今日はこの話題です。



7月20日、IR=統合型リゾート施設の整備法が、参議院本会議で、自民・公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。

IRとは「Integrated Resort」の頭文字で、「統合型のリゾート」を意味し、カジノに加え、国際会議場や宿泊施設、レストラン、劇場やショッピングモールなどを一体的に整備した大規模なリゾート施設のことを指します。

IR施設は、地方自治体の申請に基づき区域を指定して設置されるのですけれども、成立した法律では、施設の整備区域は、当面は全国で3ヶ所までとし、最初の区域認定から7年後に見直すとしています。

海外のIRの多くでは、カジノが占める面積は施設全体の数%から10%程度で、その収益によって施設の大部分の運営が賄われていて、成立したIR法ではカジノのスペースをIR全体床面積の3%以内とし、事業者に対して、カジノの収益の30%を国に納付することを義務づけています。

政府は、カジノを含むIRの整備が観光振興や地方創生につながるとして、その意義を強調しています。IR法案の審議に当たって、野党は、IRの経済効果を具体的に示すよう求めましたが、政府は、IRをどこに、どのような規模でつくるかなど、具体的なことが決まっていないため、「現在のところ試算できない」としていましたけれども、大手シンクタンクの大和総研の試算によると、去年、シンガポールにある2つのIRと同じような規模の施設が、北海道と横浜、それに大阪の3ヶ所に整備された場合の経済波及効果について、施設建設によるものがおよそ5兆1000億円、運営によるものが年間およそ2兆円になるとしています。

合わせて7兆円の経済効果は馬鹿になりません。

また、ギャンブル依存症などの批判もあったカジノに関する規制として、入場料を6000円とし、入場回数は1週間で最大3回、4週間で10回までに制限することや、事業免許を不正に取得した場合の罰則などを盛り込んでいます。

カジノについては、入場料の値段設定や入場回数制限など結構ハードルが高いですね。それでどこまでギャンブル依存症にブレーキが掛かるか分かりませんけれども、何もしないよりはマシでしょうね。

それに床面積が3%以内というのも地味に制約です。仮に東京ディズニーランド程のIR施設があったとしても、その内、カジノに使える面積は東京ドーム三分の一個程です。こちらに世界のカジノの例がありますけれども、今の日本で、いきなりラスベガスのようなカジノを作るのは規模的に難しいように思われます。

ただ、日本のカジノ市場については、アメリカ系のラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ・インターナショナル、マカオのギャラクシー・エンターテインメント・グループなど、バリバリのカジノ運営会社が参入を検討しているそうですから、もしかしたら、度肝を抜くようなものを作ってくるかもしれませんね。

けれども、そうなると、問題になってくるのは、パチンコ、競馬などの既存のギャンブルです。いくらカジノが設置できるようになったとしてもそれだけでは単にギャンブル施設が増えただけですし、ギャンブル依存症対策がカジノだけにしか行われないのであれば、客だって集めにくい。ギャンブル好きは、今まで通りのギャンブルに興じていればいいだけです。

これについて、菅官房長官は「今まで日本はギャンブル依存症対策を全くしてなかった。今回を機に作らせて頂いた。競馬・競輪、同居する家族が反対すればネットで買えなくなる。そういう対応策とか、パチンコは23兆円ですよ? ギャンブル性を無い様な形にする」と述べ、既存のギャンブルにも規制を掛けるとしています。

パチンコについては、今年2月から「出玉規制」が施行されていますけれども、出玉が少なるなるだけならギャンブル性は低くなるかもしれませんが無くなったとはいえません。

菅官房長官のいうとおりにギャンブル性がない形となると、真っ先に思い浮かぶのは「換金の禁止」です。既にネットでは『景品交換が禁止になるの?』とか『パチンコ業界、顔面蒼白だなこりゃ......』とかパチンコ消滅を危惧する声が上がっているようです。

パチンコは朝鮮総連の大きな資金源の一つとも言われていますけれども、IR法案が具体化するにつれ、そうした金の流れにも変化が起こるのではないかと思いますね。
 

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