今日はこの話題を極々簡単に……



5月28日、安倍総理は首相公邸で、麻生副総理、菅官房長官、自民党の谷垣幹事長と会談し、来年4月の消費税10%の引き上げについて2019年10月まで2年半再延期する意向を伝えたと関係者が明らかにしました。

安倍総理は、先日の伊勢志摩サミットで各国首脳に説明しましたけれども、現在の世界経済の情勢を2008年のリーマン・ショック直前と似ていると分析した上で、予定通り増税した場合は、経済が急速に悪化する懸念があり、デフレ脱却が困難になるとしています。

安倍総理は「リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットで危機の発生を防ぐことができなかった。そのてつは踏みたくない。……世界経済は分岐点にある。政策対応を誤ると、危機に陥るリスクがあるのは認識しておかなければならない」と述べています。

これまで安倍総理は、消費増税について「リーマン・ショックや大震災のような事態が発生しない限り実施する」と繰り返し発言していましたけれども、今の経済状況を"リーマン・ショック目前"と定義づけることで、増税再延期の大義名分を得ようとしているのではないかと思いますね。

もっとはっきりいえば、リーマン・ショックも大震災も"表向きの理由"に過ぎず、内実は足下の景気が良くないことにあると思いますね。なぜなら、伊勢志摩サミットで安倍総理の「世界経済はリーマン並の"クライシス"にある」という主張は、各国首脳から「言い過ぎではないか」と窘められましたし、また熊本地震があっても、それを理由としての増税延期を表明できなかったからです。

要するに、増税延期するにしても、官邸が"発表したいタイミング"があり、それ以外はほぼ無視するということです。その確たる理由は分かりませんけれども、選挙であったり、財務省の抵抗であったり、色々あると予想されます。逆にいえば、そこまで気を使わなければ、やりたい事がやれない制約を負ったまま政治をしなければならないこと自体が問題なのかもしれません。

けれども、肝心なことは増税延期ではなく、景気をよくすることです。其の為の延期の筈です。ただ、いくら増税を二年半延期しても、それだけでは景気が良くなる可能性は低いと思います。なぜなら、前回の一年半の増税延期で、景気が上向いたかといえばそうではないからです。再延期せざるを得ないと判断したことそのものがそれを証明しています。

前回と違うのはただ延期の期間が一年半から二年半へと一年伸びただけです。二年半にした理由の一つには、2019年夏の参院選を考慮したからだともいわれていますけれども、小細工したところで、景気が上向かなければ同じことです。

問題は延期の期間ではなく、消費税そのものにあると考えるべきと思います。

先日、「週刊ダイヤモンド」が、消費税率引き上げが予定通り実施された場合、先送りされた場合の影響について、インターネットで一般消費者にアンケートをしたところ、消費税率引き上げが先送りされても「消費は変わらない」という回答が56.7%と半数以上に上っています。

消費者が増税を先送りされても消費は変えないと言っているのですから、単純に先送りだけで景気が上向くというのは見込みが甘い。更に何かがないといけない。まぁそれは官邸も分かっているとは思いますけれども、これまでのように、民間企業に給料を上げてくれと要請したりしても、それ程効果があるとはちょっと思えないですね。

安倍総理が増税再延期を麻生副総理、谷垣幹事長に伝えた際、麻生、谷垣両氏は再延期なら衆院解散の必要性を指摘したそうですから、或いは同日選もあり得るかもしれませんけれども、それに踏み切るかどうかは、憲法改正までを見据えると衆院の議席をどこまで確保できそうかという読みに掛かっていると思いますね。

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コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. 泣き虫ウンモ
    • 2016年05月31日 00:02
    • 世界の経済の中心が米国ならば、まんざらではない話ですね。
      FRBは、仕事を探すことを諦めた方々の情報を握っていないからです。
      まぁ、実態と乖離しているのかなぁ。
      それで、経済の引き締め政策をやろうとしているのですから、前回のバブル崩壊を彷彿とさせますかね。
      個人的には戦争の世紀と違い、インフレを起こしづらい環境にあるので金融政策は慎重にあるべきと思いますね。
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