今日は感想エントリーです。
アメリカ時間の9月25日、アメリカのツイッター社は、ツイッターサービスのポリシー改定プロセスについて、情報公開したと報じられています。
これは、ヘイトスピーチ対策の強化を目指すもので、新たに「直接的なターゲットを含まない場合でも、特定の集団のメンバーの誰かの人間性の否定をする項目を、暴言や脅迫、差別的言動に対するツイッターのポリシーに含め、拡大したい」とのことで、10月6日までアンケートを取っています。
ツイッター社はアンケートで、人間性の否定について次のように定義しています。
人間性の否定についての定義
他人を人間以下に扱う言葉。人間性の否定は、人が人間の本質を否定されたとき(動物的人間性の否定)や、人間性を否定されたとき(機械的人間性の否定)に生じることがあります。例えば、集団を動物やウイルスに例えたり(動物的)、集団を性別で分類したり(機械的)する場合です。
特定の集団:集団に属する人たちは共通の特性で区別できます。そのような特性には、人種、民族、国籍、性的指向、性別、性自認、信仰する宗教、年齢、身体障害、重病、職業、政治理念、地域、社会的慣習などがあります。
今回の改定は、従来のポリシーである「暴言や脅迫、差別的言動に対するTwitterのポリシー」を拡大しようとするものですけれども、ツイッターはこれ以外にも何度もポリシーの改訂を行ってきました。
こちらのサイトでは、ツイッターの過去のポリシー改定について、改定プロセスが明確に公開している点を評価しています。その一方ネットでは、今回の改定で「人間以下」の定義が明確でないという意見も上がっているようです。
また、それ以外の狙いがあるという見方もあります。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ツイッターの言論が現実世界に悪影響を及ぼすというのは、何かしらはあるでしょう。ですがそれよりも、大規模なデモに発展した時に『ツイッターのせいでデモが起きた』と言われないための変更案ではないかと思います。株価などへの影響を避けるためでしょう……好き勝手言わせて、『やっぱりヘイトってよくないね』と思わせるか、プラットフォーム側で先にある程度コントロールしていくか。色んな運営の方法がありますが、ツイッター社は後者を選択したということです」と、「ツイッターのせいでデモが起きた」と言われるのを避けるためではないかと指摘しています。
どんな狙いがあるにせよ、ポリシー変更についてそのプロセスを公開し、一般からアンケートを取る姿勢があるのは評価してよいと思います。
それ以前に大事なのは、運営側がそのポリシーに基づいて厳格に運用し、恣意的な判断を差し挟まないということです。
8月28日付の「New York Times」は、Facebookのシニアエンジニアであるブライアン・アメリゲ氏の告発を報じました。
アメリゲ氏はFacebook社内用の掲示板に「我々には政治的な多様性について問題があります」と題し、「我々は全ての考え方を歓迎すると言っているのに、左翼的なイデオロギーと対立する見解を示す人にはすぐさま攻撃をしかけている」と書き込みました。
アメリゲ氏は社内に存在する反リベラル思想を排除する空気の一例として、前回の大統領選でトランプを応援するポスターが破られたことなどや、反リベラル的な意見を示した社員が解雇の圧力にさらされたことなどを挙げ、政治的に一つの思想しか許さない社内文化があると痛烈に批判しました。
これが本当であれば由々しき問題ですね。
アメリゲ氏の投稿の後、100人以上のFacebook従業員がアメリゲ氏に同調の意思を示し、社内の政治的多様性を育むためのオンラインディスカッショングループ「FB'ers」を結成したのだそうです。
そして、このグループの掲示板やアメリゴ氏に、社内で少数派に対する攻撃を受けたという訴えが多数寄せられているとも伝えられています。
Facebookがこうした動きにどう対応するか分かりませんけれども、使う側も運営する側も多様性を尊重する姿勢を棄ててはならないと思いますね。
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