今日はこの話題です。



4月7日、外交筋が明らかにしたところによると、3月6日に行われた中朝首脳会談で、北朝鮮の金正恩委員長が、「アメリカが我々の体制を確実に保証し、核放棄に伴う全面的な補償を受けることができるならば、核を完全に放棄することができる」と述べ、更にアメリカと国交を正常化し、平壌への大使館開設をトランプ大統領に求める考えを示したことが明らかになりました。

中朝首脳会談終了後、 中国外務省は金正恩委員長が非核化には「『段階的で同時並行的な措置』が必要」と述べたと発表していましたけれども、今回明らかになった金正恩委員長の発言から、北朝鮮は「確実な体制保証」、「制裁の解除」、「大規模な経済支援」などが同時並行的でなく先に提供されることを求めていることがはっきりしました。

アメリカは元々、中朝会談には北朝鮮の核廃棄が条件だ、としていましたから、北朝鮮の体制保障が先だ、とは平行線になります。それゆえに中国は折衷案的に「段階的で同時並行的な措置」と発表したのだと思われます。つまり、北朝鮮とアメリカ双方に、これで手を打たないか、と打診しているということでしょうね。

先日、北朝鮮が再び核実験の準備をしていると河野外相が公表していました。この時のエントリーで筆者は、北朝鮮が米朝首脳会談当日に核実験をやって、核保有を黙認させる思惑があるのではないかと述べましたけれども、北朝鮮が先に体制保証を求めていて、それに対して中国が「同時並行で行え」と回答したとするならば、北朝鮮の再核実験の準備は、その中国の妥協案に対する不満の意思表示であるとも解釈できます。

河野大臣による北朝鮮の再核実験準備発言について、4月3日、中国外務省の耿爽副報道局長が「朝鮮半島問題を対話で解決するという努力をしている最中に、足を引っ張らないでほしい」と批判し、その前日の2日にアメリカの北朝鮮研究グループ「38ノース」が「活動は減少しており、外相の発言は衛星画像では裏付けできない」と河野外相の発言を否定しています。

これら米中の反応を見ると、実は、中国からの同時並行措置という妥協案をベースに米中が水面下で話を進めようとしていたところに、河野外相が見事に楔を打ったとも解釈できますね。

つまり、日本としては同時並行措置など認められない、北朝鮮の核廃棄が先である、という意思表示をしたということです。河野外相はアメリカ「38ノース」の否定発言について「様々公開されている情報で、実験場を含む核関連施設での活動は続いている」と更に反論していますから、はっきりとそういう意思を示したのだとみてよいように思いますね。

そうだとすると、今月17日から安倍総理が渡米し、トランプ大統領との会談が大きな意味を持ってきます。つまり、トランプ大統領に「北朝鮮に決して妥協してはいけない。また騙されるだけだ」と釘を刺しにいく意味があるのではないかということです。

勿論、これは日本の国益にとってもよいことでしょう。

アメリカが妥協しなければ、米朝首脳会談も流れる公算が高いでしょう。北朝鮮が完全に白旗を上げるまで、制裁を続ける。この基本方針を貫けるかがポイントになってくるように思いますね。
 

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