、中国はその見返りとして中国通信機器大手、ZTEへの制裁の緩和を得ることが出来ました。
尤も、安全保障上の懸念からアメリカ超党派の議員は反発。6月18日、アメリカ上院議会はZTEへの制裁解除を認めない条項を盛り込んだ法案を賛成多数で可決していますから、最終的にはどうなるかは分かりませんけども。
ともあれ、そうして15%に関税が引き下げられるとの見通しを受け、フォード・モーターとテスラは中国国内での値下げを発表したのですけれども、今回の追加関税によってアメリカで製造された「リンカーン」と「モデル3」には都合40%関税が課されることとなりました。
また、アメリカのメーカー以外でも、BMWやダイムラーはアメリカ国内で組み立てられた高級車を中国に輸入しており、こちらも関税の直撃を受けることになります。
米中ビジネス評議会の中国業務担当バイスプレジデント、ジェイコブ・パーカー氏は、「現段階で最大の影響は恐らく心理面で不安となったことだろう。既に影響は表れている……企業は不安を嫌う。不安を感じれば投資や雇用を控えるからだ。企業はこの問題がどのぐらい大きくなるか、最終的にどうなるか分からない」と既に産業界に影響が出ていると指摘しています。
今の産業は単なる二国間貿易だけで完結する訳でなく、様々な国々で加工され、輸出入されています。
例えば、アルミニウムはケベックで精錬されてケンタッキー州でシートに圧延され、一部はメキシコで自動車部品となり、その自動車はアメリカやアジアへ輸出されています。
また、中国製部品が組み込まれているアメリカ製半導体製造装置はアジアへ輸出され、電気製品に組み込まれる半導体の製造に用いられ、アメリカの若者がその電気製品を使って世界中に情報を発信します。そうした世界です。
米中貿易戦争が短期的な殴り合いで終わるのか長期化するのか。大変な時代になるかもしれませんね。
コメント
コメント一覧 (1)
技術者・科学者の移民を受け入れていなければアメリカの経済的繁栄はなかった。
日本には逆立ちしてもその力ない。
韓国にその可能性があるとすれば北を駆逐し中国の東北三省との安全保障の関係を
戦前の満州国を教訓として作れるかという話だ。
中国が問われているのはまさにそこだ。
漢族と中国共産党の中国を目指そうとしているのであれば中国はいずれ壁にぶつかる。
中国の技術開発の異常な早さは逆に大きな紛争の種になるだけである。
戦前の日本の強力な空母機動部隊を思い出すことだ。
中国に多くの海外の技術者・科学者が移民として定着するのであれば誰も文句は言えない。
アメリカとの貿易摩擦も時間と共に解消する。
多民族国家中国を中国が前面に打ち出す時期に来ている。
中国はロシアの協力という大きな切り札を持っている。
中国の経済力・ロシアの軍事力そしてユーラシア大陸の石油・天然ガスの資源は間もなく
世界を席巻するだろう。
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