今日もこの話題です。



6月8日、カナダでのG7サミットは政治・外交分野の討議を行い、北朝鮮に対し「完全かつ検証可能で不可逆的な方法による非核化」を北朝鮮に求めることで合意しました。また北朝鮮のあらゆる大量破壊兵器と、短・中距離を含むあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を実現させることが必要との認識でも一致を見ました。

安倍総理はこの中で「制裁解除のタイミングを見誤ってはならない」と強調し、拉致問題解決への協力を求め、各国首脳からの賛同を得たようです。

今回のG7サミットでは、貿易問題とロシア処遇めぐりアメリカが孤立しているとも囁かれ、共同声明としてまとめられないのではないかとも囁かれる中、日本の主張はがっつりと認めさせています。

これまで国内マスコミは散々「日本は蚊帳の外だ」と騒いでいましたけれども、"蚊帳の外"からここまで各国首脳を動かせるのであれば、それで十分でしょう。まさしく「名より実」を取っているといえます。

先日安倍総理はトランプ大統領との日米首脳会談を行っていますけれども、安倍総理はワシントン入りしてもトランプ大統領との夕食会などの予定を入れず、首脳会談の準備に専念しました。

日本側は、日米首脳会談に先立って、河野太郎外相がポンペオ米国務長官と、谷内正太郎国家安全保障局長がボルトン大統領補佐官とそれぞれ会談を行い、それらの情報集約を行っています。

その甲斐もあってか、日米首脳会談後の共同記者会見で、トランプ大統領から「米朝首脳会談で拉致問題を協議する」、「現時点で北朝鮮の制裁は解除できない」との言葉を引き出しています。

安倍総理は5月11日の民放番組で「見返りのタイミングを間違えれば、同じ過ちを繰り返すことになる」と発言していますけれども、当然それについてトランプ大統領に助言しているものと思われます。

6月8日、トランプ大統領は1日に北朝鮮の金英哲労働党副委員長から手渡された金正恩委員長の親書の内容を一部公開しています。

トランプ大統領は親書が単なる挨拶の手紙だと明かした上で「親書は誠意が込められた良い内容であり、私は本当にありがたく思う……金委員長は私に会うことを期待していて、首脳会談の開催を期待していた……何かすばらしいことが起こるはずだと書かれている」と述べました。

親書の内容をこんな形で一般に明かすのが適切なのかどうかは別として、非核化に向けての具体的提案など肝心要の部分については、トランプ大統領は明かしませんでした。或いは本当に何も書かれていなかったかもしれませんけれども、親書の中で期待を持たせるについて公にしてみせるのは、トランプ大統領流の一種の牽制かもしれません。

そうすることで、世界が何かよい成果があるのではないかという期待の目を向けますからね。

ただ、 南北交渉の当局者や専門家にいわせれば、親書にある「何かすばらしいことが起こるはず」や「会えば良いことが起こるはず」というのは北朝鮮がよく使う語法であり、過去の北朝鮮が南北交渉で予定された会談をうまく進めようという意志が強い時や、実際の会談で提示する内容は不十分だが会談前に意図的に相手の期待を高めるために「包装技術」としてこういう表現を使ってきたということのようで、「実際の会談では特に譲歩がない場合が多い」と指摘しています。

今までの北朝鮮のやり方をみればさもありなん。当然想定していてしかるべきことですね。

6月2日にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議の基調演説で小野寺防衛相は「25年の歴史を振り返れば北朝鮮がとても先制的で肯定的な態度を見せながら突然国際社会のすべての平和努力を無視し武力措置を取ったことがある……北朝鮮は1994年に米朝基本合意書に合意したのに継続して秘密裏に核兵器を開発し、2005年に6ヶ国協議共同合意書を出しながら初めての核兵器実験を行った。単純に対話に乗り出したからと北朝鮮に見返りを提供すべきではない」と述べています。

先の安倍総理の発言と合わせ、日本政府の方針は安易な見返りは与えないで一致していますし、それに沿って安倍総理はG7首脳から「完全かつ検証可能で不可逆的な方法による非核化」の合意を取り付けました。

軍事力を背景に持てない日本が外交だけでここまで持ってきた。日本政府は全然"蚊帳の外"ではないとしていますけれども、どうみても"蚊帳の外"で出来る内容ではありません。今の日本では、これ以上望むべくないといっていいでしょうね。

6月12日の会談まで残り数日、ギリギリの攻防が繰り広げられそうです。
 

コメント

コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット