今日はこの話題です。



10月4日、アメリカのペンス副大統領はシンクタンクのハドソン研究所にて講演を行い、厳しい中国非難を行いました。

全文はこちらにありますけれども、中国共産党が、長年アメリカで工作を行ってきたとし、社会に様々な問題と脅威をもたらしたと指摘しました。

講演内容について、大紀元コメンテーターの唐浩氏は次の7つのポイントを挙げています。
1.中国と中国共産党を区別する
2.米国中間選挙に介入、米政府の転覆を図る
3.中国当局による浸透工作の全貌を暴く
4.貿易戦で中国共産党への包囲網を強める
5.中国当局による軍事挑発に備える
6.米国民の結束を高める
7.中国共産党の邪悪本質を暴く
ペンス副大統領は講演の最後に「中国との関係が公平、相互主義、主権尊重に根ざすまで、我々は寛容にはならない」と述べていますけれども、ペンス副大統領の講演は、一言でいえば、過去40年に渡る対中政策の見直しと、中国共産党政権に対する「宣戦布告」ともいえる厳しいものです。

アメリカの中国に対する見方は急速に変化しています。

アメリカのオバマ政権で国務次官補を務めたカート・キャンベル氏と、新アメリカ安全保障センター・シニアフェローのイーライ・ラトナー氏は『フォーリン・アフェアーズ・レポート』2018年4月号への寄稿文「対中幻想に決別した新アプローチを」の中で、「あらゆる立場からの政策論争が間違っていた。中国が段階的に開放へと向かっていくことを必然とみなした自由貿易論者や金融家、国際コミュニティへのさらなる統合によって北京の野望も穏健化すると主張した統合論者、そしてアメリカの揺るぎない優位によって中国のパワーも相対的に弱体化すると信じたタカ派など、 あらゆる立場からのすべての主張が間違っていた」と述べています。

キャンベル氏とラトナー氏は民主党のオバマ政権でアジア外交を担った高官でしたけれども、その彼らが、中国を外から変化させることはできないどころか、独自の秩序構想を世界に輸出しようとしていると認めた意味は大きい。いわゆる"中華思想"をようやくアメリカも公式に理解して表明し始めたと事を意味するからです。

そしてトランプ政権になってから、特に今年に入ってから、アメリカの対中アプローチの変化が顕著になってきています。

8月に議会を通過した2019年度国防授権法は、中国に関して多くの注文を政府に迫る内容になっています。

国防権限法とは、アメリカ政府が国防総省に対して予算権限を与える法律です。当該会計年度より5年間にわたり特定の事業計画に対する支出について権限が与えられるもので、年度ごとに制定されます。

2019年度の国防授権法については、こちらのブログで取り上げられていますけれども、中国についての項では、「国家防衛戦略によると、中国は『全国家的長期的戦略』を使い、軍の近代化と影響操作と、インド太平洋地域に彼らの利益を再配置するため隣国を強制するための略奪的経済のてこ入れを行っている。米国と同盟国の安全保障を脅かす攪乱工作を通して彼らの権威主義的モデルを形成することを目指す中国を戦略的な競争者として分類する」と規定しています。

そして、中国を"戦略的な競争者"と見做した上で、それに対抗する様々な条文を定めています。

こちらにそれら条文が紹介されていますけれども、以下などはトランプ政権の動きと連動した条文に見えます。
889条 :中国の情報通信設備等を政府調達から排除
1091条:孔子学院関連の中国語教育施設への助成禁止
1257条:台湾軍事力の強化
1258条:台湾に関する議会の意向
1259条:リムパック(環太平洋合同演習)に中国を参加させない
1261条:アメリカの対中国戦略策定を大統領に義務付け
1701条:対米外国投資委員会(CFIUS)の権限強化
特に1261条は、対中戦略を作るよう大統領に義務付けるものですからね。他の条文と合わせれば、中国締め付けの政策になることはほぼ確実です。

これらを見る限り、アメリカの対中政策は今対立している貿易だけで収まるとは思えません。今後、ありとあらゆる局面で米中対立が起こりうると見るべきではないかと思いますね。
 

コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. 戦時は便衣兵
    • 2018年10月08日 10:57
    • そうですね。トランプ大統領の最終目的の一つが、中国共産党の解体ですから。大統領就任当初からブレてませんね。
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