今日はこの話題です。
12月18日、政府は新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)」を閣議決定しました。
防衛大綱も中期防も、防衛省のサイトにアップされていますけれども、中期防の見出しを拾ってみると次の通りです。
�T 計画の方針一見して無難な項目が並んでいるように見えますけれども、筆者がざっと読んでみたところ、計画の方針に記されていた次のポイントが目に止まりました。
�U 基幹部隊の見直し等
�V 自衛隊の能力等に関する主要事業
1 領域横断作戦に必要な能力の強化における優先事項
2 防衛力の中心的な構成要素の強化における優先事項
3 大規模災害等への対応
4 日米同盟の強化
5 安全保障協力の強化
6 防衛力を支える要素
�W 整備規模
V 所要経費
�Y 留意事項
「格段に速度を増す安全保障環境の変化に対応するため、従来とは抜本的に異なる速度で防衛力を強化する。また、人口減少と少子高齢化の急速な進展や厳しい財政状況を踏まえ、既存の予算・人員の配分に固執することなく、資源を柔軟かつ重点的に配分し、効果的に防衛力を強化する」要するに自衛隊は人も金も足りないと言っているのですね。これに対する対策として、中期防では「一層の効率化・合理化を徹底した防衛力整備に努める」としています。
報道では、護衛艦「いずも」の事実上の空母化や、空母に垂直着陸できる戦闘機「F35B」の導入も事実上明記したとしていますけれども、これは、防衛大綱の「�W 防衛力強化に当たっての優先事項」に記載されている次の部分を指していると思われます。
(2)従来の領域における能力の強化確かに「"現有の艦艇"からの"STOVL機"の運用」となると、現時点ではいずも型護衛艦にF35Bを搭載することくらいしか考えられません。もっとも「必要な場合」と枕言葉がついていますけれども、ここまで明確に記載する以上、自衛隊とて満更でもないということです。
ア 海空領域における能力
我が国への攻撃に実効的に対応するため、海上優勢・航空優勢を獲得・維持することが極めて重要である。
このため、我が国周辺海空域における常続監視を広域にわたって実施する態勢を強化する。
また、無人水中航走体(UUV)を含む水中・水上における対処能力を強化する。
さらに、柔軟な運用が可能な短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機を含む戦闘機体系の構築等により、特に、広大な空域を有する一方で飛行場が少ない我が国太平洋側を始め、空における対処能力を強化する。その際、戦闘機の離発着が可能な飛行場が限られる中、自衛隊員の安全を確保しつつ、戦闘機の運用の柔軟性を更に向上させるため、必要な場合には現有の艦艇からのSTOVL機の運用を可能とするよう、必要な措置を講ずる。
では、何時頃、それが実現するのか。
残念ながら、ここ数年に実現するような話ではないかもしれません。
次の表は、中期防に添付されている自衛隊で調達・整備する予定のリストです。
これをみると、空自がF35Aを45機調達するとあるものの、F35Bの記載はありません。つまり、平成35年度までは、「いずも」を空母化するところまではいかない、ということです。
10年近く前のエントリー「空母運用の難しさ」でも触れました事がありますけれども、空母には金も人もかかります。右から左へという具合に空母が出来上がる訳ではありません。
防衛力の強化、整備も普段の努力と研鑽は元より、国民のバックアップが必要不可欠です。
防衛省が「人口減少と少子高齢化」危惧しているなら猶更、国土防衛に対する国民の意識をもっと引き上げていかなければならないと思いますね。
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