昨日の続きです。
9月7日、日本政府は北海道地震による道内全域の停電について、ほぼ全戸の停電を8日中に解消できる、との見込みを明らかにしました。
北海道電力によると、火力発電所などの再稼働や、本州からの電力融通、道内企業からの電力買い取りで供給力を積み上げ、直近のピーク時の9割超にあたる供給力を確保できる見込みとのことです。
取り敢えず直近の危機は脱したようけれども、電力ピークをカバーしている訳ではありません。残り1割をカバーするために政府は8日から1割程度の節電を道民や企業に要請するとしています。
けれども、週明けになって、節電がうまくいかなかったり、発電所が故障したりした場合には、強制的な節電を行わなければなりません。要するに計画停電です。
政府は計画停電に踏み切る場合に備え、1回2時間ほどの停電を想定し準備するとしています。その意味では電力が復旧したとはいえ、まだまだ薄氷の上だといえます。
地震直後の全域停電は北海道に住む人々を直撃しました。
札幌では地下鉄や鉄道はストップ。コンビニやスーパーは薄暗い中で営業を続けていましたが、クレジットが使えず買い物が出来ない人もいたようです。当然ATMも動きませんから現金も下ろせません。
札幌市内の信号機は一部を除いて停止。交通がマヒしてしまい、市内の路線バスも、信号機の回復まで運行を取りやめたそうです。
電力供給が途絶え信号が止まることで、本来内燃機関で電気が関係ない筈の物流にまで影響が出る。いかに日本が電化が進んだ社会であったかということですね。
昨日のエントリーではベース電力としての原発再稼働について触れましたけれども、やはり今回の大停電について、泊原発が稼働していれば、大停電は避けられたという説が話題になっています。
今回の停電の原因となった苫東厚真火力発電所の発電量が165万キロワット。泊原発は207万キロワットですから、確かに泊原発が稼働していれば避けられたでしょうね。
泊原発が停止しているのは、東日本大震災を切っ掛けに設立した原子力規制委員会によって再稼働が妨げられているからです。
これについて、東京工業大学先導原子力研究所の澤田哲生助教は、「大停電は菅直人にも責任がある」とし、原子力規制自体が「社会リスク」になる現状を止めるべきだと警告しています。原発に対する過度な規制を止め、再稼働を進めるというのには賛成します。
ただ、原発の再稼働については、昨日のエントリーのコメント欄でmasa様から今の体制では問題があり過ぎると貴重な御意見を頂戴しています。
masa様の御意見は、掻い摘んでいうと「一つの原発にある原子炉が多すぎる」、「立地に関する調査が甘い」、「破壊工作等に対する備えがない」、「想定外の事故に対する対策がない」というものです。
筆者はこれらを「リスク管理が出来ていない」という御意見と受け止めたのですけれども、確かに御指摘のような問題はあると思われます。
masa様は原発国有化による運用の厳格管理をしながらの代替エネルギーの開発という案を提示されています。それも有力な案だと思います。
あと、原子炉の集中配置が問題であれば、たとえば、トリウム溶融塩炉や4S高速炉のような小型で安全性の高い炉を各地に分散配置するというのも手ですし、使用済核燃料の問題についても、資源再利用型沸騰水型原子炉(RBWR)などでも、ある程度の軽減は図れるかと思います。
また、代替エネルギーについては、風力や太陽光といった"地表"で発電する形式のものは諦め、海の温度差を利用する海洋温度差発電や、地下熱を利用する地熱発電や高温岩体発電、あるいは宇宙で発電して地球に送る宇宙太陽光発電などの研究を積極的に進めていくことも必要ではないかと思いますね。
コメント
コメント一覧 (8)
国防という観点を除いた原発論議には、強い違和感を覚えざるを得ない。
kotobukibune_bo
t
がしました
20年後には、海の波を利用した
発電が主力となっているとみています。
kotobukibune_bo
t
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今回、人生初の震度6、インフラ崩壊、最寄りの学校が避難所になり、
会社の同僚と連絡が取れなくなる・・・被災というやつを体験して
改めて電気・上下水道の大切さを痛感しました。
同時に苫東の停止が引き金と聞いて泊が動いていたらなんて皆で
話していました。
今の私には海上発電なんてお花畑どころか世迷言にしか聞こえません。
ちなみに・・経験された方も多いかもしれませんが・・・
震度6って半端ないです。最初のひと揺れで一気に目が覚めました。
kotobukibune_bo
t
がしました
色々な気付きを教えていただいています。
さて、「一つの原発にある原子炉が多すぎる」ですが、“定期検査”をご存知なのかと疑問を呈します。
原子力発電は、国土の性質上及び原子力への反プロパガンダにより、立地場所が限られています。
よって、その限られた場所での発電事業を継続しようとすれば、2基3基と増えるのは必然なのです。
何故なら、“定期検査”という仕組みがあるからです。原発起動から停止にも時間がかかります。安定した電力供給及び電気事業を考えれば、バックアップを含めて1か所発電所に4基の原発が設置されてもおかしくないでしょう。
kotobukibune_bo
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がしました
コメントありがとうございます。
確かに原発技術は抑止力としての効果はあります。アメリカはプルトニウム削減を日本に要求していますけれども、再処理技術そのものは確保しておく必要があると思いますね。
kotobukibune_bo
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始めまして。コメントありがとうございます。
海上発電の可能性については過去エントリーしたことがあります。
http://blog.livedoor.jp/kotobukibune_bot/archives/15965530.html
ただ、本エントリーでも書きましたけれども、台風21号被害をみると、ちょっと厳しいかなぁと思っています。海中であれば、まだ可能性があるかと思いますけども、発電量からベース電力には厳しく、どちらかといえば、(原発等の)外部非常用電源的な使い方が在り得るかなと考えます。
kotobukibune_bo
t
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おはようございます。御無事のようでなによりです。
被災されたということ、心中お察し申し上げます。
私は東日本大震災で計画停電を経験しましたけれども、昼間の3~4時間くらいでしたので、なんとか凌げました。冷蔵庫の中身は様変わりしましたが。
避難所生活は何かと大変なことと思います。早く復旧されることをお祈りいたします。
kotobukibune_bo
t
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コメントありがとうございます。
御指摘のとおり、反原発派のプロパガンダは深刻な問題です。マスコミも加担してますしね。
感情的な反発の前に、原発の安全性についての広報と冷静な議論ができるよう国ももっと考えないといけないですね。
目下のところは菅直人元首相の悪しき置き土産である「原子力規制委員会」の問題をなんとかすべきかと思います。
kotobukibune_bo
t
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