昨日の続きです。
7月11日、アメリカ商務省は、中国通信機器大手のZTEとの合意書に署名したことを明らかにしました。
これは、4月にZTEがアメリカの対イラン・北朝鮮制裁に絡む合意に違反したとしてアメリカ企業からの部品調達を7年間禁止する制裁措置の解除に関する合意で、これにより主要事業が停止していたZTEはアメリカ企業との取引を再開できる見通しとなりました。
この合意を受けて、ZTE株は大幅高。米中貿易摩擦への懸念がやや後退したと受け止められ、中国株を中心に幅広い銘柄に買いが入り、アジアの有力上場企業を基に算出する株価指数「日経アジア300指数」も反発しました。
中国にとって、アメリカに電子機器が輸出できないのは死活問題だったりします。
2016年の中国の対米輸出動向を見ると、機械・電子機器が500億ドルを超え、全体の44.8%を占めています。これらに高額の追加関税が掛かると途端に競争力を失ってしまいます。
2016年のアメリカの対中国輸出額は1156億ドルだったのですけれども、輸入はその4倍にも及ぶ4626億ドルです。
アメリカが取る対中追加制裁の規模は総額2500億ドルにも及び、対中輸入額の半分以上です。対する中国はその半分にも満たない額しか輸入していないため、同額の制裁をしたくとも出来ません。
そこで中国政府は「質と量を組み合わせた総合的な措置を取る」とし、清税導入やアメリカ企業への規制強化のほか、当局認可の引き延ばし、市民にアメリカ製品不買運動を促すなどの措置を取るのではないかと見られています。平たく言えば嫌がらせです。
ブルームバーグによると、中国で最も売り上げるアメリカ企業は半導体など電子製品メーカーが多く、中でもカリフォルニア州の部品メーカー、モノリシック・パワー・システムズは中国での売上高が全体の約60%もあるそうです。
今後、中国は共産国家よろしく、あの手この手で嫌がらせをしかけて、中国に進出しているアメリカ企業が儲からないように仕掛けてくることが予想されます。アメリカとて無傷という訳にはいきません。
こうした米中の殴り合いはいつまで続くのか。
現在、中国では、アメリカが中国に貿易圧力を掛ける背景として二つの理由が指摘されています。
一つは今年11月に中間選挙を控えたトランプ大統領の人気取り。もう一つはこれ以上中国の台頭を許さないというアメリカの対中外交の方針転換です。
前者が主な理由だとすると、米中貿易摩擦も11月を過ぎれば落ち着くという見方も出来るのですけれども、後者が主な理由だった場合は、長期化する恐れも考えられます。中国がアメリカに屈することは、そのまま習近平主席が掲げる「偉大な中国」の復権を大きく後退させることになるからです。そうそう簡単に諦めるとも思えません。
けれども、現時点では、腕力はアメリカが上であることは間違いありません。正攻法で殴り合いを続ければ、よりダメージを受けるのは中国の方でしょうね。
とうとう始まった米中貿易戦争。まずは秋口までにどうなっているか。予断は許しません。
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