今日はこの話題です。



1月13日、アメリカのトランプ次期大統領はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、中国の「為替操作国」認定について、「まずは彼らと協議する」とこれまでの大統領就任初日に財務長官に認定を指示するとしていた発言を修正しました。

トランプ氏が選挙中から中国の人民元安誘導が巨額の対中貿易赤字を生み、アメリカの雇用を奪っているとしていたのですけれども、為替操作国とはアメリカの財務省が4月と10月の年二回、包括貿易・競争力強化法によって、議会に提出する為替政策報告書に基づき、議会が認定します。

2016年4月の報告書から、更に貿易円滑化・貿易執行法に基づき、外国の為替政策に関する監視体制を強化して、次の三つの基準で相手国の為替政策を評価しています。
1)巨額の対米貿易黒字(200億ドル超)
2)大幅な経常収支黒字(GDP比3%超)
3)外国為替市場での持続的かつ一方的な介入(ネット為替介入額2%超)
アメリカ財務省はこれら三つの基準に全て合致した場合、二国間協議や対抗措置を実施するとしています。

ところが、現在、これら3基準を総べて満たしている国はありません。

4月の報告書では、中国は対米貿易黒字と経常収支黒字の2項目に該当し、監視リストに入ったのですけれども、このリストはどれか二つの基準に抵触している国のリストであり、中国以外には日本、韓国、台湾、ドイツの3か国、10月の報告ではスイスが加わり、計五ヶ国がリストアップされています。

中国に関していえば、10月の報告では経常収支黒字がGDP3%を割り、抵触は一つだけとなっています。監視リストに入った国は2期連続で基準をクリアしないと監視解除されないため、まだリストに残っていますけれども、次の4月の報告では監視から外れるのではないかとの見方もされているようです。

為替操作国に認定された国は、アメリカとの間で二国間、あるいはIMFを通じた協議が行われ、通貨の切り上げを要求されたり必要に応じてアメリカが関税による制裁を行うこととなっています。

現在、中国は経済成長鈍化で海外への資金流出が続き、中国当局は元買い・ドル売りの為替介入で下落を緩和しているのが現状です。ですから、実際に関税による制裁発動は難しいのではないかと思いますね。

ただ、トランプ氏はWSJとのインタビューで、中国と台湾は不可分とする「一つの中国」原則を含め「全てが協議される」と述べていますから、やはり、この線で揺さぶりを掛けてくるものと思われます。

ともあれ、米中貿易摩擦が起こる可能性は非常に高いと思いますね。

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