今日はこの話題です。



韓国の文大統領の支持率が急落しています。

世論調査専門機関の韓国ギャラップが28~30日、全国の成人1000人を対象に行った調査で、文大統領に対する肯定的な評価は53%と先週の56%よりも3%ポイント下落。否定的評価は38%と5ポイント上昇しました。

政策に対する評価では、経済や雇用労働、教育、公職者人事政策で否定的評価が目立ち、経済分野については「うまくやっている」という回答が26%、「うまくやっていない」という回答が53%。雇用労働分野では肯定的評価が30%、否定的評価が51%となりました。

一方、北朝鮮政策については、肯定的評価が58%、否定的評価は30%と高く、外交に対しても肯定的評価が55%、否定的評価が23%となっています。

支持しない理由として、「経済・民生問題の解決が不十分」が41%と最も高く、次いで「対北関係・親北傾向」が10%、「最低賃金引き上げ」が9%。ほかに「雇用問題・雇用不足」「独断的・一方的・不公平」「過剰な福祉」なども挙がっています。

文大統領の支持率は4月27日の南北首脳会談直後には8割超えを記録したのですけれども、その後、下落を続け、8月上旬には6割を切っています。

日本からみれば、あの外交でよく肯定されるものだと思いますけれども、支持しない理由の2番目に親北傾向が上がっていますから、文大統領を支持する側としない側とで民意が分裂している可能性があります。

それでも、経済・雇用といった内政で支持を落しているのはどちらも同じで、これが大きく足を引っ張る形です。

文大統領の支持率低下は別の調査でも同じで、韓国の世論調査会社「リアルメーター」の調査でも、文在寅大統領の支持率が就任以来最低を更新し、55.2%となったと発表。不支持率も就任後初めて40.0%となりました。こちらも経済政策への不満が数字に出たと見られています。

ただ、ギャラップの調査では、政府の所得主導の成長政策の方向について「賛成する」という回答が60%、「反対する」という回答は26%と、文政権の経済政策は支持されています。

所得主導の成長政策とは、家計所得を高めて成長をリードするというものとしていますけれども、どうやって家計所得を高めるかについては、公共部門の雇用拡大、最低賃金の引き上げ、週当たり労働時間の上限の引き下げと、政府と民間に負担を課し、ばら撒きを先にやるという政策です。

けれども、結果は見ての通り。

韓国銀行が8月30日に発表した企業景況感指数(BSI)によると、企業の体感景気は1年半ぶりの低水準を記録しています。

ギャラップは所得主導成長政策について、「所得主導成長の政策方向と効果は切り離してみる必要がある。所得主導成長の志向点は結局、経済成長であるため、これを肯定的に受け入れた可能性がある……政界は、所得主導成長論そのものの是非を問うよりも、政策実行の方法とスピード面で変化と妙手を見いだす努力が必要だ」と分析しています。

要するに経済成長なくして、所得増はない。政府は早く結果を出せ、ということです。

先月、韓国の雇用統計で前年比で5000人しか増えなかったという衝撃的な発表がありましたけれども、その直後、統計庁長が交代しました。これまで統計庁長は一度任命されると通常2年前後の在任期間があったが、今回は13カ月で交代となったことから事実上の更迭と見られています。

辞任した統計庁長はメディアの取材に「私はそれほど従順な人間ではなかった」と言い残したことから見ても、大統領府から悪い数字は見せるなと強い圧力があったことが窺われます。

文政権は統計庁長は更迭し、今の経済政策を変える積りはないようです。

8月25日、文在寅大統領は、ソウルオリンピック公園体操競技場で開かれた与党・共に民主党全党大会の映像祝辞で「最近になって経済、特に雇用に対する心配の声が多い」としながらも「就業者数と雇用率、勤労者の増加、自営業者の増加など、全体的に見れば雇用の量と質は改善した……成長率も前政権より高くなり、全般的な家計所得も増えた。今年上半期の輸出も過去最高になった」と、我々は正しい経済政策基調で進んでいると正当性を主張しています。

前の政権からは良くなった、とは、かつての日本の民主党のような言い訳です。いくら数字がどうこうと口で言おうと、国民の体感がそうでなければ、支持が集まる訳がありません。

こちらの楽韓WEB殿の記事によると、文大統領の我々の経済政策は正しい発言に対して、韓国メディアが数字をチェックしてそんなことはないと反論しているようです。

50%を切ると不味いと言われる韓国大統領の支持率。文在寅大統領に黄色信号が点ってきました。
 

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