今日はこの話題です。



アメリカのトランプ大統領が、ポンペイオ国務長官の北朝鮮訪問を急遽延期した背景について、アメリカの有力紙が報じています。

27日、ワシントン・ポストが複数の政府高官の話として、金正恩委員長の側近、キム・ヨンチョル副委員長からポンペイオ長官が24日の朝に受け取った書簡が、非常に好戦的なもので遭ったため、トランプ大統領とポンペイオ長官が訪問をやめると決定した、と伝えています。

ワシントン・ポストはその"好戦的な"書簡の内容を明らかにしていませんけれども、CNNは「平和条約締結に向けた前進という点において、米国はまだ期待に応える用意ができていない」と述べ、それを理由に、非核化に向けたプロセスを進展させることはできないと記していた、と報じています。

つまり、朝鮮戦争終結宣言と平和条約を結ばない限り非核化をしない、という北朝鮮の条件闘争ですね。

いつものことながら、北朝鮮の図々しい要求ですけれども、トランプ政権は即座に反応しました。

28日、マティス国防長官が国防総省で記者会見し、来年の演習についてはまだ何も決定されていないとしながらも、北朝鮮に誠意を示すための演習中止は無期限のものではなかったと指摘。「シンガポールの首脳会談の結果を受けた誠意ある措置として、いくつかの大規模演習を中止した。現時点でさらなる演習を中止する予定はない」と述べました。

更に、演習再開の時期について、「まだ決めていない」とした上で「国務省と協議したうえで決定する」と演習再開を示唆しました。

アメリカは、例年、大きく5つの米韓合同軍事演習を行っています。3月から4月にかけて戦術確認を目的とする野外起動訓練「フォール・イーグル」、3月に有事の際の米軍増援を想定した指揮系統訓練「キー・リゾルブ」、5月頃行われる空中戦闘訓練「マックスサンダー」、8月に行われる「乙支フリーダムガーディアン」、そして12月ごろに行われる空中戦闘訓練「ビジラント・エース」です。

今年はこのうち、南北首脳会談が行われた4月27日に「キー・リゾルブ」を一時中断。「フォール・イーグル」の期間を前年の半分となる一ヶ月に短縮。そして今月予定だった「乙支フリーダム・ガーディアン」の中止を決定しています。

それが急に先のことは分からない、という。

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これはもう、明らかに北朝鮮の平和条約を結べという要求に対するアメリカの返答ですね。実に分かりやすい。

更に、同じく28日、国務省のナウアート報道官が定例会見で「文大統領は来月平壌で金正恩朝鮮労働党委員長と会談する予定だが、この会談のキャンセルを求める考えはあるのか」との質問に、「文在寅大統領は過去に非核化は必ず実現すべきと言及した。この点において文大統領は非常に明確だ」と答えています。

この発言に外交関係者の一部では「非核化に寄与する自信がないのなら平壌に行くなというメッセージ」との受け止め方もあるようです。

ただ、もはやアメリカは対北朝鮮との交渉に関しては、韓国の事は眼中にないような気がしますね。

先に述べたマティス国防長官の米韓合同軍事演習の再開を示唆する発言についても、韓国とは事前に相談なり通達なり何もなく公表していますからね。殆ど相手にしていないということでしょう。

そんな中、翌29日、トランプ大統領は、ツイッターで金正恩委員長とは良好な関係を築いていると強調したうえで「米韓合同軍事演習に巨額の費用を投じる理由は今はない」と現時点では演習の再開は必要ないとの考えを明らかにしました。

おそらく、前日のマティス国防長官の発言を受けて、北朝鮮から「非核化を進めるから、軍事演習再開は止めてくれ」と泣きが入ったのだろうと思います。

ただ、同時にトランプ大統領は、合同軍事演習はみずからの決断次第ですぐにでも再開できるとし、「再開すれば過去にない大規模なものになるだろう」と再開に含みを持たせる発言もしていますから、ちゃんと非核化をやれよ、と釘も指しています。

これらのことから見て、米朝間には韓国の仲介など必要としない直接交渉ルートがあり、依然機能しているのではないかと思います。

とすれば、今後、北朝鮮側から非核化に向けた何らかの動きがでてくるのではないかと思いますね。
 

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