今日はこの話題です。



9月17日、アメリカのトランプ大統領は、中国による知的財産権侵害を理由に、中国からの2000億ドル(約22兆円)相当の輸入品に追加関税を課す制裁措置の第3弾を24日に発動すると発表しました。但し、上乗せする税率は当初10%とし、来年から25%に引き上げるとしています。

トランプ大統領は声明で「中国は取引したがっている。しかし、われわれの観点で公平でなくてはならない。アメリカの労働者は大切にされるべきだ……中国指導部が迅速に不公正な貿易慣行を終わらせるよう求める……尊敬する習近平主席とともに、この問題を解決したい」と中国が要求に応えるよう求めています。

今回の制裁関税で、これまでの関税とあわせ、総額2500億ドルが制裁対象となり、衣料品や食料品など、アメリカが中国から輸入する製品のほぼ半分に上ります。

更にトランプ大統領は中国が報復措置を採った場合、ただちに2670億ドル相当の中国製品への新たな制裁を検討するとしています。

2670億ドルの新たな制裁が実行されれば、中国の対米輸出品のほぼ全てが対象となります。まだ次の手があるぞとチラつかせることで圧力を掛けた形です。

これに対し中国は18日、報復関税措置を実施すると表明。具体的な方策については触れていないものの、以前からアメリカ製品600億ドル相当に対し報復関税を課すとの方針を示していることから、それに相当する事を行うのではないかとも見られています。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国当局者が中国は銃を頭に突きつけられた状態では交渉に臨まないとして、近く予定されているアメリカとの通商協議をキャンセルする可能性について報じています。

中国証券監督管理委員会の方星海副主席は天津市で開催されている夏季ダボス会議で、「トランプ大統領は手ごわいビジネスマンであり、交渉でわれわれから譲歩が得られるよう、中国に圧力をかけようとしている。この種の戦術は中国には効果がないだろう……大統領がそうすると言っているように、すべての中国の輸出品に関税を課しても、中国経済への負の影響は0.7%程度だ」とし、双方が対等の立場で交渉できるよう希望するとコメントしました。

また、環球時報も「交渉のテーブルで利益をより得るため米国が摩擦を激化させようとすることに新味はない……われわれはより見事なカウンター攻撃を楽しみにしており、米国が感じる痛みは増し続けるだろう」との社説を掲載し、強気の姿勢を崩していません。

環球時報のいう"見事なカウンター攻撃"とは一体何か。

中国は対米輸入ではアメリカにカウンターを決められるほどの額はありません。従って、カウンターがあるとすれば、報復関税以外のものにならざるを得ません。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国当局者の一部が指導部に対し、素材や備品、アメリカ製造業者のサプライチェーンの鍵を握る部品などの販売を制限し、貿易上の争いを強めることを提案するようアドバイスしていると報じていますから、中国製部品を使っているアメリカ企業に打撃を与えることで、トランプ大統領の手を緩めさせようという腹なのでしょう。ある意味"焦土戦術"といえなくもありません。

ただ、これが通用するのは、中国でしか製造できない部品がある場合です。他国で代替品があれば、それに切り替えていけば、一時的に生産が落ち込むことがあったとしてもやがてカバーしていくことになります。

中国としては、中国に進出しているアメリカ企業が撤退する前に、貿易戦争を終結させたい筈。その意味では、年内、長くても1~2年がポイントになるような気がしますね。
 

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