今日はこの話題です。
7月17日、アメリカ軍の準機関紙「星条旗新聞」は、北朝鮮が来週にも朝鮮戦争で死亡したアメリカ兵の遺骨50~55柱を引き渡すことで合意したと報じました。
遺骨はアメリカ側が南北軍事境界線から棺を渡し、北朝鮮側が遺骨を納めて返還する計画。アメリカは引き取った遺骨をソウル郊外にあるアメリカ軍のオサン空軍基地かハワイに運ぶ方針とのことです。
アメリカと北朝鮮の遺骨返還については、12日に行われる予定だった協議を北朝鮮がすっぽかすなどして、難航が予想されていたのですけれども、15日に軍の将官級による協議が板門店で行われ、ポンペオ国務長官がアメリカ兵の遺骨の収集作業を再開することで合意したと声明を出していました。
今回の引き渡しはそれを実施するものです。何だかんだいって、進んではいる訳ですね。北朝鮮には今もおよそ5300人のアメリカ兵の遺骨が残されているとみられるそうですから、全員の返還にはまだまだかかりそうです。
また、本命の非核化の話も残っており、こちらは双方の隔たりが埋まっていないことから、なお一層の時間がかかるものと見られています。
ただ、北朝鮮はああだこうだと文句はいうものの、先般の米朝首脳会談での署名を破棄するとは言っていませんから、ゴネ得というか、少しでも交渉を有利に運びたい思惑であれこれ揺さぶりを掛けているのでしょうね。無論、それはアメリカも分かっている筈です。
そんな中、先の米朝首脳会談の中身が少しづつ明らかになってきました。
7月13日、韓国のイ・ジョンソク元統一部長官は、ある学術会議の席で、米朝首脳会談の場で、金正恩委員長が「
北朝鮮はアメリカの軍事的脅威に対抗して体制安全保障のために核兵器を開発し、このために圧力と制裁を受け、貧しい北朝鮮になった……私は今のように生きることもできるが、アメリカが体制を保証して最終的に経済制裁を解除すれば核を放棄し、中国とベトナムよりも高度成長する北朝鮮をつくりたい」とトランプ大統領に語ったと述べています。
そして、「トランプ大統領はこの話を聞いて『金委員長は新しい北朝鮮の建設という熱望のために核を放棄する』という信頼を抱くようになり、現在の北朝鮮と明るい未来の北朝鮮に対応する映像を金委員長の前で流したりもしたとみられる」と付け加えました。
この話が本当であれば、金正恩は北朝鮮の経済発展を望んでいるということになりますし、其の為には改革開放を目指しているのだと考えることもできます。
果たして金正恩独裁体制でどこまでそのようなことが出来るのか。
ただ、金正恩は以前から北朝鮮の経済発展を望んでいたという情報もあります。
シンガポールのNGO「チョソン・エクスチェンジ」のアンドレイ・アブラミン理事は「2013年頃、金正恩氏は輸入に代わるものの必要性について語り始めた」と述べ、「北朝鮮が現在進めている19カ所の経済開発区では、今後の核となる経済政策が実験的に進められている……平壌市の恩情先端技術開発区では国家主導の下、クウェートの投資ファンドからの支援を受け、他の経済開発区とは違い、中国など周辺諸国の投資には頼っていない」と語っています。
また、2015年にはその「チョソン・エクスチェンジ」が主催するミニMBAコースに北朝鮮の経済官僚らが参加していた事が明らかになっています。
実際に北朝鮮が経済発展するかどうかは兎も角、このような情報が韓国の元統一部長官から語られるということは周辺国の首脳クラスには確実に共有されているものと思われます。
7月14日、トランプ大統領はイギリスのデイリーメールとのインタビューで、米朝首脳会談の際に「金委員長はどうだったか」との質問に、「一緒によく過ごした……金委員長は非常に賢く素敵な人物だ。おもしろくて、押しが強く立派な交渉家」と称賛。
金委員長は信頼するかとの質問には「オバマ前大統領は任期末2年間に北朝鮮の話ばかりした。オバマ氏を非難するのではなく、それが大きな問題だと話すもの……さまざまな試験があったが、私が介入して他のアプローチ法を取った。多くの試験、核実験が強行されミサイルとロケットが打ち上げられたが、この9ヶ月間はミサイル試験も核実験も何もなかった」と成果を強調しています。
まるで、自分のアプローチによって北朝鮮が変わるのだと言わんばかりですね。
それがどこまで本当なのかは分かりませんけれども、現時点では、周辺国も非核化含めて、北朝鮮がそのように変わっていくのか、少し様子を見てみようという感じなのかもしれませんね。
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