今日はこの話題です。



10日から本格化した自民党総裁選ですけれども、安倍総理がロシアへ外遊する中、石破氏が地方行脚に精を出しています。

10日午後に水戸市で街頭演説した後、すぐに神戸に移動。11日は神戸、堺、大阪各市で演説や練り歩きを行っています。12日には富山県、13日には福岡、長崎両県を訪問するとしています。

10日の水戸での街頭演説では「地方の経済を活性化していくのが日本にとって一番大事なことだ……鍵は東京ではなく、地方にある。地方の雇用と所得を取り戻す……一人一人の所得をどう増やしていくか、そこに政策の全てを集中しないといけない」と地方や中小企業を重視した経済政策への転換を訴え、11日日の神戸での街頭演説では自民党の現状に関し「みんな物を言わなくなった。首相に叱られる、出世しなくなると考えるのは間違いだ……全ての国民のための自民党を取り戻す」と強調しています。

全部をきちんと見た訳ではありませんけれども、概ね10日に行われた自民党総裁選の共同記者会見の内容を述べているようです。

共同記者会見の模様はこちらで報じられていますけれども、ネットでは安倍総理と石破氏の受け答えを簡潔にまとめた文章が出回っています。次に引用します。
今日の共同記者会見

石破「可処分所得を改善しなければならない」
記者「具体的にはどういう政策を?」
石破「それに関しては叡知を集めて結論を出したい」
安倍「30年ぶりに可処分所得は私の政策で改善はされたがさらに努力が必要だと思います。
具体的には若年層への社会サービスの充実などの全世代型の社会保障の整備をさらにやっていくことになる」

石破「これからの時代は地方創生だ、地方の活力こそ日本に必要だ」
記者「具体的には?」
石破「首都機能移転とかを早く結論を得るための委員会の設置を」
安倍「地方の産業のブランド化、海外への市場のアクセスを増やしていくことが必要」
「具体的には安倍政権の政策により農産物の輸出は初めて今年600億円を越えました」
「この内訳の8割は地方の物産でありまして、この政策をさらに進めていきたい」
「また、インバウンドの地方へのアクセスを活発化してさらに地方の産業を、活性化していきたい」
「今年の海外観光客は最高を記録するのが確実であるが、地方の魅力をさらに海外へ発信する契機にしたい」
「特区制度を積極的に進めていく、摩擦を恐れずに地方への産業の育成を推進していく」
この記者会見についてネットでは「具体的な政策がない」だとか「野党と態度が同じだ」とか叩かれています。

確かに安倍総理がこれまでの実績を背景に、現実的な政策を述べているのに対して、石破氏は観念論に近いというか、展望を述べるだけで具体策に乏しいのは否めません。

けれども、筆者がそれ以上に気になるのは、石破氏の考えに"発展"させていくという意識が薄く感じることです。

例えば、上述のまとめでいえば、地方創生について石破氏は首都機能の"移転"を挙げています。けれども移転は飽くまで移転であって、増大ではありません。確かに地方は首都機能移転で活性化するかもしれませんけれども、理屈上は移転させた分だけ、首都は"減る"のです。

これは予算でいれば、予算の付け替えや配分率の変更であって、予算そのものを増やすというものではないのですね。パイ全体を大きくしようという発想ではない。

これに対して安倍総理は地方創生の手立てとして"地方の産業のブランド化"、"海外への市場のアクセスを増やす事"を挙げています。

地方産業のブランド化は価値の創造によって市場のシェア拡大を図るものですし、"海外への市場のアクセスを増やす事"は新しい市場の開拓にあたります。つまり安倍総理は発想において市場の拡大、すなわち発展が入っているのですね。

こんな事をいうと、石破氏は"物事は今あるところから始めなければならないのであって、机上の空論をいくら並べても仕方がない"とでも言いそうですけれども、今あるところから始めるのなら猶の事、ゴールも明確にしなければ、海図のない航海と同じで迷走するだけになってしまいかねません。

また、ネットでは石破氏に対する批判の声として「他人に意見を聞くのはいいが、自分の意見を持って無い奴はただ他人に流されるだけになる」というのを見かけましたけれども、既に石破氏は「決断できない人だ」という指摘があります。

防衛省の元幹部は「石破さんには総理大臣になってほしくない、と思う制服組は多い。総理の参謀役ならいいが、自衛隊の最高指揮官にはなってほしくない人。石破さんは『そろそろご決断を』という段になっても『もっともっと情報を』と延々議論検討を終えない、決断できない、決められない防衛大臣だった」と漏らしたそうですから、石破氏がそういう人物だということは知っている人は知っているのでしょうね。

決断できない、というのは言い換えれば「結論が見えない」ということです。ゴールのビジョンが見えないから、それが良いのか悪いのか分からない、判断だできない。だから、いつまで経っても決断できないという訳です。

石破氏が地方創生担当大臣として、これといった実績がなかったのも、この決断できないというのが大きく足を引っ張ったのではないかという気もしますね。

この問題は突き詰めれば、「ビジョンを描く力」に行きあたるのではないかと思います。方法論というのは描いたビジョンに到達するための手段であって、目的ではありません。

石破氏は「日本創生戦略-石破ビジョンー」と題したリーフレットを出していますけれども、予算の付け替えのような国内で閉じた政策では、国家ビジョンとしては器が小さすぎます。

安倍総理がアベノミクスなり、自由で開かれたインド太平洋戦略なり、国家ビジョンを語っているのとは実に対照的です。

9月10日、安倍総理と石破氏の立会演説会が行われましたけれども、演説会後、甘利元経済再生担当大臣は記者団に対し、「非常に聞き応えがあった。安倍候補は具体的に3年間のビジョンがよく伝わってきたが、石破候補はみずからの経験を通じ、こういう点をもっと進めたいというところがあれば、より伝わりやすかった」と述べています。

やはり、安倍総理にあって、石破氏に足りないのはこの「ビジョンを描く力」にあるのではないかと思いますね。
  
 

コメント

 コメント一覧 (2)

    • 1. 世襲
    • 2018年09月13日 13:26
    • 安倍総理にあって石破氏に足りないもの
      「平気でうそをつく」
      「悪知恵」
      「口からでまかし」
      「自己中」
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    • 2. 公募
    • 2018年09月13日 20:46
    • 安倍総理にあって石破氏に足りないもの
      「平気でうそをつく」国を相手にした経験
      「悪知恵」で誹謗中傷する人間への耐性
      「口からでまかし」を見破る鋭さ
      「自己中」と言われるほどの国益への集中
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