今日はこの話題です。
12月19日、カナダのナショナル・ポスト紙は、中国で新たにカナダ人が拘束されたと報じました。これで、カナダ人の拘束は3人目になります。
ただ、カナダ外務省は3人目のカナダ人が拘束された事実を認めてはいるのですけれども、身元やファーウェイとの関連など詳細を明らかにしていません。
これについて、中国外務省の華春瑩報道官は記者会見で、3人目のカナダ人の拘束について「聞いていない」、「把握していない」と回答を避けました。
筆者は、先日「二人目のカナダ人を人質にした中国」のエントリーで、孟晩舟CFOを無条件釈放するまで中国は3人目、4人目と次々と拘束するのではないかと述べましたけれども、やはり3人目の拘束が明らかになりました。
既に拘束されているマイケル・コブリグ氏とマイケル・スパバ氏のファーストネームがマイケルであることから、一部では、今年10月に中国を激烈に批判する演説をしたマイケル・ペンス副大統領に対する「あてつけ」ではないかという噂も出ているようです。
もしも拘束された3人目の名前のマイケルであれば、その噂にも少し耳を傾けたくなりますね。
それにしても中国はカナダに対して強気です。
地政学者の奥山真司氏は、自身のブログで、在カナダ中国大使がグローブ&メール紙に掲載した意見記事を要約したものを公開しています。
それによると、中国は、ファーウェイの孟晩舟CFOの拘束を「不当逮捕」だとし、アメリカを始めとする「ファイブ・アイズ」の国々を厳しく糾弾しています。
次に一部引用します。
まだ多くの人々が古い「冷戦思考」を持ち続けており、中国――中国共産党に率いられている社会主義国家――のことを「異常な国」だと信じ込んでいる、という事実に行き着くことになる。彼らは中国が西洋諸国にあまりにも急速に追いついてしまい、経済だけでなく、科学やテクノロジーの面でもすぐに追い越すことを恐れているのだ。だからこそ彼らは中国企業を取り締り、国家の安全という名の下に中国の発展を妨害するのだ。こんな感じです。筆者は、中国は自分が批判されると直ぐに、中国が台頭してきたことに他国は嫉妬しているのだ、という理屈を振り回すきらいがあるように思うのですけれども、これはその裏に劣等感というか、ここ100から200年、西洋諸国にやられてきたという感情が潜んでいるようにも見えます。
それがようやく恨みを晴らす時がきた。
筆者には、習近平主席が「中国の夢」という言葉を使い、「中華民族の偉大な復興」と宣言している部分にその一端が垣間見えるような気がします。
ネットの一部などで指摘されていますけれども、ファーウェイも漢字表記では華為技術と「華の為の技術」ですし、ZTEも「中興通訊」と「中国を興す通信」です。
過去には栄えた時があったのだ、という自覚があるからこそ「復興」という言葉になるのであって、一からスタートする「新興」ではないのですね。
勿論、世界全体の発展、進化に貢献するのであれば、復興だろうが新興だろうが大歓迎です。けれども、果たして中国がそうした国であるのかどうか疑問を持たれるが故に警戒され、批判されている訳です。
実際、一企業の重役を釈放させる為に人質を取るような国が「世界が中国に嫉妬しているんだ」といってもやはり説得力に欠ける。それをどこまで分かっているのか。
先に紹介した、奥山真司氏は、ファーウエイ孟晩舟CFOの拘束を巡るカナダのマスコミでも「中国も怖いから刺激しないようにしよう」という意見がかなり見られたとして、「カナダは米中の間に挟まれて事態を進展させられない」というジレンマに陥っていると述べています。
カナダは何処までそのジレンマに耐えられるのか。
中国は中国で人質という自身の悪辣さを世界に示すという下策に出てまでも、ファーウエイを守りたい何かがあるのかもしれませんけれども、仮に孟晩舟CFOが釈放されファーウエイを守ったとしても、その後には、世界からの厳しい目に晒される筈です。
米中冷戦を含め、今後の推移には十分注意が必要かと思いますね。
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