今日はこの話題です。
11月6日、アメリカで中間選挙が行われます。
中間選挙では、上下院の連邦議会議員が選ばれます。
現在の連邦議会は上下両院とも共和党の議員が過半数を占めているのですけれども、今回の中間選挙では、下院は435議席全てが改選され、上院は100議席中35議席が改選されます。
下院で民主党が過半数議席を獲得するには、少なくとも23議席を共和党から奪わなければならないのですけれども、今年は多くの共和党議員が引退を表明しているため、民主党が優位だろうと見られています。
一方上院は、民主党が2議席増やせば過半数を奪還できるのですけれども、共和党の改選議席はわずか9議席。民主党は26議席が改選議席です。従って、民主党は26議席を守って更に共和党から2議席取らねばならず、下院よりはハードルが高くなります。
アリゾナやネバダ、テネシー、テキサスを含むいくつかの州では民主党が議席を奪取するチャンスがある一方、民主党現職議員が弱いノースダコタやインディアナ、ウエスト・バージニア、ミズーリ、フロリダなどの州では共和党に議席を奪われる可能性もあり、微妙な情勢のようです。
今のところ、支持率調査の結果では民主党がさまざまな場所でリードしています。現在、民主党に投票すると答えた人は共和党支持者を10ポイントほど上回り、民主党にとっては、年初以来最大のリードとなっています。
アナリストたちは、下院において、現職数十人が敗れると見ており、その大半が今のところは共和党の議席なのだそうです。
その結果、下院では民主党が過半数を獲得し、上院は共和党がそのまま過半数を制するのではないかという見方が有力視されています。
中間選挙は、大統領選と大統領選の間に行われるため、そう呼ばれるのですけれども、大統領選と違って中間選挙の投票率は毎回、35~40%と低調になる傾向があります。
これまでの中間選挙では、高齢白人の投票の割合が増えるため投票率が低い方が共和党に有利だったのですけれども、今回は、トランプ大統領に不満を持つ反トランプ派や、普段投票にいかない若者や女性、マイノリティーが反対票を投じてくれるのではないかと民主党側は期待しているという観測もあります。
では、仮に下院で民主党が勝利した場合、反トランプ派の支持を受けて、トランプ大統領を弾劾裁判に掛け、辞めさせることが出来るかといえば、そう簡単な話ではありません。
下院では弾劾決議が提出され、過半数以上の議員の賛成票を集めた後、上院でさらに3分の2以上の賛成が必要となるからです。
現在まで、弾劾裁判で罷免された大統領はいません。過去を振り返っても、リチャード・ニクソン元大統領は下院に弾劾決議が提出される前に辞任し、ビル・クリントン元大統領は、上院の弾劾裁判にかけられたものの、有罪にはなりませんでした。
となると、民主党は、弾劾ではなく2020年の大統領選挙に向けて、トランプ大統領の評判を落とす作戦にでる可能性が高いと言う声があります。
つまり、トランプ大統領が抱えるスキャンダル、税金問題やロシア疑惑、司法妨害疑惑など前回の大統領選以来、民主党が申し立ててきたが無視されてきた問題に対して、議会の強力な調査・監督機能をつかってそれらを掘り起こしていくというのですね。
そしてそれを次の大統領選挙前に公表することで、大統領選挙で優勢に立とうとする作戦です。
無論、トランプ大統領はこれまでの実績をもとに大統領選挙を戦おうとするでしょう。
トランプ大統領就任後、アメリカ経済は上向いています。昨年の家計所得は3.2%増加し、失業率は下がり続けています。
来月の中間選挙は未だしも、2020年の大統領選挙で、アメリカ国民はトランプ大統領の実績とスキャンダルのどちらを選ぶのか。その足掛かりとなる中間選挙の行方は見逃せません。
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