今日はこの話題です。



8月2日、中国株式の時価総額が6兆900億ドルにまで下がったことがブルームバーグの調査で明らかになりました。

2015年に10兆ドルを超え、時価総額で日本を抜いて2位になった時と比べて、4割も減ったことになります。

対する日本は6兆1700億ドルで、3年振りに株式時価総額2位の座を奪い返しました。

下のグラフは、日中双方の株式時価総額の今年2月からの推移ですけれども、日本の時価総額は今年2月からほぼ6兆ドル以上をキープして、殆ど変動していないのに対して、中国は6月半ばから急減。8月の二段下げで、日本を下回りました。上海総合指数は年初来で16%余り下落。

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また、人民元も近年ない元安水準です。

3日の外国為替市場で、中国人民元は安値で1ドル=6.8965元。この1ドル=7元というのは、ここ10年以上付けていない水準で、コメルツ銀行の新興国市場担当シニアエコノミスト、周浩氏は「投資家は人民元下落を予想するか中国の金利低下を見込むかの2つの取引に注目しており、人民銀行が大規模に介入するまで人民元を押し下げ続けるだろう……1ドル=7元の水準を割り込めば元安が急激に速し、さまざまな市場に衝撃が広がって株価にも打撃が及ぶ公算が大きい」と述べています。

これはもう、米中貿易戦争が引き金になっていることは明らかですね。

8月3日、中国政府は600億ドル相当のアメリカ製品に最大25%の関税をかける計画を発表しています。

関税は25%、20%、10%、5%の4段階で、対象製品は肉やコーヒー、ナッツ、アルコール飲料、鉱物、化学物質、革製品、木製品、機械、家具、自動車部品など5207品目。トランプ政権が中国製品2000億ドル相当に関税を課すとの警告を実行に移した場合に発動するとしています。

中国国務院は声明で、「アメリカは幾度にもわたる交渉の末に結んだ2国間合意を破り、またしても一方的に貿易摩擦を激化させた」と述べています。

更に翌4日、中国の王毅外相は訪問先のシンガポールで米中貿易摩擦について記者団に問われ、「アメリカが貿易戦争を仕掛けてくるなら、中国は断固として反撃する」と対決姿勢を顕わにしています。

けれども、対するアメリカは動じません。

3日、ホワイトハウスの国家経済会議のクドロー委員長は、米中貿易摩擦について「最後までやり抜くというトランプ大統領の決意を軽んじるべきではない……中国は今、困難な状況に陥っている。投資家が中国から引きあげており、通貨も下落している」と述べ、中国経済は厳しいという認識を示し、報復措置の応酬になった場合、経済が好調なアメリカが有利だという考えを強調しました。

すっかり見抜かれています。

また、クドロー委員長は中国の不公正な貿易慣行の是正に向け、日本やEUなどと連携して対応する考えを明らかにしています。

トランプ政権の方針は一貫しています。自由と公正を旗印に掲げ、アメリカファーストの視点で物事を進めているように見えます。

この「自由と公正」は「戦略の階層」でいうところの世界観にあたり、その下に色んな大戦略がぶら下がっているという構図ですね。

これに比べると中国の習近平主席が掲げる世界観は、中国の夢と称した「中華民族の偉大なる復興」です。「自由と公正」に比べるとその普遍性において大きく見劣りします。

過去のエントリーで何度も指摘していますけれども、中国は戦略の階層でいうところの世界観で敗北しているのですね。

今の米中貿易戦争は「知的財産権の侵害」を切っ掛けに始まったとされていますけれども、その裏には、「自由と公正」という世界観と「中国の夢」という世界観がぶつかっているのだという視点も忘れてはならないと思いますね。
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