今日はこの話題です。



3月29日、アメリカのトランプ大統領は、オハイオ州での集会で演説し、再交渉で大筋合意した韓国との自由貿易協定について「北朝鮮と合意する後まで棚上げするかもしれない」と述べました。

これは、同じく29日に、韓国と北朝鮮との間で行われた閣僚級会談で、文在寅大統領と金正恩委員長による南北首脳会談を4月27日行うことで合意したことを受けてのもので、韓国が北朝鮮に妥協して現在行っている北朝鮮に対する経済制裁に穴が空くことを牽制したのではないかと見られています。

3月26日、大筋合意したFTA再交渉は、自動車貿易を中心にアメリカの要求を取り入れるものだったのですけれども、問題になっていた鉄鋼については、輸入制限措置の対象から除外することになりました。

これが棚上げとなれば鉄鋼が輸入制限措置の対象となることも考えられ、韓国にはプレッシャーになります。

今回のFTA再交渉についてトランプ大統領は「強力なカードだ」と述べており、思いっきり駆け引きに使っています。再締結したFTAをカードに使うこと自体、韓国に対する不信感が露わになっているともいえますね。

けれども、これで韓国が北朝鮮の核放棄に向けた交渉をやるかというと、そうならないのが彼の国です。取分け、文政権においては。

3月30日、韓国大統領府の高官は、北朝鮮に先に核を放棄させ、その後、相応の支援を行う、いわゆるリビア式の非核化の方案について、「北朝鮮に適用するのは不可能だ」との考えを示しています。

この高官は29日から韓国入りしている中国共産党の楊政治局員から、金正恩党委員長と習近平国家主席の会談について「詳細に説明を受けた」と断ったうえで、「北朝鮮の核問題は25年間続いている問題で、段階的に進めて行くほかない」と述べているところを見ると、この段階的に進めるというのは、中国と歩調を合わせた上でのコメントである可能性が高いと思いますね。つまり中国も、核廃棄前提での米朝首脳会談は望んでいないということです。

また、拉致問題についても、4月4日、韓国の康京和外相「両首脳間で虚心坦懐な対話が行われるよう準備することで一致している……『何が入る』『入らない』というように申し上げるのは難しい」と明言を避けています。

首脳会談を行うことが決まっているのに、その内容については話せない。余程話したくない内容なのか、それとも本当に決まっていないのか。

前者であれば、アメリカと示し合わせたものであることも考えられるのですけれども、段階的な非核化はアメリカの方針とは相容れませんし、後者であればただの時間稼ぎです。

シカゴ大のジョン・ミアシャイマー教授は、インタビューで、5月に行われるとされる米朝首脳会談の見通しについて問われ「見通しよりもまず、2人が首脳会談を行うかどうかが不確実だ。首脳会談の準備ができているかも不明だ」と答えています。

更に北朝鮮が核を放棄する可能性は1%以下だとし「北朝鮮は絶対に応じない。中国もそうしろと圧力をかけない」と断言しています。

だとすると、米朝会談は行われず、米朝開戦か経済制裁を継続し、金政権の自己崩壊を待つかのどちらかになります。

5月末までは息を飲む展開が続きそうですね。
 

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