今日はこの話題です。

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7月12日、アメリカのトランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長からの親書をTwitterで公開し、「すばらしい」などと讃えました。

親書は、朝鮮語と英語で書かれた2つがあり、その内容は次のとおり。

アメリカ合衆国大統領

ドナルド・トランプ様

親愛なる大統領閣下、

24日前のシンガポールであった、閣下との重要な最初の会談と、私たちが署名した共同宣言は本当に意味のある旅の始まりでした。

両国関係の改善と共同宣言の誠実な履行に対する閣下の並々ならぬ尽力を、私はとても高く評価しています。

強い意思、すなわち米朝の新しい未来を開こうとする閣下と私の類を見ない取り組みと誠実な努力が、確実に身を結ぶだろうと、私は信じています。

閣下の変わることのない信頼と信用が取り組みの今後のプロセスを後押しすると期待しつつ、両国関係を強化する画期的な進展が、次の会談を前進させるものと確信しております。

金正恩

朝鮮労働党委員長

北朝鮮

トランプ大統領は親書の画像を添付しながら、「とてもいい文章が北朝鮮の金委員長から届いた。素晴らしい進展だ！」としていますけれども、社交辞令的な文言が並び、非核化に関する具体的な事は何も書かれていません。

ただ、「閣下の変わることのない信頼と信用が取り組みの今後のプロセスを後押しする」辺り、時間稼ぎなのか、懇願なのか、時間をくれといっているようにも読めなくもありません。

この異例ともいえるトランプ大統領の親書公開について交渉が難航しているとの印象を払拭する狙いがあるのではないかとも言われています。

この親書は、今月6、7日に訪朝したポンペオ国務長官が受け取ったのですけれども、肝心の北朝鮮との協議では特に成果はなかったと見られています。

ニューヨークタイムズによると、北朝鮮側は「ポンペオ氏はギャングのような駆け引きを取ってきた。一方的な要求だ」と批判。アメリカは11日、朝鮮戦争で行方不明になったアメリカ兵の遺骨返還について話し合うよう北朝鮮に申し入れたものの、北朝鮮はこれを無視。当日、アメリカが指定した協議場所に北朝鮮関係者は現れませんでした。

これをいつもの北朝鮮の駆け引きとみるかどうかはなんとも言えませんけれども、アメリカとてそうそういつまでも甘い顔をするとも思えません。

7月12日、アメリカ連代表部は北朝鮮が1～5月に海上で積み荷を移し替える「瀬取り」の手法で石油精製品を少なくとも89回輸入したと指摘する文書を、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会に提出しました。

文書では、この間の北朝鮮の輸入総量は安保理制裁決議で定めた年間上限に達した可能性が極めて高いとして、全国連加盟国に対し北朝鮮への輸出を直ちに停止するよう通知すべきだとしています。

五ヶ月で89回とは単純に割って二日に一回は瀬取りしている計算になります。今まで見過ごしていたという見方もあるかもしれませんけれども、このタイミングで出してきたということは、北朝鮮にさっさと非核化交渉をしろ、という圧力でしょうね。逆にいえば、軍事制裁をチラつかせないだけ、まだ我慢しているとも言えなくもありませんけれども、非核化交渉が停滞すれば、この手の圧力をジワジワと掛けてくるものと思われます。

経済制裁を緩めなければ、北朝鮮が時間稼ぎをしようとしても、自分の首を絞めるだけです。或いは北朝鮮は、成果を何も与えないまま、秋の中間選挙まで粘って、トランプ大統領の足元が崩れることを狙っているのかもしれませんけれども、トランプ大統領とてそれは重々承知でしょう。

おそらく、今年の秋までに何らかの動きがあるのではないかと思いますね。