昨日の続きです。




1.韓国から手を引く日本企業

11月13日、韓国の李洛淵首相は募集工訴訟で新日鉄住金に賠償を命じた韓国大法院判決に対する韓国政府の対応策をまとめるため、日韓関係の専門家約10人を集めた会合を開きました。

会合には、孔魯明元外相や沈揆先元東亜日報編集局長、梁起豪聖公会大教授ら民間の専門家が参加。更に外務省、法務省、行政安全省など関連部署の次官も出席しました。

李首相は「専門家からの知恵を集め、年内に方向性を示したい」とし、1910年の日韓併合条約や1965年の日韓基本条約に関する政府見解を年内に整理する考えを示したようです。

会合では日韓基本条約に関する従来の韓国政府見解を継承しながら、実質的に被害者を救済する方法について意見交換が行われ、韓国政府が日本に新たな賠償を求める方法よりは賠償のための基金を設立し、基金に日本企業が参加する方向を検討する必要があるとの意見も出たとしています。

100%韓国政府の責任で対応しなければならない基金に日本企業を参加させるという時点で既におかしいのですけれども、それよりも、問題解決にあたっているというアリバイ作りの面が強いのではないかと思いますね。やっている風に見せておけば、日本は韓国に対して制裁できないだろうと多寡を括っている気配を感じますね。

そうかといって日本としては何もしない訳にはいきません。昨日のエントリーでも触れましたけれども、新日鉄住金が持っている韓国国内の資産について強制執行が行われる可能性がじりじりと高まってきている以上、対策は必要です。

15日、在韓国日本大使館がソウル市内で「ソウルジャパンクラブ(SJC)」の法人会員を対象に、今回の判決について説明会を行うとしています。

「ソウルジャパンクラブ(SJC)」は1997年1月にソウル日本人会・ソウル商工会・ジョイントベンチャー会の3会が合併して発足した韓国最大の日系コミュニティーで、2017年8月現在、約400の法人会員、約1700名の個人会員が加入しています。

東京商工リサーチによると、韓国に進出している日系企業は2017年時点で、393社、715拠点にも及ぶそうですけれども、数だけで見ればソウルジャパンクラブはその殆どをカバーしていることになります。

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今回の説明会には多くの企業関係者が出席する見通しとされていますから、日本政府はこの説明会で韓国進出企業の全てに政府方針を伝えるものと思われます。

そんな中既に動き出した企業も出始めました。

富士ゼロックスの韓国法人、韓国富士ゼロックスが、複写機などを生産するソウル近郊の仁川工場を2019年3月31日に閉鎖すると発表しました。富士ゼロックスによると、これは生産拠点の見直しの一環で、海外の生産拠点は中国の2ヶ所とベトナム1ヶ所の計3ヶ所に縮小するとしています。

仁川工場で働く約180人の従業員数については、転職支援など、最大限の支援策を検討していくようです。

また、既に訴訟を抱えている企業の中には、韓国からの撤退を匂わせるところも出てきました。三菱重工です。

三菱重工は3件の訴訟を抱え、いずれも下級審では賠償金支払いを命じる判決が出されています。そのうち1件は12月5日に高裁判決、もう1件は大法院での審理が開始されています。

けれども、新日鉄住金に対する大法院判決という"判例"が出た以上、同じく賠償命令が下ると見られています。

三菱重工は今年春にグループ会社の韓国現地法人を精算しています。

三菱重工の広報部は「もともと事業分野別に本社事業の整理を進める一環として、本社グループ会社の韓国現地法人を清算しております。これは徴用工の訴訟とは直接関係はありません。新たに韓国で立ちあげた法人もあります」と表向きには説明していますけれども、10月に立ち上げた「MHI Compressor Korea, Ltd.」は社員4名しかいないコンプレッサや駆動機のアフターサービス会社です。

どうみても、韓国から手を引く準備にしか見えないですね。

ただ、東京商工リサーチを見ても分かるとおり、韓国に進出している法人企業を産業別で見ると製造業が253拠点で最も多く、次いで卸売業の206拠点です。つまり、差し押さえの危険がある資産をそれだけ持っているともいえる訳です。

これらを精算するにしても、今日明日で右から左へ、という訳にもいきません。最低でも数ヶ月、できれば1年くらいは時間が欲しいところでしょう。

それを考えるとやはり今から清算の準備を進めておいてしかるべきではないかと思いますね。



2.親韓派からも見捨てられる韓国

繰り返しになりますけれども、今回の異常判決で韓国は自らその信用を大きく棄損させました。

韓国ニュースを専門にする英文サイト『コレア・エクスポーズ』編集者で、英紙『ガーディアン』でも執筆するカナダ人ジャーナリスト、スティーブン・ボロウィック氏は、「冷静に考えて韓国の裁判所が日本企業に補償を命じても、新日鐵住金の韓国国内の資産を凍結する以上の効力はありません。ただ、日韓関係、特にこれまで何十年と行なわれてきた両国の生産的な交易が行き詰まることになる。韓国で日本企業の活動が中断されれば、ビジネスをする上で韓国は信頼できない国と世界から見られる可能性があるでしょう」と指摘しています。

また、スタンフォード大東アジア研究所研究員のダニエル・スナイダー氏もニューヨーク・タイムズに、「米日韓の同盟を離反させるような動きが引き起こされた。私はその点について、韓国政府の判断に強い疑問を抱いている」と批判しています。

このダニエル・スナイダー氏は、慰安婦問題についてあれは「強制」だったとし、安倍総理を「保守的歴史修正主義者」と呼ぶほどの反日・親韓国の見解を持つ人物なのですけれども、彼をして韓国政府の判断に疑問を持つと言わせているのですから、国際的にみてもどれだけ異常な事をやっているのか分かろうというものです。

日本政府は今回の判決について「What are the Facts」と題した2ページの英文資料を作成し、海外メディアへの配布準備を進めています。

この資料には協定文書などの写真が掲載され、1965年の日韓請求権・経済協力協定で、両国間の請求権問題は「完全かつ最終的」に解決されたことや、今回の判決について「協定に明確に違反」し、「2国間関係の法的基盤を覆すだけでなく、戦後の国際秩序への深刻な挑戦だ」と記されているそうです。

手始めにこれら資料は、シンガポールでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の場を活用し、14日にも海外メディアや政府関係者へ配布。対外発信を進めるとしています。

世界に対して韓国の異常を知らしめ、韓国に対しては戦略的放置を行う。

今の韓国政府の態度を見る限り、もはやこの流れは止まらないのではないかと思いますね。
 

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