今日はこの話題です。
11月12日、韓国の民主平和党の金光守議員が募集工裁判判決に伴う日本政府および日本企業の賠償履行を求めるための決議案を発議しました。
決議案は「大法院の最終判決を尊重」、「日本政府の大法院強制徴用賠償判決受け入れ拒否に対する糾弾」、「強制徴用被害者に対する賠償履行要求」等を求めるもので、決議案には金光守議員をはじめ、超党派の議員28人が参加。
金光守議員は「日本の首相、外相ら日本指導者が、連日過激な発言で強制徴用賠償判決の受け入れを事実上拒否するような行動を取っている……このような行動は真実を隠し、自分たちの過ちを隠そうとする行動として、歴史の前にまた別の罪を犯している行為」と述べました。
そして、「我々国民は、日帝強占期に、日帝の国家総動員法により強制的に戦犯企業が運営する炭鉱・建設工事・軍需工場・金属鉱山に連れて行かれて働いている途中で、死んだり障がい者にさせられたりするなど、形容できないほどの苛酷な労働搾取を受けてきた……決議案の内容により、日本政府と戦犯企業は責任を直視し、大法院の判決に沿って賠償をすることが日帝強制労役被害者の人権回復の始まりであることを肝に銘じなければならない」と批判しています。
向こうが何を主張しようが勝手ですけれども、まず原告は徴用工ではなく、募集工です。それに、日韓請求権協定によって補償は終わった話です。補償履行は日本にではなく、韓国政府に要求する筋のものです。国際法に従えばそうなります。
12日、募集工裁判の原告側代理人が丸ノ内にある新日鉄住金本社を訪れ、賠償協議の履行を求める要請書を持ち込もうとしました。勿論、住金は「韓国大法院の判決は韓日請求権協定と日本政府の立場に反するもので受け入れることはできない。非常に遺憾であり、外交交渉状況を見守る」と門前払いしたのですけれども、代理人は資産の差し押さえ手続きを進めると宣言しました。
では、実際に差し押さえできるような資産はあるのかというと、新日鉄住金は韓国国内には資産は殆どありません。
新日鉄住金は韓国最大の鉄鋼メーカーであるポスコの株を3%程持っているのですけれども、これらは韓国市場ではなく、ニューヨーク証券取引所で買い入れた株式預託証書です。韓国国内の資産として見做されるか不明ですし、最低でもアメリカの裁判所が強制執行を認めない限り無理と見られています。
あとは、新日鉄住金が韓国の国内企業と取り引きする過程で発生した売上債権を召し上げる方法ですけれども、こんなことをやれば、他のターゲットにされている企業が同じ目に遭うとして撤退を始めるしかなくなります。ちょっとリスクが大き過ぎる。
ということで、事実上、殆ど抑えられる資産はないだろうと見られていたのですけれども、どうも、合弁会社という形で資産があると指摘されています。
それがポスコ・ニッポン・スティール(PNR)社です。この会社は2008年1月にポスコと新日鉄住金の前身である新日本製鉄が提携して発足したリサイクル専門の合併会社で、製鉄所の製銑や製鋼工程から発生する集塵ダストや水処理スラッジを年間20万トン処理し、14万トンの直接還元鉄を製造しています。
2017年末時点で、ポスコ・ニッポン・スティール社の資産は約96億1500億円。その30%程を新日鉄住金が保有しているそうです。
96億の3割は約28億円。元募集工1人あたり約1千万円の賠償を賄うには十分すぎる額です。
こんなのが見つかった以上、原告代理人側は嬉々として、裁判所に強制執行申し立てをするでしょうね。実際、そうなった場合、新日鉄住金も異議申立てをして多少の時間稼ぎを行うものと思われますけれども、強制執行が実施される前に韓国政府が介入しなければ、日韓関係、少なくとも経済的な関係は断絶することになるでしょうね。
12日、菅官房長官は元募集工原告代理人が新日鉄住金本社を訪問したことについて問われ「承知しているが、特にコメントすることはない……韓国政府に対して、判決により生じた国際法違反の状態の是正を含め、直ちに適切な措置を求めている」と、改めて韓国側の対応を促すコメントをしています。
ただ、判決が出てこのかた文大統領ずっとダンマリを決め込んでいる中、超党派の議員から賠償履行を求める決議案が出されてしまった。まさに進退此処に極まれり、としか言い様がありません。
あるいは、文在寅大統領は、この件について韓国政府が正式なコメントを出さずに、引き伸ばししつづければ日本も何もしないだろうと思っているのかもしれません。
けれども、今回についていえば、時間は韓国を不利にします。
判決が出た翌日の10月31日、毎年開かれていた日韓の特許庁長官会合が無期限延期となっています。おそらくその他の会合もストップしているものと思われます。
11月5日、日韓協力委員会の塩崎恭久衆院議員らが韓国の政党関係者らと懇談しましたけれども、平行線に終わっています。
頼みの綱の日韓議員連盟も動きにくい。
日本政府としては、今の内に、邦人企業と連携して、いつでも韓国から撤退出来るように準備を進めつつ、政府間の各種会合を悉く無期限延期にしていくべきだと思います。つまり、今からゆっくりと潮を引くように韓国から手を引いていく。
そうしておいて、文在寅政権が弾劾されるのを待つのが得策かと思います。
文在寅政権が弾劾された時点で、政官財それぞれで韓国との関係が薄くなっていればなっているほど、その立て直しには多くの労力が伴います。けれども、その労は全て韓国が負うべきものです。それは文在寅政権の次の政権が追うことになり、大きな負担となる筈です。
つまり、韓国が反日を止め、掌を返したように親日にならなければ、日本との関係修復など在り得ないという状況に持っていくことが出来れば、日本にとってはよりベターになるからです。
日本政府は、文在寅大統領が身動きできずモタモタしているこの機会を利用して、今後の日韓関係の仕込みを始めてもよいのではないかと思いますね。
コメント
コメント一覧 (1)
外国判決の承認執行という制度を利用すれば、韓国で出された判決に基づいて米国内の資産を差し押さえることが可能です。日本では民事訴訟法118条に規定があります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A4%E6%B1%BA%E6%89%BF%E8%AA%8D
問題は、アメリカの民事訴訟法が外国判決の承認執行についてどのような要件を設けているかです。また、仮に米国が認めなかったとしても、被告企業が資産を有しているあらゆる国で差し押さえのリスクが生じます。慰安婦や徴用工の問題では韓国に同情的な国が多いことを考えると、どこかの国で差し押さえられる可能性は高いと思います。日本企業の法務部門はいまから準備しておく必要があるでしょう。
日本企業も日本という国家も、今まで韓国にあまあまの対応をしてきたツケが一気に回ってきたようです。日韓断交、韓国からの日本企業撤退、経済制裁、あらゆる手段を講じて韓国という国を叩きつぶす段階に来たように思います。
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