今日はこの話題です。



9月30日、2015年の法改正で選挙権年齢が18歳に引き下げられてから初めてとなる沖縄県知事選の投開票が行われました。

この日の投票は折からの台風の影響もあって、出足が鈍かった半面、期日前投票が凄く伸び29日までに有権者のおよそ35%にあたる人が期日前投票を済まるなど前回の2倍余りの数に上ったそうです。

佐喜真氏と玉城デニー氏が激戦を繰り広げた選挙は、23:00時点で、玉城デニー候補が当確となったようです。

残念ですね。

今回の選挙では、若者を中心に「玉城デニー氏が当選したら沖縄が中国に乗っ取られる」などと口コミで広がるなど色々と物議を醸しましたけれども、中国が沖縄に工作を仕掛けていることは、色んな所で指摘されてきました。

勿論、このことは政府も把握しています。

公安調査庁は2017年版の「内外情勢の回顧と展望(平成29年1月)」のコラムで、中国が沖縄世論に対して工作をしていると報告しています。

次に引用します。

「琉球帰属未定論」を提起し、沖縄での世論形成を図る中国

人民日報系紙「環球時報」(8月12日付け)は、「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」と題する論文を掲載し、「米国は、琉球の施政権を日本に引き渡しただけで、琉球の帰属は未定である。我々は長期間、琉球を沖縄と呼んできたが、この呼称は、我々が琉球の主権が日本にあることを暗に認めているのに等しく、使用すべきでない」などと主張した。

既に、中国国内では、「琉球帰属未定論」に関心を持つ大学やシンクタンクが中心となって、「琉球独立」を標ぼうする我が国の団体関係者などとの学術交流を進め、関係を深めている。こうした交流の背後には、沖縄で、中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるものとみられ、今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要する。

このように、中国は沖縄への世論工作として、琉球独立を唱える団体に力添えをしていると示唆しています。

中国の工作については、2013年5月12日のエントリー「人民日報の沖縄論文と沖縄独立」でも取り上げましたけれども、当時すでに人民日報が「琉球の帰属は未解決」と述べています。

また、この人民日報の記事とタイミングを合わせるかのように、2013年5月15日、沖縄県庁記者クラブで「琉球民族独立総合研究学会」設立の記者会見が行われています。

更に、自民党の青山繁晴参院議員は虎ノ門ニュースで「翁長県政が中国観光客を大量に受入れたので沖縄経済は中国頼みになってしまった。そして中国が翁長氏を知事にする工作した証拠の議事録もある。そこには【翁長氏が知事になったら李克強首相が【チャーター便で観光客を入れる約束をする】や【米軍を追い出すのが中国の目的】と書いてある」と発言しています。

従って中国が沖縄に工作している可能性は非常に高いとみてよいと思いますね。

では、沖縄世論は中国寄りになっているのかというと、必ずしもそうとは限らない。先のエントリーでも紹介していますけれども、沖縄県の県地域安全政策課が毎年、「地域安全保障に関する県民意識調査」を行っており、平成27年度の報告も公開しています。

それによると、中国に対して、「良くない印象を持っている」と「どちらかといえば良くない印象を持っている」という割合の合計はここ数年ずっと90%前後で推移していて、一向に改善する気配が見えません。

まぁ、昨今の中国の態度を見ていれば、そういう印象を持つのは実に自然なことだと思いますし、その中国に融和的な姿勢を見せるデニー玉城氏に危機感を覚えるのは不思議なことでもなんでもありません。

ただ、選挙は選挙です。

これから沖縄のみならず、日本ならびに東アジアの安全保障を含め、茨の道に向かう覚悟が求めらますね。
 

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